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猫に天婦羅
カナダの監督(コ・ホードマン)。
雪まみれの窓に指で文字。Ludovic。がタイトル。
丘の上で橇滑りしている子。人形をいっぱい乗せた橇の子。
思い切って帽子とマフラーで外に出ると、家に帰ってきた黒熊の父親に見つかって連れ戻される。
女の子熊の橇から人形が門の前に落ちる。雪が積もる。
8時になって寝台に連れて行かれる。オルゴール熊。
翌日人形を見つける。
雪を払っても左の膝の上に残っているように見えるが、それは裂け目から中の綿が覗いているのだ。怪我をしているね、僕が治してあげるよ。
観客の子供:雪が残っているよ。
確かにそうも見える。しかし、人形の中に綿と呼ばれる白い雪のようなものが入っていることもあるのだよ坊や。そういう人形を知らなければ想像できないかもねぇ。
それはともかく、赤い毛糸で膝を縫ってやる。
かくして人形は生命を吹き込まれる。雪だるまを作ったり。
オルゴール熊。人形は調子に乗って手を伸ばしたまま踊ってオルゴールを倒し砕いてしまう。
あわてて人形を隠す。
母親熊。
ルドヴィックは壁際に向こうを向いて立たされる。お前のせいだぞ、と人形を立たせる。人形はふてくされて窓を開けると出て行ってしまう。
夜中、心配になる。窓から外に出る。門の外の不気味な影。隠れる。人形の登場。和解。
次の日。丘の上の女の子熊。門の外で手を振る。橇がぶつかる。膝が破れて中の綿が出てきて親熊(どっちだ?)が家に連れて帰る。人形は置き去り。女の子熊は見つけたわけで連れて行く。
膝を縫われながら窓の外の、その光景を見て、涙を流す。
窓の向こうに女の子熊。人形をくれる。
雪だるまが溶ける。土の部分に草が目を出す。切り紙のワニ。緑と赤。赤が好き……
という調子で秋の公園まで、都合4話。
ルドヴィックが見て感じた(はずの)ものがそのままその世界になるというのは、(さすがに忘れたが)子供(3〜6歳)の見る風景として想像できるものに近い。だからか、福助が出てくるポイント――女の子熊と知り合って、ちょっと照れ隠しに空を見上げると目立つ葉と枝がありそれが落ちてくる、しょんぼりと家に入ると戸外で人形が橇から落ちる/壊れた人形を自分の手で(親の手を借りずに)直し終わる、箱の蓋を開けて動物達を並べる、蓄音機から好きだった曲が流れる――が設定されているのかも知れない。
橇がぶつかっても、白熊小僧に足を取られても、緊張感がまったくないのだが、それはこの場合悪くないようだ。もしも子供の世界があるがままで刺激に満ちているのであれば、世界が変わるのは恐怖や不安とともに肉体的な刺激が伴うイベント(これは暴力によって変わる世界)ではなく、子供に取って幸福を感じるイベント(これは想像力によって変わる世界)のほうが真に重要であり、しかもそれは本来の世界とシームレスなのだから取り立ててお囃子にあわせて福助が出てくる必然性はない。かくして、この監督がどのように「幼児向け」の作品を捕らえているかは明らかである。それは間違ってはいないだろう。事実、客席の子供達は綿=雪の疑念の声をあげた子供以外は、この淡々としたモノガタリをきちんと見つめていたようだから(とは言え、退屈して寝てたのかも知れないが。さすがに自分の子供は年齢がずいぶん高くなっているので、観察対象としては意味がない――追記:ちなみに真剣に見ていた)。
したがって、幼い子向けの優れた作品だというのは、まったく間違いがないところだ。
しかし、唯一の疑問は、この作品を優れた作品と理解可能な心性を持った幼い子供であれば、その生活もおそらく想像力に満ちたルドヴィックの世界のようなものであろうし、であればわざわざこの映画を見せなくても十分ではないか、ということだ。逆にそうでなければ、この直接的な刺激の無さ(声をあげて笑うポイントなどは無い。最初の作品だけがずいぶんドラマティックであるが、それでも黙って涙を浮かべたりオルゴール熊のくだりでぷんぷんするくらいだ。全体的に静かにしょんぼりし静かに嬉しくなり静かに困る程度)は退屈なのでは無いか? そして幼児に退屈を与えれば大騒ぎになって実際に見たい子供にとっては邪魔になるし、三方一両損のような具合であまりよろしくなさそうだ。その意味では鑑賞者を選別する映画であると思う。と思ったが、熊が動き回るというそのことが随分刺激的な光景だな、ということで、幼稚園とかが映画会とかやるのにちょうど良いのではなかろうか。
とか眺めていてちょっと現況調査。
コンビの片割れが刑務所の中だからか、KTO Bolche(1999年公開)が出てこないのは出来がいまいちだったんだろうか。60分という妙な時間が気になるし。しかし個々の単語は追えるのに意味がわからないというこの不思議さ。
しかし、日仏翻訳サービスってのは無いのかね?
どひゃー期待したオレがバカだったのか、これはひどい。巧言令色少なきカナ仁とは言うものの。
こっちはまともだがタダのものはビタ一文でも提供しないという国民性をうかがわせますな。
しかし、これは見たいぞ。未見のものがたくさん。デュエルとか、『クモガニとトウギョ』(これがなぜラインアップされているか、それだけでも見たさ爆発)、『獣の血』(これも意味深な)。いい仕事してるなぁ。
(追記:ドキュメンタリーという言葉に惑わされてはいけない。選者がきちんと説明している。ドキュメンタリーというのは、見世物、怪奇「実話」、びっくりショーの精神が片方にある。と言われてみれば、確かにそうだ。橘外男、庄司浅水、ヤコペッティ、みんな実話で大きくなった)、とは言え、『獣の血』というのは微妙だ。
なぜかodbcをリンク……バグというかミスです。
後は……わからないです。というか大きな疑問は、ATLですね。Win64用にテンプレートが入っているのかな?
それから1点気付いた点。もしかしたらRelease Min Dependency以外は全然だめかも知れません。DebugとRelease Min Dependencyしか使っていないので、他のターゲットは試したことが無いからです。とは言うものの、Release Min Sizeでも問題なさそうな気はしますが。(atl.dllの差しか無いと思う)
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