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日々の破片

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2019-04-14

_ 新国立劇場のフィレンツェ

最初は初見、初聴のツェムリンスキーのフィレンツェの悲劇。

いきなり金管のつんざくような音の爆発で、20世紀初頭のウィーンの音楽だなぁと感じるが、これって物語の内容から薔薇の騎士の前奏曲やアラベッラの3幕序曲と同じく性交音楽なのかな。それにしても、猫とかみたいで苦痛が伴いそうな不思議さがあるとふと思う。

舞台美術がとても良い。家の中が家の外で全体が歪んでいるが違和感がない。かといって20世紀初頭ではなく、衣装からは封建時代。最後は首を絞めているのか抱擁と接吻なのか決定させない終わらせ方。もちろん、金のためなら人殺しも辞さない男と恋のためなら人殺しも辞さない女というお似合いの夫婦なのだから後者だろう。

普通におもしろかった。

それよりもジャンニスキッキだ。何しろ僕の好きなオペラの中でも特別なものだからだ(最初に買ったオペラのレコードの1つでもある。)。

プッチーニ:ジャンニ・スキッキ(プッチーニ/サンティーニ(ガブリエーレ)/ロス・アンヘレス(ビクトリア・デ))

(何度聞いたかわからん。大好きなお父様は、その後、もっと良いものがいくらでも聞けたが、ロス・アンヘレスも悪くはない)

なぜ好きなのかはわかっている。音楽の交換が抜群だからだ。

この舞台もそれは本当にうまかった。指揮も良いし、歌手の演技も良いし、振り付けも抜群。

その後の典型となるような(子供の言葉を使うと)ベタなお笑いの連続なわけだが、特に、ラウレッタに説得されて、しぶしぶ遺書を確認しはじめるジャンニスキッキのつぶやきに、ラウルとラウレッタではなく、リヌッチョとラウレッタが喜んだり悲しんだりするところのばかばかしさとか、舞台の前面に二人が手に手を取り合って寄せては返し歌いまくるとか最高であった。

ラウレッタの砂川涼子がまず素晴らしい。声量がある(プッチーニもセリフ劇を意識してオーケストラのバランスをうまく作っているのだろうし、指揮と演奏も良いのだろうが)し、声がきれいなので私の大好きなお父様が決まりまくる。

それにくらべるとラウルの人はいまひとつな気がするが、そうはいってもラウレッタとのコンビになると良い感じ。

ジャンニスキッキのアルバレスって兄弟のほうしか知らなかったが、実に良いではないか。

というわけで楽しみまくる。

なんででっかな家具調度なんだ? と思ったが(秤のため? いや、集まった人々の小物感を示すためかも)、小鳥の餌のクッキーは実にうまかった。

ツェムリンスキーともどもすごく満足しーた(が、表記はツィータだなぁ)。


2019-04-07

_ GPKIをubuntuに導入するitamae用レシピ

#
# install GPKI
#
 
execute 'fetch GPKI cert' do
  user '<%= node['user'] %>'
  command <<EOD
curl https://www.gpki.go.jp/apca2/APCA2Root.der >APCA2Root.der;
openssl x509 -inform DER -outform PEM -in APCA2Root.der -out APCA2Root.pem;
openssl x509 -in APCA2Root.pem -inform PEM -out APCA2Root.crt;
EOD
end
 
directory '/usr/share/ca-certificates/extra' do
  owner 'root'
  group 'root'
  action :create
end
 
execute 'copy GPKI crt and register it' do
  user 'root'
  command <<EOD
cp APCA2Root.crt /usr/share/ca-certificates/extra/APCA2Root.crt;
DEBIAN_FRONTEND=noninteractive dpkg-reconfigure ca-certificates;
update-ca-certificates --fresh;
EOD
end

2019-04-06

_ 松戸市立博物館に行った

団地が評判になっていた松戸市立博物館に行った。

水戸街道をだらだら進んでちょこちょこ曲がるといきなり小山を3つまたがるばかでかい公園になって、その最初の山の上が目的地で、建物を過ぎたところで左に曲がると駐車場とYahooナビが言うのだが、身体障害者と関係者以外は立ち入り禁止になっている。どうしろと? で、しょうがないので山を2つ越えて(といっても車は橋で山と山が結ばれているので上がったり下がったりするわけではない)北口駐車場というのがあったので、そこに停めた。

失敗である。

実は、建物の向かい側に東口駐車場というのがあって、そこに停めれば良かったのだ。が、一見さんにそんなことがわかるわけがない。

かくして、山を2つ越えて(というか橋を2つ渡って博物館に入れた。疲れた。

(帰りは、谷のほうを通って戻ったが、バーベキュー場があったり、草原にテントを建てて裸足だけ外に出して昼寝している人間が山ほどいたりして、不可思議な光景だった)

まだ松戸が海辺だったころの集落の様子からはじまって団地が来る仕掛けというのは知らなかった。

入り口のミュージアムショップに虚無僧ストラップというわけのわからないお土産があって不思議だったが、江戸時代パートに、虚無僧の本拠地が松戸にあったことが示されて、へーと思う。

縄文時代の展示はすごくおもしろい。時代の流れで、道具がどんどこ進化する様子を道具を分類した皿を時代ごとに用意して示してある。最後になると祭祀の道具が出てきて、おお、日本も御多分に漏れずサピエンスですなぁとか。

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福(ユヴァル・ノア・ハラリ/柴田裕之)

集落の規模とか、ここの展示は圧倒的だ。外に復元住居があるが、代々木八幡のやつとは違って、実際に火を焚いているので、意外なほどに煙がにおいまくって、茅葺というのは相当密閉性があるのだなと知った。三匹の子豚は最初に藁で家を作るわけだが、縄文人は小麦を栽培したりはしないから茅なんだな(と、外に立っているおっさんに教わる)。

室町期、千葉氏が君臨し、それを滅ぼした高木氏が正統な後継であることを九曜星で示したものの、上杉についたり北条についたり、最後は北条についたまま豊臣秀吉に滅ぼされていっかんの終わり。おもしろい。

ちょうど読んでいる石川淳の狂風記で、九曜星を目に見える七つの星の向こうに暗黒の二つの星が見えずに輝くというようなセリフが出てくるのを思い出したが、どこにも九曜星の旗印が展示されていないので、がっかりだった。

そして虚無僧の本拠地を経由して、御鹿狩りに移る。吉宗が害獣駆除や旗本の軟化に対する活入れとして開始したとか説明される。

が、鹿こそ100何匹か仕留めたものの猪は6匹だか9匹って、全然害獣駆除になっていないではないかとか思う。むしろ仕込みのために近隣の民百姓が駆り出されてそちらによる労働力の一時的減少による弊害が大きかったらしくて、上のくだらない思いつきに振り回されるって薩長を待つまでもなくあったのだな。が、オリンピックと考えれば、ありだったかもなぁとかいろいろ考える。規模がでかいし、船橋の由来って船橋だったか、とかいろいろ知っておもしろい。

で、団地だ。

入るといきなりブラウン管にチンパンジーが映ってバヤリースの広告をしていて、驚く。本気で作っているな。

特に衝撃的なのが、居間の壁にカラーの東郷青児が飾ってあることで、まだ、カラーの時代なのかというのと、そこまで東郷青児(うんと簡略化すると日本にキュビスムの絵柄を普及させた画家)って人気あったのか? おれの時代にはコロンバンあたりのお菓子の包装紙のブルーグレーの絵の人になっていたが、カラーということはそれより前の時代なのだな。

ベッドルームのベビーベッドとか、いろいろ不思議な光景で、いろいろおもしろい。

この6畳2間+台所風呂トイレの四角い入れ物が経済と人口爆発の仕掛けだったのだよあなぁ。

おもしろ過ぎる。

東郷青児 (アサヒグラフ別冊8 美術特集)(波多野 公介)

(一応知っておこうと思って高校生の頃買って眺めてもう手元にはないが、19歳のときの自画像は素晴らしくて記憶に鮮明)


2019-04-03

_ 被差別の食卓を読んだ

通勤用に買った被差別の食卓を読了(3週間前くらい)。4日かからなかったと思う。

最初に被差別部落に生まれた筆者の話として、あぶらかすがおいしくて好きでいつも楽しみにしているということが紹介される。おいしそうだ。おれも牛すじは大好きなのだ(調理は面倒だけど)。

それが中学くらいにおそらく(と、筆者の書き方も記憶をたどっているので曖昧)同和教育の中で出てきたか何かで被差別部落固有の食い物だと知る。高校のときに同級生があぶらかすをぽりぽり食っているやつを見つけてそれうまいよなぁと話しかけようとして、むむ待てよと思いとどまる。

おれはこの話はどこかで既に読んだ。ビッグイシューかな? 掲載紙は思い出せないが、とにかくえらくうまそうな食い物だなと思ったので印象深い。

というわけで単行本にまとまっているので買って読んだのだった。

本書は、アメリカのソウルフードとして黒人奴隷の食い物としてのフライドチキンや豚もつ煮、ザリガニ料理を求める南部とニューヨークの旅から始まる。

読んだ直後にグリーンブックを観て、ドクターシャーリーがフライドチキンを食ったことがない(ピアニストだから指が油まみれになるのは嫌だろうな、と同じくキーボードを叩きまくる職業のおれは思うわけだが)とかいろいろ考えることはあった。

要は農園主が胸やら腿やらの肉を焼いて食って捨てた手羽先だの首だのを黒人奴隷が拾ってディープフライにして骨まで食えるようにした料理が発祥だということで、なるほどと思う。

次にブラジルに進む。なんといっても、初期に逃亡した奴隷の集落の話が圧倒的におもしろい。

さらにブルガリアとイラクにロマの食い物を食いに行く。ブルガリアのロマも最近は食べなくなりつつあるらしき(良くわからない)ハリネズミ料理を食べる。いっぽう、イラクでは特にロマ固有の料理というのはなかったりする。ちょっとイラクのあたりの書きっぷりにはひくところが多かった。

そしてネパールへ行く。牛を解体して食べる被差別民という日本と近い構造があり、食べ方も似ているなど。革命があったので王制時代よりはましになったとか、確かに血のつながりだけで社会構造が決まる国家というのは滅びるべき存在である。

そして日本に帰って来て、子供時代とは異なり意識的に被差別部落の食べ物を食べまくる。おもしろい。

おれもすじの煮物を作ってしばらく放置すると煮凝りになってその味とか良く知っているので食い物の話としてもおもしろい。

中途半端な社会科学的な考察が入っていてちょっとそれはアプローチが違うのではないかとか疑問に思う面もあるが、食べ物紀行としても、あまり観光的海外話では出てくることがない内部社会の話としても知らないことがたくさんあっておもしろかった。ハリネズミは食べてみたい。

被差別の食卓 (新潮新書)(上原 善広)

追記:アマゾンの星1票のやつ、おれが(特にイラクパートで)感じたような不快さを表明していて興味深い。

が、おそらくそれは違って、エンターテインメントとして消費できるようにするための一種の文書としての儀式のようなものではないかとも思う。であれば、それはしょうがないものなのだ。難しいね。


2019-03-31

_ ダンボ

ティムバートンのダンボを観にバルト9。

地下鉄から出たら新宿御苑の花見客が群れをなしていてびびる。その余波なのかバルト9のエレベータ待ちの大行列が十重二十重に丸井を囲んでいてあやうく本編上映に間に合わないところだった。

映画が始まると、映画の中の映画でわくわくがたまらない。列車と煙は最高だ。ケイシージュニアが元の曲を少し不穏に変えた中を走りまくり、コンパーメントが映されて登場人物が紹介される。それにしても多芸な力持ちの多芸っぷりには驚くというか多芸の意味を理解したのは最後の紹介のときだったが。

原作は前半で終わる。クライマックスは当然のように火事のアパートからの飛行だが、もう最初からダンボが空を飛ぶのは自明だから出てくると同時に飛んでしまって、意外なほどそこには重点がない(ように思わせて、やはりここぞというときには飛ぶので飛翔にまつわるカタルシスはありまくる。飛翔のカタルシスといえば、突然野田秀樹の白夜のワルキューレか彗星のジークフリートだか、どちらかの飛翔シーンを思い出したり、ウィズの飛翔シーン(これが一番映画的にはうまく表現されていたと今でも思う)を思い出したりもして、映画は記憶だよなぁとつくづく納得したり)。

原作と最も顕著な相違は、獣と人間だけはリアリズムで分離したことで、ティモシーは白いハツカネズミだしそもそもダンボと友誼を交わすわけではない(お勧めはされる)。コウノトリが不吉な預言を告げるかのように出てくるのはおもしろい。意地悪な上流のおばさん象たちは出てこない代わりに鬼のような飼育係が出てきてあまりの悪役っぷりに気分悪いなぁこれがこのまま出てくるのかなぁと思うとあっという間に退場していくのはなんだろう? 当然のように街の鼻つまみものの黒い集団も出てこない。

代わりに親子の物語に話を変えていて、まあそれもありかなぁとかは思う(母親の喪失の2つの物語と、母親の回復(昇華)の2つの物語の同時進行と言えなくもない)。それにしても、アニメと異なりそれなりのリアルな質感を持つ象が空を飛ぶのは、絵的にはあまりに異様で、本気でティムバートンはダンボが飛ぶ、サーカスといえばフリークスそれは見世物な映画を撮りたかったのだろうなぁという気にはなる。

何の役にも立たなそうなイカサマっぽいサーカス団員たちが実はそれぞれの持ち味を発揮しまくって大団円へ向かう様子はフリークスを思い出す。特に太ったマーメイドと、奇術師が抜群だが、奇術師に対する比重の掛け方とか謎演出も多い(同じくダンボが奇術師と同様な役を果たすシーンも異様に長い。何か、作家としてはスィッチに対する強い思い入れがあるのだろうか)。インドの蛇使いが的確な一言居士の役回りで良いし、実は本当の蛇というのも味があるが、なぜいきなり主人公を締め上げるのかとか、ふざけた演出が大量に散りばめられていて実におもしろい。

元の作品を切りまくって公開版にしたのかな、と思うのは、サーカス団長がいつの間にか銀行家と仲良くなっているところとか、いくつか。おそらく3倍くらいの長さのディレクターズカットが出てくるのだろう。

酔っ払いのピンクの象の本歌取りも不思議で、異様なまでにダンボの目を強調していて(原作だと酔っぱらってトローンとするのだが、同じくトローンとさせまくる)、後に何か続けるのかと思うと、別にそんなこともないとか。

1941 [Blu-ray]

ダンボといえば1941。


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