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1998
ペドロコスタのヴァンダの部屋。
友人に誘われて。そいつによれば、アテネに見に行ったんだが、映画が終って出ようとしたら、誰一人として立ち上がらない。その場にいた連中はどうやら新たな才能の発見の場に立ち会った感動で腰が抜けたらしい。
うそつけ。単に落ちただけじゃないのか?
とは言うものの、全員が落ちたとしてもそれはそれで只者ではあるまい。
というわけで、3時間しか寝ないで見に行って、見事に落とされたが、すごい作家だってのは間違いない。
冒頭、いきなり2人の女が汚いベッドの上でアルミフォイルを使うとこから始まる。とにかく光が良い。で、クレジット。シャワーを浴びる男。で、2シーン過ぎて、窓から薄く光がさす部屋のシーンで、その男が体を拭きに来るのだが、全身から発散される湯気が光にからむ。すげー。湯気だよ。湯気と窓からの光。おむつを替える母親。野菜を売ってるんだかなんだか、良くわからないが街をうろつく。半分廃墟。ドアが無い家。屋根から砕かれてドガーと塵埃が降り注ぎ後から光が入り込む。半分に割れた家。今度の家はドアが無い。2階の部屋は……だから戸締りは万全だ、だがドアが無い。
狭い室内撮影が多いのでベッドで寝転んでアルミを使う以外はほとんどがバストショットなんだが気にならない。徹底して固定されている。人間は話にしか出てこない姉夫婦、本人、妹、今の親父と話にしか出てこない親父、島から来た人、そしてまた船を乗り換える。しかし、落ちたので全体の1/100も見てないんだろうな。ルースってのは光の意味だ。
エンドクレジットの直前の暗闇で弦楽。エンドクレジットは完全なる無音。
落ちたのはしょうがないが、映画の価値が落ちたわけじゃない。次の機会には全部見よう。
メイ。予告編。デコボーでかわいい。
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