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日々の破片

著作一覧

2006-06-07

_ 新しいマシンの魂

The Soul of A New Machine(Kidder, Tracy)

というわけで、読み終わった(古本屋で300円で買った翻訳版だけど)。

実に興味深い。1980年の本だけどそれほど古びているわけでもなかった。

というのは、とても多面的な本だからだ。

動機は次のあたりと読めた。

・でまあ、ギルバートってのはあれは一体なんなんだ?

ということで、これは確かにビジネス書であり、ダイヤモンド社から出版されるのにふさわしい。いわゆる髪が尖った上司がギルバートを理解し、どうすればうまく働かせることができるかを考えるために読む本のようだ。

そこで、筆者は社長も技術者(DECからスピンアウトした)、割と新興企業32ビットミニコン開発の現場に入り込んで(潜入じゃなくて堂々と)ルポルタった。

主役は30半ばのプロマネに意識的に転進した技術者で、自分が手を出したいのを抑えに抑えてプロジェクトを成功させる(実際には小人さんをしていたんではないかと思わせる記述もあるが実際のところ最後までハードは触っていないんじゃないかな)。この人、Wikipediaを見ると、AViiONオープンスタンダード化にするのにも影響を与えたんだな。

定性的に、なぜ技術者が仕事をするのかを追っかけたルポなので、最終的な結論として次のような若手の言葉の引用が結論となるんだろう。

胸の躍るような喜びの98パーセントは、自分の設計したものが立派な働きをしているんだ、自分の予期通りの働きをしているんだという自覚から生ずるものなんだ。そういうふうにマシンが働いているとしたら、その中に、僕という人間の分身がいるってことになるんだよ

そして、このプロジェクトが成功した(ただし市場ではVAXには勝てなかったので最終的には失敗というべきではないか?)理由として筆者は次のように語る。アメリカの技術者は相当多数が自分の仕事に満足していない。その理由は仕事そのものと管理体制にある。彼らの言葉を借りるなら

専門上のチャレンジの減少、当を失した(技術者の)利用、活動の自由の制限、作業形態の硬直的管理
ということだ。でも、このプロジェクトは違った。
産業労働者にやる気を起こさせるにはどうしたらよいか、という問題については多くのことが書かれてきた。……(中略)……マネジメント手法だけでは、この問題はまず解決がつくまい。どんなに面白そうな仕事でもそれが有意義な仕事になるためには、明らかに(後略)

明らかかな? たぶん、明らかだろう。でも、それは一般化可能なものなのかな? たぶん、違うだろう。

それはともかくハードウェアの開発というのは知らない分野だけにとても興味深かった。謎のバグがなかなか再現せずに困っているところに副社長が見物に来る。副社長はしばらく考えた末、マシンのむき出しのボードをゆする。すると見事に再現した。で、ソケットを交換して解決するとか。

#読み返す本でもないので、読みたい人にあげるけど、いますか?

_ each派

ぎょぎょ

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]
_ きむら (2006-06-07 13:16)

読んでみたいっすー

_ arton (2006-06-07 13:35)

どなたかわからないけど日本Rubyカンファレンス2006に行かれますか?

_ きむら (2006-06-07 17:09)

すいません。ruby-list/devにも投稿してるメールアドレスなんですが(^^;、それはさておき。行きます>カンファレンス

_ arton (2006-06-07 18:14)

ああ、メールアドレスか……(これまで考えてみたことも無かった)すみません。<br>では、カンファレンス会場か、懇親会あたりでお渡しします。声をかけてください。


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