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日々の破片

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2021-03-26

_ デス・ゾーン

縁なき衆生について書いた本もおもしろかろうと、滑落死した登山家のノンフィクションを読んでみた。

死んだときの毀誉褒貶飛び交うさまはTwitterを眺めていると幾つかはRTされてくるので知らないわけでもないので、興味がなかったわけではない。

が、ノンフィクションとして読み始めたら、ずいぶん勝手が違って戸惑った。

まず文章の流れが、章X 時系列aとc、章X+1 時系列bのような書き方がやたらと多い。

なぜこんなあほうな書き方するのかと思ったが、筆者がおそらく15分1ターンのテレビ屋だからじゃないか? 本題に入る前に前後をとりあえず15分でやって、CMを挟んで本題を一気に盛り上げるとか、と気づく。

要は文章の流れがおかしいのだ。

というわけで、えらく読みにくい(し、日付が明記されるのがX+1のほうだったりするので、記述が前後するのでシンプルに読むと矛盾したりするので、なんじゃこりゃ感もある)。

結局のところ、こういう人が自己流の書き方をしたのだと納得して、テレビ番組と同じで雰囲気で読めば良いのだろうが、文章になっているとこちらは普通の文章を読むのに最適化されているから、そうも読めないんだよな。

で、出てくる人間が、主人公のテレビ屋はそれでも良いとして、最初はすぐに全裸になるお祭り男(ちょっと、もやしもんの兄貴を思い出した)経由で登山をするビジネスマンだったのが、自己啓発(に名を借りたマルチ商法)の広告塔になり(とはいえ2億円も引っ張るのは真似できない芸当なので、そこは素直にすごいと思う)、たかが広告塔にしては肉体を実際に賭けていたり、自撮り動画の可能性を追求したという点ではなんか凄いし(2010年あたりなわけだ。ユーチューバーではない)、単純なお調子者のようでそうとも言えず、興味深くはある。

あるが、読んでいて楽しくない。

要はノンフィクションノベルの域には達していない割に、ノンフィクションとしては最初に書いた時系列を混乱させた書き方のせいで論理的な積み上がりに欠けているからなのだろう。

デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場 (集英社学芸単行本)(河野啓)

と、筆者の書き方というか書き癖(あるいは構成の癖)に由来する点が気になるわけだが、21世紀初頭を全裸経由登山着姿でどどーんと駆け抜けた男の物語としては、実に時代的な興味は尽きない優れたルポルタージュ(ではない)だった。

一方、良く似た題名のデッドゾーンは、クローネンバーグ+キング+クリストファーウォーケンで、とてつもない傑作だが、どちらも主人公の死で終わるのだな。

デッドゾーン (The Dead Zone (1983))(マーティン・シーン)


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