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子供がツタヤで借りてきて、おもしろいから観ろというので一緒に観た。
最初はアニメでいい加減な御伽噺が始まる。森に住む娘(ジゼルという名前だけど、なぜだろう)が歌を唄えば小鳥やリスやウサギや鹿がやってくる。
で、当然のように王子様と結ばれてハッピーエンドとなる。
という情景を鏡で観ていた悪い女王(王子の継母で、継母というのはキーワードになってくるのだが)が、王子の独立→自分の権力喪失というのを避けるため(ということだと思うが)、ジゼルを苦悩と絶望に支配された暗黒の世界に魔法で送り込んでしまう。
というわけで、ニューヨークはタイムズスクェアのマンホールから(ここから実写)ジゼルが飛び出してきて、そこで6歳の娘を育てる離婚歴のある弁護士に拾われる、と物語が進む。
この6歳の娘がぽよぽよしたほっぺたで、まるで忍玉乱太郎のしんべえみたいで、可愛い(シュリンクと擬音つきに思える感じでゴールドカードを出すところが特に良い。まるでサウンドオブミュージックで人差し指に巻いた包帯をジュリーアンドリュースにアピールするところのようだ)。
お城の電飾を見つけて必死にノックするという、一体いつの時代のギャグなのかというようなシーンが次々と続くのだが、なかなかおもしろい。
朝になると歌を唄って獣達を呼び寄せて掃除をする(これはシンデレラだな。最初のあたりは白雪姫)のだが、このシーンはおもしろいなぁ。このシーンがあまりにおもしろいから、レミーのシチューじゃなくてラットタイユの話が生まれたんじゃないか?
で、王子が絵に描いたようなディズニーの名作シリーズの王子なので、当然のように何の役にも立たない抜け作(だが、とても良い人)で、これも後からジゼルを探しにニューヨークにやってくるし、女王の子分(ナサニエルという名前だが、これもなぜ? 神の賜物なんだろう)もやってくる。子分はホテルでテレビの人生相談を観て自己洞察をして生まれ変わるとか、まあいろいろ細かいところでシナリオは練られている。
が、なんといってもセントラルパークという設定だと思うのだが、ジゼルが突如と唄い出して、ストリートミュージシャンと競演し、ダンスパーティの老人会が合わさってきて、ちょっとしたミュージカルになるところが実に愉しい。というか、おれはこういったばかみたいなミュージカルが本当に好きなんだな。このシーンがあったので結局最後までまじめに観る事になった。
最後のディズニーではなくキングコング(と書いたが、なんとなくこないだやったアリスに近いような)の役回りのジャバーウォッキーのようなきれいな龍のシーンとか、助けようとして逆に指を剥がしていくリス(それも2回も)とか、ぐしゃぐしゃあって、想像通りのハッピーエンドとなる。めでたしめでたし。
これは確かに佳作だった。ディズニーはたまにスプラッシュがおれにとっては代表だが、妙に素敵な実写の御伽噺を作る。
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