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日々の破片

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2018-10-06

_ Rails 5.2.0から5.2.1で何か重要な修正が入ったようだが調べなかった(多分わかった)

サーバーサイドでPDFを作るために、ネストしたRailsの呼出しを作った。

最初にクライアントからリクエストを得る。(Action Aが動く)

コントローラの中でリクエストの正当性を検証した後に、サーバーサイドで動作しているヘッドレスChromeをDevToolsで操作してリクエストを要求させる。

ヘッドレスChromeは別のアクションを呼び出す。(Action Bが動く)呼出しに答えてレスポンスを返す。

Action Aで動いていたDevToolsクライアントがNavigateの完了を得て、さらにいろいろ動いたあと、DevToolsでPDF出力を要求し、結果のBase64(PDFそのもの)を得る。

Base64をデコードして(つまりapplication/pdfを得て)Action Aのクライアントに応答を返す。

これを2つのドメインで動かしているのだが、開発用のドメインでは2回に1回はタイムアウトすることに気付いた(発生タイミングはランダム)。ログを見ると、Action Bが動くかどうかのぎりぎりのところでハングし(ActionControllerに制御が与えられたかどうか微妙なところだ)、Action Aに対してnginxのタイマアウト検出によってAction Bの残りが動作して解消している。

少なくともpumaの中では止まっていないので、次にactionpackの中を順番に見ていくのだがなかなか止まっている箇所にたどりつけない。

同じDBのロウに対する読み込み(Action Aの検証でfindをかけている)だから一瞬行ロックか? と思ったが、明示していない以上、それはあり得ない(というか、そんな理由なら100発100中のはずだが、半分は成功する)。

聞き込みをしてみると、ステージング用ドメインでは一切そういう問題は発生していないらしい(リクエスト数ははるかにステージング用のほうが多いので発生していたらもっと早く気づく)。

これも理解できないので、何が違うか調べたら、ステージング環境へのデプロイでBundleを動かすところで特にバージョン制限していなかったから、開発環境はRails 5.2.0、ステージングは5.2.1で、そこが違った。

なんだ、リリースノートを見ればわかるな、と思ったらわからん。

GVLが原因のデッドロックだというのはほぼ間違いないのだが(他に理由があり得ない。とはいえ、Action AはヘッドレスChromeに対するDevTools呼出しのWebsocketの待ち状態でしか無いはずで、ここには問題はない)、調査打ち切り。

#追記:https://github.com/puma/puma/pull/1563 このissueの修正版のpumaがRails 5.2.1には含まれているからではないか?

# 2018/10/11 多分、理由がわかった。バージョンは関係なくて、開発環境だと修正->試す->ロックされて死ぬ→試す→修正->試す->ロックされて死ぬ→試すというサイクルを取ることが問題だったのだ。つまり、修正->試す->ロックされて死ぬ→試す→試す(以降OK)。developmentなので(またそれを期待している)クラスの再読み込みが走る、それが原因でほぼ間違いない。再読み込み中に別スレッドでさらに再読み込みが走るのでデッドロックするのだろう。


2018-10-13

_ XTC コンプリケイテッド・ゲーム アンディ・パートリッジの創作遊戯

2017/11/27という微妙な時期に購入したまま放置していたアンディパートリッジの創作遊戯を読了。

おもしろかった。

リアルタイムにはそれほどXTCの良き聞き手ではないどころか、XTCだとコリンムールディングの曲(頑張れナイジェルとか)以外にはまったく興味を持てなくて、アンディパートリッジのプールにダミーが浮かびまくっているソロとか買って1回聞いただけでディスクユニオンに売り飛ばしていたくらいなのだが、tnozakiさんにブックスアーバーニングを教えてもらってから相当変わったというよりも、エレキギターという楽器の音についての聴き方がわかってきたのだろう。最近はそれほど興味がなくもない。

それでも音よりも言葉のほうがおもしろい。

本書は、アンディパートリッジに対してワシントンDCのミュージシャン/ジャーナリスト(クリッシーハインドもそうだが、ジャーナリスト兼業ミュージシャンってそれなりにいるのか、特殊業界なので餅は餅屋にしかわからないところがあるのか、っていうかプログラマー/テクニカルドキュメントライターと同じ道理か)のトッドバーンハートという人が電話インタビューで自作曲を語らせたものをまとめたものだ。

抜群におもしろい。

おもしろいのは3つの理由があるからに思う。

まずアンディパートリッジっという人間がユーモアとセンスがあるから言葉がおもしろく(ってことは訳業も良いのだ。太田晋という人)、受け手のトッドバーンハートが同調的だからだ。

次に、優れた時代史となっているからだ。

そして創作の秘密や裏側は常におもしろいからだ。

それにしても、どの曲のどのコードをどういじってこうしてこうやったらこうなって、それをプロデューサーのトッドが勘違いして調性を間違えたところにもってどうしたこうしたみたいな話がつまらないわけがない。

XTC コンプリケイテッド・ゲーム アンディ・パートリッジの創作遊戯(アンディ・パートリッジ)

まったく当時は知らなかったが(ホワイトミュージックの構図をそのままスランにあてはめた表紙画があるからまったく気づかないわけでもない)、森脇真末味の緑茶夢の後半のエピソードはまさにXTCがモデルになっていたのだなと、セカンド作成時のキーボード奏者との主導権争いの箇所を読んでいて懐かしく思った。

緑茶夢 スラン (小学館文庫)(森脇 真末味)

(サイケ時代の(ドアーズやシドバレット時代のピンクフロイドあたりに着想したらしき)水野英子のファイアーといい、自分たちをモデルにした同時代的な優れたバンドマンガが東の果てで作られていることを彼らは知っているんだろうか)

インタビューの中でおもしろタウン出身と散々語られているスィンドン(距離から日野/八王子とか、川口/大宮みたいなもんか?)についてのジョンモリッシュという人の散策文学っぽい前置きも抜群におもしろかった。


2018-10-14

_ 有東木のワサビ

五反田でアフリカ料理を食おうとしたら、貸し切りで入れず、しょうがないから適当な店で定食を食いながら壁を見ると「当店は有東木のワサビを使っています」とか書いてある。

有東木って何て読むんだ?と不思議に思って調べたらワサビ発祥の地という口コミ観光ページが出て来た。

ワサビの葉っぱが三つ葉葵に見えるので徳川が駿府から持ち出し厳禁にしていたところ、シイタケの栽培方法を教えに来た天城の技術者にお礼として苗木をこっそり渡して外部に知られるようになったとか、知らないこと満載でおもしろかった(定食はご飯がしっかりしてるし、味噌汁は海苔が良い感じ、魚も悪くなく存外うまかった)。

朝のNHKドラマで、ワサビとシイタケを組み合わせてご当地名産を作る話があったが、上のエピソードからいくと、このあたりが舞台だったのかな。

ところで、結局、有東木の読みはわからなかった。

上でリンクしたページの道路案内ではUtogiと書いてあるが、いろいろなところで、「うつろぎ」と書いてある。道路公団としてはうとぎで、一般にはうつろぎ、ということなんだろうか。

比較的地名は辞書に登録していると思うMS-IMEでもOSXのATOKでも、うつぎでもうつろぎでも変換できないし、結局わからない。


2018-10-15

_ 硫黄島からの手紙

15年ぶり以上で飛行機に乗ったら、すっかり様変わりしていた。今や映画は目の前の座席についたLCDで個別に見ることになっているのだな(16年前はエコノミーは10列あたりに1つの中型モニターが天井からぶら下がっていて一律でそれを観るようになっていた)。

で、何があるか見ていたらクリントイーストウッドの硫黄島からの手紙があり、劇場公開時に見逃していたのでそれを選ぶ。

翼の後ろの席なのでジェットの轟音がすごくてあまり聞き取れないが、英語字幕が付いているのでどうにか筋を追うことはできた。

尉官は暴虐のカスで、海軍士官は能無し揃いのところに、戦略家の陸軍大将が赴任し、足で歩き目で見て持久戦のための戦略を立てて米軍と闘うという一応歴史そのままの中に、徴兵されてやってきたパン屋の上等兵や、人情味を出したために憲兵隊から追い出されて最前線送りにされた上等兵の銃後のエピソードをからめた物語が展開される。

冒頭は、硫黄島にある岸信介による碑の大写し。そこに遺品管理のために派遣されたらしき研究班が地下通路から発掘した書簡などから物語が始まる、一種の額縁物語となっていた。

言葉ではなくフラッシュバックで描かれる過去がどう現在になるかというクリントイーストウッドの得意な手法なのだが、観ていてクリントイーストウッドの日本映画という妙な取り合わせだということに全く違和感がないのはおもしろかった。

硫黄島からの手紙 (特製BOX付 初回限定版) [DVD](渡辺謙)

確かに傑作だった。


2018-10-16

_ サンフランシスコのBART(切符)

Uber使わないと移動が不便過ぎると、Uberのアプリをダウンロードして、支払い設定をする。

最初にKYASHのカード番号を入れたが、使えないと弾かれた。エラーがすぐ消えて理由がまったくわからないのが厄介だな。でもきっとデビットではだめなんだろうと納得することにした。

では、PayPalだと、PayPalの登録したが、PayPalに登録を拒絶された。

それを見ていた同僚が、いきなり外国から支払い許可が来ると弾くみたいで、おれはまず普通にログインしてパスワード変更をして、PayPalにロケーションを納得させてから設定したら通った、と教えてくれた。が、面倒くせぇな。

で、Uberからもう一度設定してみたら、承認されるじゃん。ラッキー。

が、この後、配車を依頼するところで常にエラーが表示されて先へ進めない状態に陥った。メッセージからは支払い系ではない。

helpを見ろと書いてあるので、ブラウザーでhelpを見て問い合わせをしたら、すぐさま、エラー画面のキャプチャーを送れと返事が来た。

(が、それから丸1日、エラー画面をキャプチャーできなくなるのは、もし正常に配車依頼できてしまったら面倒そうだから、実際に配車を依頼する状況になるのを待つことになったからだが)キャプチャーを送ったら、そのまま何の連絡も来なくなった。

で、キャプチャー待ち1日の間に市街ガイドとかとにらめっこして、ホテルの目の前の地下への階段がBARTとMUNIの2種類の地下鉄への入り口だとわかった。なんだ、交通の利便性がむちゃくちゃ高いではないか。

というわけでBARTを使いまくることになった。MUNIは1回しか使わなかったな。

BARTでおもしろいのは、20ドルまたは10ドルの両替機で、どちらかを入れると5ドル札に両替できる。

これが日本のマシン(ローレルとかグローリーのやつ)とは発想が全然違う。

日本のマシンは、札を入れると、ピシッと札束が出てくる。

BARTのやつは札を入れると、ジュースの販売機のようなアクリル板の向こう側の空間に、上から1枚ずつヒラヒラ5ドル札が舞い降りて来て、出終わるとアクリル板がおもむろに開く。

こいつはジャムとかなさそうで、その点は日本のやつよりも優れているな(耐障害性は圧倒的にこちらが上)と思うと同時に、ヒラヒラする空間が無駄極まりないな(空間効率は圧倒的に日本のやつが上)とも思う。いずれにしても、こんな両替機は見たことないや。

で、切符がまた発想が違っておもしろい。使い捨てではなく、基本はチャージ式のぺなんぺなんの磁気テープを貼った紙カードになっていて、残額がある限り何度でもチャージできる(上限が設定されているが幾らかは忘れた)。

ところがちょっきりだと(シビックセンターからモンゴメリーが2.5ドルなので5ドル分チャージしたらちょっきりになる)カードは吸い込まれて戻って来ない。

どういう理由なんだろう?

しかも、搬送路が異様に短いように見える(日本の磁気切符を入れた場合、手元に入れて改札の向こうに出てくるような記憶があるんだけど間違っているかも)。入れた瞬間に手元に出て来て、それからゲートが開く。なんか日本の改札とタイミングが異なり過ぎて切符を取らずにゲートにぶつかりそうになった。

似たようなシステムでも違うんだな。

で、BARTの券売機兼チャージ機は、ちゃんとお釣りが出るのだが(20年前の記憶だと、香港だろうがアメリカだろうがイタリアだろうが、お釣りが出る券売機なんて気の利いたものは日本でしか見られなかったと思う)、これが両替機ともまた異なって、他では全く見かけない1ドルコインをチャリチャリ出しまくる。

まあコインのほうがジャムらないし、搬送路に立って立ち往生するような障害は水平搬送路以外ではほとんどない(グローリーは稀にこれが発生して往生する)から、良いわけだが、まさか自動販売機のお釣りようにわざわざ1ドルコインを作ったってことはないよな?

_ サンフランシスコのBART(バイク)

最初に、シビックセンターから乗ったら、後ろからバイクーバイクーと言いながら自転車をかついだ兄ちゃんが乗り込んできて、なんじゃこりゃとびっくりしてどいたら、ほいほいとドアの脇の空間に立って寄っかかっている人たちを追い払って、バイクをおもむろに係留しはじめた。

車椅子係留スペースじゃないのか? と思って眺めていると、確かにBYKEとでっかく壁に書いてあってついでに自転車のでっかな絵もついている。

ほえー、自転車乗り込み前提なのか。ここは日本じゃねぇな。

では車いすはどうなのよ? ときょろきょろすると、大体バイクか車いすの係留スペースが交互にドアの脇にある。

その後、10回くらいBARTに乗ったけど、自転車かついだ人はこの時しか見なかったので、良いものを見られてラッキーだった。

_ サンフランシスコのBART(エスカレータ)

シビックセンターのBARTのエスカレーターはMUNIのフロアーを突っ切って2階分の移動になる。つまり長い。

長いエスカレーターを歩くのはうんざりなので立ち止まっていたら、なんかいちち邪魔扱いされる。で、気づいたが、ここでは立ち止まるのは右側、歩くのは左側なのだな。東京感覚で左側で立ち止まっていたのが問題だった。

その後、パウェルだろうが空港だろうがモンゴメリーだろうが、どの駅でも、エスカレータは歩くのは左、立ち止まるのは右というのを確認した。

ここの人たちが東京オリンピックで日本に来ると、歩くと立ち止まるが逆側できっと混乱するだろうなぁと思った。


2018-10-17

_ サンフランシスコといえばレジデンツ

同僚が、唐突にレジデンツのギグを見つけた。

10/16 19:00からSwedish American Hallだ、ということは今日の夜じゃん。

で、25ドルのチケットを2枚頼もうとしたら既に売り切れで30ドルのチケットのほうを手配した。

さすがサンフランシスコだな。

で、名前からして、おれは今もあるか知らんけど、六本木はハリウッド化粧品トンネル麓のデンマークセンターみたいな建物を想像していたわけだ。

Uberがなかなか捕まらなかったとかで、ちょっと遅くに同僚がホテル前に迎えに来てくれた。

運転手はラテンっぽい。同僚が昼間に見たシビックホールの周りのタクシーのパッパラパー大行進について聞いたが、全然知らんとのこと(後で考えると、SIGNALのためにそこら一帯が通行止めになっていることに対する抗議じゃなかろうか)。

で、どんどこ北へ進み、大きな丘陵を下ったりしたあとに、古めかしい街並みに入って坂を上り始めたところで車が停まった。

で、どれがスェーデンのアメリカにあるホールだ? ときょろきょろすると、古風な建物が目についた。

中に入ると、いかにもナードな眼鏡のあんちゃんと全然覚えていないねえちゃんの2人組が入り口でチェックしている。

階段を上ると、そこがホールだったが、なんだろう? ホールというよりも寄席みたいな感じ。ホワイエにちょっとしたバーカウンターがあって、中はパイプ椅子が並べてある。2階席もある(ここで朗読するのが、舞台左のでっかな水晶玉に映し出される)が、こちらには客はいないようだ。

遅れてきただけあって、すでにショーは始まっていた。

青山で観たときと同じく、ペスト医師軍団と牛が、ノイズを出している。うむ、レジデンツ。ここだとまさにレジデンツ。

客はみんなパイプ椅子に腰掛けてじっとノイズに耐えながら、水晶玉の朗読に切り替わるとときどき笑う(が、何がおかしいのか、おれには全くわからなくて残念だ)。

追記:

女の気をひくために見舞いの花を買おうとして生花が花屋になく、若い店員がじゃあ裏に咲いてるのをまとめて持ってきますよ、というのでじゃあそれをくれと待っていたら、綺麗にラップされたサボテンが出てきて、お前これサボテンじゃねえか!?みたいな話の朗読でしたよ

いい感じじゃん。客数は200人いるかいないかってところ。

実に良い雰囲気でおもしろい。

終わって外に出るとMUNIの入り口がすぐに見つかったので乗り込む。

いつもと違う出口で出たので、おっかないのなんのってありゃしないが(ホテルの目の前の出口から出れば良いのだが、間違えて、共同住宅らしきものの建築現場の前に出た)まあソーソーで戻った。

_ サンフランシスコといえばケーブルカー

ケーブルカーといえば強羅-早雲山とか御岳山のやつを想像していたら、サンフランシスコのやつは地面の下にケーブルがあるらしい。ていうか、そうでなければ直交する道路の車が通れない。

で、チャイナタウンを見学して、海のほうへ坂を下ってケーブルカーに乗ることにした。坂は切り立った崖みたいで、歩いて上る気にはまったくなれないからだ。

キャッシュオンリーということなので、お金を払って乗り込んだ。進行方向向かって左側に陣取ったのは特に意味はなかったが、太陽に照らされる側だったのは誤算だった。

後ろを向くと、でっかなレバーと運転手さんがいて、そもそも運転手さんは進行方向前にいるのではないから、レバー操作を見るのはそれはそれでおもしろい。ギアとワイアーで、なかなかパンクな電車だな。

丘のてっぺんあたりに、でっかな白い建物(白亜の殿堂という紋切り型のフレーズにこれほど似合う建物も珍しい)が見えて、一瞬ソ連の巨大建造物かと思った。労働こそ価値だか、額に流す汗は尊いだか全然記憶にないが、何か労働を称えるような言葉がでっかく書いてあって、なんじゃこりゃ? と不思議に思って目を凝らすと、下の方に眼玉と三角とコンパスが書いてある。こんなところにフリーメーソン、というか、まさにフリーメーソンっぽくておもしれぇなぁと感じ入る。

終点で降りると入れ替わりにアジア系の人たちがたくさん乗り込んで来るのが見えた。

適当に坂を下りながら北へ進むと、でっかな通りにぶち当たった。下の方にこれまたでっかなスタジアムかホールか、そのての建物が見えたので(後になって調べると多分市庁舎)、この通りを下ることにした。バンネスアベニューというらしい。

右側にホンダ、ニッサン、(看板は忘れたが中にはジャギュアやベントレーが置いてあるのでイギリス系)といった外車屋が立ち並ぶ。

さらに行くと養老院があって、なんか雰囲気からは青山通りとか表参道とかに近いのかな。

養老院の脇に本屋が見えたので、そこに入ろうとしたらやってなかった(覗くと美術関連の本のようで、中にはヒゲしもぶくれのおっさんが、何か一生懸命書き仕事をしていた)。

さらに下ると、営業中の本屋を見つけたので入る。

ちょっと雰囲気が違って、民主党っぽい香りがしまくる。

YAものがやたらと充実していたり、オバマの本が平積みになっていたりする。

平積みの中に、トムロビンソンバンドではないが、拳が立ち並ぶのがあり、題名はちょっと過激、中を読むと子供用の社会参加の入門書みたいでおもしろいので、買った。このあたりは、リベラルなのだろう。金もありそうだし。

Steal This Country: A Handbook for Resistance, Persistence, and Fixing Almost Everything (English Edition)(Styron, Alexandra)

オペラハウスがあったり(後にサンフランシスコ交響楽団の本拠地と知ったが、未だにぱっとしないのは対外活動が活発じゃないだけで、地元ではちゃんとやっているのかな)。

坂をほぼ下りたあたりで、海側へ向かうと、シビックホールが近づいてきて、横にビルグレハムオーディトリウムもあった。なるほど、明日はここへ来れば良いわけだな。

なんか回りをタクシーが囲んで、パーパー鳴らしまくりながらぐるぐる回っている。なんだろう?

中のほうでは、SIGNALのテントを設営している。

地図を見ると、おれが泊っているホテルがすぐ近くだとわかった。

で、信号渡って最短の道に入った瞬間、これがおっかなくて、びびる。

ホームレスがいるのは見慣れてしまったので全然良いのだが(それにしても脚が不自由な人がやたらと多い。朝とかだとボランティアの人たちがいろいろ世話しているのを見かける。あと、犬を連れた人も多いね)、明らかに、その位置を持ち場とした集団が何組かいる。

特定位置を持ち場とした立っている健常者がいれば、女性なら娼婦、男性ならば売人だ(もちろん男娼もいるわけだが、なんというか目つきが違うし、この界隈の雰囲気はそっちではない)。

で、ここは男性が数組、タバコ屋を中心として並んでいる。そういえば、ホテルの周囲を探索したらSPARCがあったから、サンフランシスコで売っているものはそのてのまともな系統ではなく(だって正規に買えるわけだし)注射系だろう(キルミープリーズだと、ベトナム戦争反対派がみんなマリファナをやっているもので、ニクソンがマリファナ=危険(政治的に)と印象付けて、安全なものとしてヘロインを売り出したというような陰謀論が書いてあったが、全然安全ではないな)。

で、住んでいる世界が違うからおっかねぇなとは言え、逆に言えば商売人なので、客ではない人間が、自分のほうから商売の邪魔をするようなことさえしなければ、ただの通りすがりに余計なことをしでかすようなリスキーなことをするはずはあり得ない。

その意味では、明らかにすっとんでしまった連中よりははるかに安全ではあるから普通にスルーすれば良いので、安心といえば安心でもある。ぶつかったりしなければ。

で、結局、毎日その道を通ってビルグレハムに通うことになるのだった。


2018-10-20

_ 今回のトラブル

10/15 ESTAが必要と知らなかった。知ったのは家を出る1時間前で、金はかかるが役所よりも早いんじゃないかと後から考えると無意味なことを考えて業者経由で申請してみた。それから2時間後、ユナイテッドのカウンターでESTAは不明と申告すると係員が調べて、まだ通ってないし、業者はあてにならないからこの場で大使館に申請しろと言われる。しょうがない。スマホのUIで死ぬほどうんざりしながら、延々と入力項目を再入力してPayPalで14ドル払って搭乗手続きを終わらせた。しかし、ESTAの申請が間に合わないとどうなるのかな? とそれなりに興味深くはある。ところがゲートへ向かって歩いているとスマホにメール着信が来て、業者から申請が通った、これが証拠とPDFが送られてきた。金取るだけあってちゃんと仕事してるじゃん。が、10分遅かった。まあ、このあたりは金だけの問題だからいいけど、全然時間的には余裕はあったのだから、もっと早く調べておけば良かった。完全に9・11前のヴィザフリーの時代の感覚のままだったのが敗因だ。

10/16 ホテルに戻ったらカードキーを入れると緑の点滅の代わりにオレンジが点滅して、まったく開かない。

磁気がやられたのかな? と予備(2枚渡された)のほうでやっても同じだ。

どうしようもなくなって、フロントに行って入れないんだけどと言うと、システムがトラブっていて、というようなことを言われて、デポジット用のカードをもう一度渡せ、ときた。で、渡して、しばらくしてから部屋番号は? と聞かれて答えると、今、設定し直すと言われて別のカードを2枚渡された。

で、この件は終わり。

10/18 会場のセキュリティチェックで常にピースカピースカ鳴るので万全を期して、金属系のものをすべて小皿に入れて通ったら、見事一度でクリアした。

で、財布、キー、小銭、などなど一式を受け取って持ち場に入れ始めたら持ち方が悪くていきなりスマホが活性化したのでそのままポケットにしまうわけにも行かず電源ボタンを押してスリープさせてとかわさわさやっているときに、何かをしでかしたらしい。

しばらくして、鼻をかもうと左ポケットに入れてあるポケットティッシュをまさぐると無い。変だな? と思いながらカバンの中の別のやつを使ってその時はそれで完了させてしまった。

それからさらにしばらく(数時間経過)して、左ポケットが空っておかしいぞ? と思い返した。何が本来あるかといえば、ポケットティッシュの他はホテルの予備の紙ジャケットに入ったカードキーで、待てよ、紙ジャケットには部屋番号が記入されているし、カードにはホテル名がある。これはやばいのでは? と気づいた。

どうも、セキュリティチェックの後、左ポケットに入れるべき一群の品を仕舞う前にスマホの電源をオフするためにいじっているうちに落としたのではないか? と気づいた。えーと、左ポケットには他にも何かあったような……と思い出すと、何か赤いものが脳裏のスクリーンに写し出される。赤いものってなんだ? とアップにして真っ青になった。パスポートじゃん。

あわててセキュリティのところに戻ろうとしたが時間が過ぎているので最初の入り口のほうはすでに撤収している。で、別の場所のセキュリティの係員にどうもおれはパスポートを落としたと申告すると、それは大変だ、とビルグラハムのロスト&ファウンドへ連れて行かれた。が、窓口の係員は、パスポートの落とし物はないなぁとちょっと調べて言い出した。

無いよ、と係員。ありがとう、じゃあ他を当たるよと言って別れる。

でしばらく行くとKWCの人たちを見つけたので、泣きついた。早速、Slackを使って聞いてくれると地下に別のロスト&ファウンドがあるということがわかり、一緒にそこへ行く。が、そこにも無い。

もしかすると、左ポケットの内容そのままホテルに置いたままで、脳裏の写像は昨日のものかも? とほのかな期待が湧いてきたので、まずはホテルを確認してみると言って、おっかない通りを刺激させないようにしかし急いでホテルへ向かう。しかしどこにもねぇ。記憶のほうが正しかったな。でも少しも嬉しくはない。

一方、KWCの人たちはこの頃、何も知らない八木さんを捕まえて何やってんじゃと詰問していたらしいが(ごめん)、おれはそれは知らないまま、またもおっかない通りを刺激しないようにしかし最速でビルグラハムへ戻る。

そこにSlackで見つかったという連絡が八木さんから入ると同時にKWCの人に出会って、見つかった! と渡してもらえた。推測通り、元のセキュリティのところからそのままレジストレーションのところで保管されていたらしい。

と、皆さんにはご迷惑をおかけしました。非接触式ICだからインレイに金属反応するんだろうといちいちパスポートを移動させたのがまずかったなぁと反省しまくった。というか、スマホよりも本来は重要なんだから、まずはそっちを確実に片付けてから他のことをやれば良いのに、価値転倒させた行動がまずかった。

どうも本当にありがとうございました。

で、なぜか見つかったパスポートにはポケットティッシュがはさまっていたがホテルのキーは無い。ジャケットも当然ないわけで、最初にやばいと考えた状態は全然解消されていない。で、ホテルに戻るとフロントに、カードキーとジャケットを落としたので、キーを変えてくれと頼んで変えてもらった。16日のカードキーのトラブルでドアロックの設定とカードキーは独立して管理できていることを知ったので、組み合わせが変えられることはわかっていたからだが(物理キーと違って良い仕組みだな)、カードキーを1枚紛失したのは事実なので、いくらチャージされるんだろうか?

10/19 トラブルではないが、モバイルバッテリーを取りに一度外出してからホテルへ戻ったら部屋掃除の人と鉢合わせになった。バッテリーを取りに来ただけだからそのまま続けてくれと言ったつもりで、カバンからモバイルバッテリーを取り出して出て行こうとしたら、待て、キーを渡せ、と言われる。で渡すとドアに通して緑の光が点滅するのを確認してから返してくれた。

なるほど、正しい。


2018-10-21

_ ブレードランナー2049

帰りの飛行機では、ブレードランナー2049を観た。

日本語吹き替え版なので字幕がない。同じくエンジン後ろの席なので音はそれほど聞き取れないのだが、それでも要所は聞き取れているのか、それとも映画作家の腕が良いのかストーリーは理解できた。

これはリドリースコットのオリジナルよりも良いものではないだろうか。(オリジナルはレーザーディスクが擦り切れるわけないがノイズが乗るくらいに何10回も観た)

第一にこれはディックの作品になっている。

ディックの作品は次の2つのテーマを持つ。

・おれは一体誰なんだ?

・何をもって人間は人間と言えるのか?

最初のテーマは、自問自答させれば済むと考えれば、トータルリコールのようなつまらない映画になるし、次のテーマは恋愛っすよ、と割り切ればリドリースコットのブレードランナーになる。

でも、2049はもう少しまじめにディックの作品にしていた。

ブレードランナー 2049 (字幕版)(ハリソン・フォード)


2018-10-27

_ 太陽の塔の中を見る

妻がなにかでJR東海のパックツアーの太陽の塔の中を見るやつを見つけた。

太陽の塔の中は最近公開されたが、16人ずつしか階段を上らせないとか、要予約とかいろいろ面倒くさい。そのあたりをさくっとまとめて新幹線込のパックにしてあるので、それは良いということで申し込んだ。

新幹線で新大阪集合、あとは時間を潰すために(というか観光地にお金を落とさせるために)あべのハルカスとかいうビルでやっている太陽の塔に関連する展示とか、大阪城とか、Expo70パヴィリオン(?)とかの見学。オプションで京都一泊と夕方東京に戻る新幹線の切符というのがあって、そっちを選んだ。

あべのハルカスの展示では、初代の未来の顔(金色のひよこのやつ)とか、地下の祝祭空間に配置されていた金色の目だけの顔のレプリカなのか原型なのかとか、ノンとか腰掛けることを拒否する椅子とか、が置いてあって、巨大なもの以外は、青山の自宅とかでも観られなくはないが、やはりおもしろい。思い出したが入っていきなりは、多磨霊園にある父母を見つめる子供で、これ大好き。

それにしても、等身大岡本太郎が2体(太陽の塔の原型を作る姿、穴から向こうを覗く姿)あったりして、青山にもいたが、自分の存在自体を芸術活動にする姿勢には頭が下がる。

この展示が良いところは、完全撮影OKなところだが、その一方で、彫像と一緒に撮ろうとする人たちが大行列していて観るだけだと相当邪魔になることで、無視して横切れば良いのだろうが微妙なところだ。

展示を見て、最初地下から入り、原始からの人間芸術をくぐってから生命の樹に連なるストーリーがあることを思い出したか、初めて知ったか(初めてということはあり得ないが、というのは当時ニャロメの万博案内はもちろん、相当多数のカタログを読み漁った記憶があるからだ)で、そこは埋め潰されているので無しと書いてあってある意味おもしろい。祭りの後っぽい。

じゃんじゃん通りで行列ができている串カツ屋に並んで昼飯を食う。アスパラとか玉ねぎとかが意外とうまく、どんなんだろうと(素材的には好きそうで)期待していた土手焼き(焼きというが煮物)は今二つくらいだった。おれには味付けが甘過ぎる。

妻が上ったことが無いと言うので通天閣へ行く。なんか25年位前に来た時は劇場がくっついていたような記憶があるのだが、今はタワーだけが佇立していて地下から入るようになっている。お菓子屋がたくさん。エレベータを含めてすべてがゆっくりと買い物する以外にすることがないように仕向けられていておもしろい。ただ、それでも展望台に上ると相当人がいるので、どうも人数があまりたくさんにならないように調節をしまくっているのだな、と思う。並んでいる間に前にいた中国から来たらしき人がラブライブの平たい人形のガチャガチャをやっていて、なぜラブライブと不思議に思う。水色のやつが出て来ていた。エレベーターはどんどん昇るシルエットの演出で、おもしろくなくもない。

その後、じゃんじゃん通りをまた戻って、20年位前に同僚と探検したじゃんじゃん通りの先のガードくぐったあとの動物園通りのアーケードに多少入ったところで時間切れとなって戻った。以前来たときよりも、15年くらい前に見た山谷に風景が似ているように思った。

バスで移動。

大阪城はちゃんと入るのは初めてで、こんな機会でもなければ死ぬまで観ることはなかっただろうが、これも意外と楽しめた。虎の実物大のやつが中に展示されていたが、天守閣が庶民のための見世物でもあった織豊時代ってのは、なかなか優雅なものだなぁとか。

で、万博公園に移動。

記憶にあるのは、お祭り広場で雲のイメージではないだろうが、なんか水平に渡した板状の建造物から唐突に飛び出している太陽の塔なのだが、単純に聳え立っていると、それはそれで抜群におもしろい。

観ているだけで楽しいのはどうしようもなく凄いなぁ。

時間潰し用のExpo70パヴィリオンという訳の分からない建物に入って、2階へ上り、展示物の中に入った瞬間、記憶が突然よみがえり、これは鉄鋼館じゃないかと納得しまくる。鉄鋼でがちんがちんに作ったので取り壊すことが(多分コスト的に)できず、そのまま残されることになったというのが、こうやって残っていたのか。鳴り響く音楽はクセナキスでも高橋悠司でもなさそうな感じだが、わからないや。というか、音響は展示物ではないのだろうか?

当時のコンパニオン(なんちゃらエンジエルとか書いてあって、なんか思い出すものがいろいろ)の服とか、クレージュ風だったり(あるいはクレージュそのものかも)するのだが、展示のマネキンと映像とであまりの体型の差異に驚く。70年代から50年で本当にいろいろ変わるものだ。

住友は見た記憶があって、箱の中に赤ずきんが白黒で、犬猫は色彩を認識しないと書いてあったのではなかったっけ? とか、三菱は煙をスクリーンとしてサメを投影していたなぁとか。

しかし大混雑で入れなかった太陽の塔は今回が初回だ。

で、わくわくしながら地下への入り口から入る。

ガイドが1人つく仕組みになっていて、ちょっとおもしろい。

最初に地下の埋め潰された空間から「いのり」を縮小再現したコーナーへ進む。なんの説明もなしに数100の各地の神像が配置された中心に、目しかない巨大な顔がある空間というのはなんなのか。

大量に配することで個々の差異は意味を失って、人間のいのりという行為の普遍性を示すと同時に、中心となる本物の神は祈りを聞く耳もなければ語りかける口もない。しかし見てはいる、という森永のエンジェルみたいなことなのかなぁ。

いや、なんだかわからないが、ドーンとでっかな金色の顔のまわりにたくさんの神像を並べたかったのかも知れない。いずれにしても滅法おもしろい。

生命の樹にはおどろくほど感銘を受ける。おれは本当に岡本太郎が好きなんだなぁ。

音楽が、モダンな音響で、あれ? 誰だっけ(主要な作家は鉄鋼館に取られているし)と思ったら、黛敏郎と説明がある。あの極右民族主義者が、まだ出光に取り込まれる前の作品なんだろうか? 非常に明解な時代性を持つ音が心地よい。

その樹から降りたことがない首長竜がでかい。

最新の知見で修復とか書いてあるから恐竜に羽毛をはやすのかと思ったら、部分部分にLEDを入れて明度を増したりしたことをさすらしい。

ゴリラは壊れたままの頭部と脚部。

頭部は下から見ると帽子をかぶっているように広がって見えるのに、実際に近づくと逆に回りが取れて金属の三角がむき出しとなっている。膨張/縮小の不思議だ。

最後、両翼へ通じるワンバダというかタイムトンネル風というか、すさまじく不可思議な視覚効果を持つ空間を眺めて(上に続く太陽だか光だかの空間はいびつなだけに両翼ほどインパクトがなくて逆に不思議)裏に設けられた階段を使って下る。途中何点かパネルが置いてあって読んでいる最中はおもしろかったが、今思い出すと何が書いてあったか思い出せない。

30分という予定ぴったりの行程だった。

バスで京都へ移動。なんか観覧車が何度も何度も見えて、高速に乗るのに何周するのだろうか?

十条のはずれの鴨川近くのきれいで新しいが趣はまったくない観光ホテルに案内される。(趣はまったくないが、朝食は良かった)

歩いて伏見神社に行こうとして道を間違えて龍谷大学を外から見学するはめになったりしたが、最終的にはお稲荷さんについた。入り口の広い階段を上っているとネコがやってきて懐くのだがどうしようもないので無視。

本殿見て、裏の不思議なやつ(特に不思議なのは鳥居と賽銭箱はあるが、祠も何もなくて単に柵があるだけのやつで、山から妙なものが下りてくるのを防ぐためなんだろうか?)とか眺める。やたらと小さな鳥居を並べた祠で老婦人が二人一心不乱に般若心経を読経していて、なぜ神社で? と不思議に思う。

そしていよいよ1000本鳥居に向かう。19時くらいで、暗いも良いところ。

しかし暗いのだが、結構日本人だと思う言葉を話す人たちを含むアジア系の人たちでにぎわっている。

登り切ったところで、右側通行で帰り、1列になったところで矢印のほうへ行こうとするが真っ暗で道が見えない。妻にうながされて、気分悪いが一方通行の鳥居の中を逆行した。

帰りにさっきのネコが別の人たちに懐いていていかにも観光地のネコで可愛い。

さて、晩飯食おうとしたが、どこもやってない。

とりあえずホテルへ帰るかと、線路を越えて次の線路を越える手前ににぎわうラーメン屋があるが、ラーメンは食べたくない。そのはす向かいにこじゃれた飲み屋があったので、そこに入ることにした。

飲むのは好きではないが、飲み屋で飲まないのもなんか襟が立つ気がしないので、置いてある酒を聞いて伏見の酒だというから柳というのを頼み、他に適当に頼む。

冷酒で出てきたがこれがスッキリしていておいしい。これでアルコールが含まれていなければ最高なのだが、色と香りを再現するには、アルコールの揮発性が必要なんだろうか?

いさきの炙りお造りというのを頼んだのだが、なぜ炙り? と思ったら皮目が付いている。なるほど。これは良い趣向。岩ノリのピザとか不思議なものも頼んだが、これもおいしい。大体適度な鹹味でなるほど酒を飲ませる店っぽい趣向だなと思った。

と、相当おいしかった。良い店だ。

隣の席の客が主人と、スターバックスができるから観光客が来て伏見も変わるとか言っていて不思議になる。そもそもお稲荷さんがあるから観光客でいっぱいではないか。どうも、ナショナルブランドの店がほとんどない地域なのに、そのての均質化した気分悪いものが進出してくるのはいやだなぁという意味っぽい。まあ、今いる店みたいなのが心地よいのは事実だろうから、わからんでもない。

だらだら歩いてホテルに戻った。


2018-10-28

_ 京都観光

朝起きてホテルで朝食とってから十条の駅へ行き(ここのアクセスは良かった)昨日のガイドからのアドバイスに従って1日乗車券を買い、烏丸線で四条へ行く。

四条通は銀座か日本橋かという感じで大銀行と高級店が並ぶ。

大丸のところにイノダコーヒーがあるのを見て妻が、「ここの本店に行くのも目的だよ」と言う。なんでも高校の修学旅行の時に行きたかったのに時間がなくて行けなかったらしい。

道々、なんか歌っているので聞いていると「京の四条の橋の上、牛若丸と弁慶が、」とか言っているので、それは五条だと教える。あとで五条にも行くことになる。

途中簪屋がある前を通ると、確かここで母親へのお土産の櫛を買ったとか言い出す。おれの京都への修学旅行は中学のときだったから、そんなに自由時間はなく、まったく街を散策した記憶がないので、なんか羨ましい。

橋のたもとの細い道に看板が立っているので眺めていると妻が、ここは行くべし、と言い出してどんどこ入って行く。先斗町だがポントちょうと読むらしい。ポルトガル語のポントか英語のポイントから来たらしいとか書いてある。ポルトガル語は知らないが同じラテン語圏のフランス語のポン(ポンヌフのポン)だとすると橋のたもとだからかな? とか考えながらうろうろするまでもない細い道(往時の円山町みたい)なのでどんどこ進んで三条まで行き、今度は河原を歩いて四条橋へ戻る。どっちが表で裏かわからないが、両側から見たことになる。やたらと長い簾や雨戸がおもしろい。テーブルをはさんで足持たせが無い安楽椅子の向かい合わせという古い旅荘スタイルのテラスがある店が何軒かって、空間効率が良くない造りだから結構価格は張ったのだろうなぁとか考える。

途中妻が鴨川踊りの練習場を写真に撮っている。きれいな建物だがそこまでか? と不思議に思う。

四条橋を渡って南座の脇で、阿国が歌舞伎をやった場所と書いてあって、へーと思う。

八坂神社に入ると蛭子神社の前でアジア系観光客の大撮影大会が行われていて、なんで蛭子さんなんだ? と不思議に思う。

次が大国神社で、はて本殿は誰を祀っているのか不思議に思うまでもなく、親父のほうだった。なるほど、そういう仕組みだったのか。

右手から出て坂道を下っていく。

ふと見るといくつかの家の屋根の上に鍾馗がいる。髭と刀だから鍾馗なのは間違いないが、もしかすると七福神の混乱に乗じた毘沙門天かもと思って眺めていると、妻が、これなんだろう? 鴨川踊りにも居たんだけどと写真を見せる。

鍾馗(または毘沙門天の異動)だと思うけど、と言いながら調べると、そういう風習が京都の町家にはあるとあって、ちょっとおもしろい。

橋へ向かって右へ曲がり、祇園の街並み保存したなんちゃらのほうに自動的に入り込む(なんか細い道をどんどこ選んでいたらそうなった)。入口の家の前には高杉晋作がどうたらとか書いてあったが、まあそれはどうでも良いかな。

ここにも、結構な頻度で鍾馗が乗っている。

三条のバスターミナルの手前の店で妻はしんじょうを買っている(後で聞いたら天保年間創業の店らしい)。

橋のほうまで来ると、気持ちの悪い顔をした像が地に這いつくばっている。高山彦九郎だなと思いながら立札を読むと当たりだ。攘夷主義者は這いつくばっていれば良いのだ。

合流して三条通を進み、池田屋と看板が立っている店が右側にあるのを眺めたあたりで左内側へ入った。かに道楽のところで(偶然にも)左に折れたので、さらに錦市場のほうへ進み、観光客っぽくハモの天ぷらとか立ち食いする。

それから妻の念願叶ってイノダコーヒーへ入って、モカケーキとかブラックロックとか食べる。悪くない。

学生時代に読んだ珈琲読本で池坊保子がお勧めしていて夢だったのだそうだ。よかったよかった。

で、このあたりまで来ると特に何もないし(彦九郎ではないので二条城とかまったく拝みたくもない)本能寺でも観てみるかと敵がいるんだよね? とか、はしゃぎながら本能寺へ行く。

かっては豪華絢爛な宿坊を大量に配置したものでどうしたとか書いてあって、そりゃ知らなかった。

まだ時間が多少あるので、三条の駅から烏丸線で橋を見ようと五条で降りる。

五条だがほとんど六条なんだな。適当な縦の線に入って進むとやたらめったらと浄土系の小さな寺がある。

そういえば、石山本願寺を大阪城に改修するにあたって秀吉が周囲の寺を寺町に追い出したと、昨日ガイドが言っていたことを思い出した。

浄土系は、弟子を独立させては本家を取り巻くように配置するのかな? と考える。本丸と出城みたいな関係でおもしろい。そういうふうに領土を固めて一向一揆戦争を戦ったのだろうか。

途中の公園でちょっと休んでいると、唐突に妻が、そういえば京都に来たらイノダコーヒーの他に口から仏像が出てくるやつを見るんだった、と言い出す。

そういえばそうだった。

が、思い出せないので口から仏像で調べると、空也像は六波羅蜜寺で、まさに五条じゃん。まあ、お導きというものだ。

鴨川に着くと、五条の橋は存在せず云々とか書いてあって、弁慶と牛若丸の歌は嘘っぽいな、と話し合う。

で、六波羅蜜寺の宝物殿を観る。

おお、これはすごい。筋肉のうねりこそないが、血管は浮き出て爪まで書き込まれている。というか、隣の清盛も素晴らしい。さらに横の運慶と息子のやつも良い。

作品としてはヘレニズムの頃の人物造形よりもずっと良いし、ミケランジェロとためを張れるじゃん。

ミケランジェロが15世紀で、こっちは12世紀か。

同時代の風潮とかと最初考えたが、そういうわけでもなく、なぜか唐突に人間復興したんだな、

と考えると、清盛が作った武家の世界は、暴力支配だし、暴力のためには人体構造の熟知が必須だから、そこからこういう芸術が生じる道理なのだろう。

それにしても素晴らしい。京都が空襲される前に降伏して良かった。

右手の平安時代からの一木作りの仏像群も良いものだが(一木作りってのはそれだけで見事なものだし)、それよりも壊れただか燃えただかして後から作り直した嵌め木の仏像が、時代が後になっているだけに筋肉の動きが脈打っていて見事だ。

さらにおまけとして、10月いっぱい公開の空也の後を継いだ中信の手による空也の画というのが公開されていたのだが、これが摩訶不思議。像はこの画を元にしたものなのか、構図が似ているのだが(バランスは画のほうが悪い)色こそ茶渋色になっているが、1000年近い年月を経たものとは思えない鮮やかさで字も読める。

なんか猛烈に良いものを観た。

まだ多少時間があったので、清水寺の大混雑の登山口を横目に西大谷へ行ってみたら、こちらは現役の墓所になっていて、それはそれでおもしろいが、さすがに墓所を見るのは遠慮して、しばらく休んでから烏丸通りへ向かう。

途中、六条のほうへ近づくように内側の道をじぐざぐするのだが、やはり細かい寺が多い。大体が応仁の乱で焼けて再興とか書いてある。

それにしても、このあたりの町家には鍾馗がまったく無い。道教の神様は仏教の護法ものではないからかなぁ。

と、いろいろとおもしろかった。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

_ ムムリク [なんだか奥様がとても楽しそうでうらやましい限りです。「練習場」というのは、甲部歌舞練場でしょうか?(場所が違うかしら..]

_ arton [ここの先斗町歌舞連場です。 https: //www.kamogawa-odori.com/access/]

_ arton [URIは3つまでと書いてあるけど1つも認めない設定にしたのか(記憶にないや)。]


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