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ライラ、っていうと、このあたりか。
いや、それはボクサーとボウイが言う。
時間と訳されているがtimeのライラララの部分の節回しは印象深い。ファガースンのピアノがとんでもなく海のようなア・ラッド・インセインも大好きな曲だけど。
というくらいに、想像と異なる映画でびっくりした。
これまでいろいろどうしようもない映画を見てきたが、ここまでぶっちぎりで筋を追っかける映画ってのは見たことないんじゃないか(ジャンギャバンのああ無情は筋追っかけ映画だが、演劇のしっぽが長すぎるので比較にならない。ライラの冒険は映画の話法だ)? というわけで、あまりのスピードにむしろ感銘を受けたくらいだ。
とにかく、タメが全然ない。おかげで無駄なシーンもない。衝撃の親子宣言ですらあっさりぶったぎって先へ進む。退屈する暇すらない。しかも白熊はすげぇ。っていうか、最初に電機屋で働いていることろは良いシーン。
問題は空間把握がえらくへたくそなことで、クマの王様に対する最後の一撃とか、タルタル人との戦いとか、なんだかさっぱりわからない。若手のジャンプマンガのバトルシーンみたいで、書いているほうは見直しさんざんしてるからわかってるだろうが、読むこっちにはまったくわからんみたいなものだ。
このあたりは、ナルニア国(次回のやつの前売りを買っちまった)のライオンと魔女の戦闘開始シーンとか、角川の天と地ととか、オーソンウェルズのファルスタッフとかチェンガイグ(カイコー)の人生は琴の弦の村同士の合戦(あるいは、始皇帝暗殺の巨根マンの造反とか)、同じくらいの規模で、すばらしい映画は山ほどあるのだが、せっかく空を無数に飛び交う魔女軍団という新たな視点を導入しながら、この程度になってしまったのは、もったいないことだ。
が、そのスピードがずば抜けているから、これはこれですごい映画だったかも知れない。すごい映画だな。なかなかすごい。たたみかけるから、北極に上陸してから熊が仲間になるまでの疾走感とか。
本屋では、旧版が置いてあったりして、ちょっと間抜けっぽい白熊のイラストで、アマゾンにおいてあるニコールキッドマンの表紙よりはるかに良いので、ちょっと買って読みたいかも、と思わないでもなかった。
あと、主題歌らしいクレジットで流れるケイトブッシュの声がただのおばさんの声になっていてがっかり。もうライオンハートのころのケイトブッシュじゃないのか。
それにしても、白熊の王国にしろ、嘘つき(というより物語を作る)少女が身を助けとか、お話そのものもよくできていて、ハリーポッターやナルニアより、お話は上等であった。
嘘つき(というより物語を作る)少女といえば、サキの開け放たれた窓が印象深いが、イギリスって国の伝統芸なんだろうか(特異点ではなく、特異なものが複数あればそれは得意だと思わざるを得ない)。
ジェズイットを見習え |
ライラというと、アリスの『チャンピオン』世代です。って書いて気がつきましたが、なんとボクサーつながり。