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スターロジック,人月商売の悪弊がはびこるSI業界に成果物価格で挑戦 - ものづくりとIT - Tech-On!
まつもとさんのところで、羽生さんの工数ベースの見積もりから要件ベース(ユースケースベースのほうが正確かな?)への見積もりへの転換発言が取り上げられているのだが、コメント欄の流れが興味深い。
要点をまとめるとこんな感じか。
Matz:怠惰な顧客には通用しないだろうなぁ
yk: こっちを考慮したほうが良い(いくつか)
Matz:それはどうでもいいんじゃない? 重要なのは怠惰な顧客への対応
yk: なぜそう考えるのか?
Matz: だって羽生方式が主流になったら問題になるのは怠惰な顧客
yk: なぜ単なる宣伝をそう読むのか?
で、何が興味深いかというと、まつもとさんが一貫して、羽生さんの発言をビジネスモデルの提示で、かつそれが一定の成功を収めることを前提としていること。で、それが一定なのかそれを超えるのか、を問題にしている点。
それに対してykさんが、一貫してビジネスモデル(モデルというのはもちろんモデルだ)ではなく、スターロジックという一企業の話に収めようとしているところ。
僕も、具体的なツールを利用することで可能となったビジネスモデルの提示だと思う。そしてモデルをああいう形で発表するということは、(宣伝という側面があるのは当たり前のこととして)業界をそっちへ向けようという意思があるのだと思う。土俵は作ったものの勝ちということもあるだろうし、どちらにしても従来の土俵がおかしいというのは(そこに旨味がある一部を除いて)暗黙の了解になっているわけだし。
で、真に興味深いのは、ykさんの「方法論(マジカは登録すればダウンロードできるけど)とかツール(大概オープンソースだけどbeafは秘密だしとか)とかその組み合わせにしても、簡単には真似できないよ、と思ってるでしょうし。」というのが鋭い点。
つまり、まつもとさんが唐突に「しばらく前はOSSも似たようなキワモノ的見方がされてましたが、こちらはほぼ定着してきたようです。 」とオープンソースビジネスの話を持ち出して比較していることに対応している。
もっとレベルが低ければ、「オープン? ばかですか」の一言で終わっているはずなのに、「オープンたって、誰でも読めるわけでもないし、書いた人ならではのノウハウがあるよね」というレベルに踏み込んでる。わかって言ってるのだな。
と読むと、ykさんは実はまつもとさんから見たスターロジックのビジネスモデルの可能性について(おそらくOSSとの類似性から、成功したOSSの人の観点という価値)を引き出そうとしているように見える。そこが興味深い。
それにしてもマジカシートが3案件くらいたまるとSaaSの元ネタになるな、と感じるわけだがいろいろ興味深い。
あまりに怠惰が強調されるので、ふと考えた。
プログラマはすべて怠惰である。
したがって、一度覚えた環境(エディター、プログラミング言語)から乗り換えない。
しかし真に怠惰であれば、より怠惰であるために、より優れた環境へ乗り換える。
そこまで怠惰だと人は彼を真のプログラマと認める。
しかしさらに怠惰であれば、より怠惰であるために、より優れた環境を自分で開発する。
そこまで怠惰だと人は賞賛の念から彼をハッカーと呼ぶ。
ジェズイットを見習え |
「楽をするための苦労は厭わない」ような感じでしょうか。より怠惰であろうとする努力は怠らない、みたいな。
そうです。結局自分から動く人は偉いなぁ。という自戒というか。<br>というのと、真に怠惰な顧客とは?という思考実験のネタ。