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子供がえらくおもしれぇから観に来いとかいうので行ったら、二つの塔のメイキングを観ていた。
massive(MASSIVEかも、というかWikipediaにも書かれてた。アバターにも使われてるのか)とかいう二つの塔用に作った3DCGのフィギュアリングとシミュレータの合体のようなプログラムのことをいろいろ喋っていて(当然、システムの画面やら操作画面やら、実際のシミュレーション映像とかも見られる)、その中で、戦闘シーンに使えるか実験的に1000vs1000のバトルをやらせてみた、というところだった。
10vs10では観られなかった現象として、1000vs1000でやらせたら、遠くへ逃げ去る兵士が何体か出てくるというのを再現させてた。
ピーター・ジャクソンが笑いながら喋る。「すげーシステムだ。本当の戦争みたいに、1000人の敵を前にすると、こりゃやばいと逃げてく奴がいるんだぜ」
実際は(とエンジニアが語る)、単に目の前の敵に向かって至近距離まで走るようにプログラムしてあったため、1000体をランダムに配置すると位置関係で真横(敵が視界にない)を向いて配置されてしまう兵士が何体かあったということだった。
にしても、ランダムにプロパティを変えると、それによって髪のなびき方まで変わるから、カメラの直前を通過してもCGらしく観えないとか、えらくうまくできていて、感心した。これが10年前の技術なのか。
ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 スペシャル・エクステンデッド・エディション [DVD](イライジャ・ウッド)
(スペシャルエディション ——実際はそれだけならばまだ良いがトリロジーなわけだが——を買ってやったおかげで、目の保養ができた)
その一方で、
・半壊した大聖堂のモデル(リアル3D模型)は、作ってから壊した。そのほうが最初から半壊した模型を作るよりも早くて安い。
・投石器で石をぶつけて塔が壊れるシーンは、模型を使った(最初はCGでやろうとした)。砕ける岩とか舞い上がる埃とか、実際に模型でやってみたら、さすがにこれをCGで作るのは無理だとわかった。
とか、リアルものの教訓もおもしろい(当然、これも映像が入る)。
これは、技術的に映画本編(無論おもしろい)よりもむしろおもしろかった。
で、つくづくおれがピーター・ジャクソンをすげぇ/おもしれぇと思うのは、メイキングまで含めたビデオを作っておいてそれで商売するというマネーメイキングのうまさということではなく、そういった映画作りの技術的なこと(失敗とかも含めて)を異様なまでに記録してそれを見せようとしていることだ。おそらく感覚としては、オープンソース(とは違うわけだが、かといってプロプラエタリ技術のエバンジェリスムというものでは無いし)の開発者に近いものがあるのではなかろうか。
たとえば、単なるメイキングとは別に、自分達で本編に対して茶々のようにも取れる解説「ここを、こう撮影したのは、これこれという理由で、今観ると、これこれというやり方もあるけれど、この時点ではこれこれ」を音声で入れていたりとか、まるでコーディングインスペクションの前に自分でソースを解説しているようなものだ。こいつも滅法おもしろい。
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