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More Joel on Softwareを青木さんから献本していただきました。
More Joel on Software(Joel Spolsky)
去年のデブサミの思い出を語る序文に始まり、青木さん(山田康雄がルパンでクリントイーストウッドで、小池なんちゃらがコロンボで、熊なんとかがヒチコックだという意味で、青木さんがジョエルなのだ)の序文があり、そしてとても興味深いApressのゲリーコーネルのなんだろう? たぶん原書にもあるのだと思うが、前書きがある。
スターウォーズ風に始まるのはギークな本屋だからだと言いたいんだろうけど、興味深いのは次のくだりだ。
私は突然ひらめいた。自分は出版者であり、ジョエルの書いたものを読むのがこんなにも好きなんだから、それを本として出したらいいじゃないか!
そうして、Joel on Software(の元になった最初の本)が世に出ることになったらしい。
(前略)公式には2001年6月21日に出版されたのだが、これは最初の「ブログ本」だと見なされている。私やコンピュータ書業界にショックだったのは、この本が当時の基準からすれば圧倒的なベストセラーになったことだった。
というわけで、無料でWebで読めるかどうかではなく、おもしろくて価値のあるものを、人は買うのだということ。少なくとも、Joel on Softwareを買う人はそうらしい。
特に僕がおもしろかったのは、第15章のユーザビリティがすべてではないと、第16章のソフトウェアで作るコミュニティのソーシャルインターフェイスについての考察群だ。が、それだけでなく第3部のデザインに関する考察はいつもながらにおもしろい。もちろん、第1部のマネジメントについては、例によって読んでいて気分が良くなるタイプの文章だけど。
どうでも良いが、青木さんは、第22章の君のプログラミング言語で、これ、できる?で、「無名関数」という訳語を使っているので、匿名が嫌いな人たちも安心して読める。おれは、へそが曲がっているので、声高に主張する人たちとは逆を行くことにしているから、匿名関数という言葉を確実に利用することに決めつけているけどな(たぶん)。何が嫌いって声高な主張は嫌いだ。それがどれくらい嫌いかと言えば誤訳よりも100000倍嫌いだ。と、声高に主張しておけば、無名関数という用語をおれが利用したときのエクスキューズになるね。おれは声高な主張が嫌いなので、4/5の声高な主張の逆を張って無名を使うことにしたというように。というように、柔軟なのが好きだ。
全然ジョエルから離れたが、というわけで、何が好きって、第28章だ。玉を握らせるな、自分で握れ、というやつ。コアとなるものには、借り物ではなく、自分でどうにかできるやつを利用しろという、明らかに正当な主張なんだけど、それと同時に、FogBugzがソース丸見えであり、しかし非オープンソースでOK(たぶん、何か勘違いか、わざと知らんぷりをしているのだと思うが)というようなことを書いている章。全然、変だと思うのだが、これぞJoelという感じでおれは好きだ。
それはそれとして、正しいハンガリアンノーテーションについて明らかにした第23章の間違ったコードは間違って見えるようにする、は、もうまったくどうしようもないほど、正しく、これはプログラミングをする人は、誰でも読んでおくべきであり、知っておくべきだ。しかし、書いている間に調子にのって羽目をはずしたんだろうな、と思うんだけど。WriteS sNameって冗談だろう? あと、例外についての主張はそれなりに正しいと思うんだけど、それとは異なる理由から間違っているし(断言して良い)、そのあたりも含めて、Joelの書いたものは圧倒的におもしろい。ワイズではなくスマートとも思えないが、しかしまちがいなくクレバーだ。で、クレバーな文章は、読んでいて楽しい。
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