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アスキーの嘉平さんから妙な本をもらったので読んだ。多分6ポモロード(注:正しくはポモドーロ。完全に逆転して書いているので注意)くらいで読み終えた(つまり通勤3日分)。おもしろかった、ありがとうございます。
アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門(Staffan Noeteberg)
ということは大ざっぱに3時間弱くらいで読了できるということだ。おれはこの文章を書くためにいろいろひっかけながら読んだからそれだけかかったが、多分、もっと早く読めるかも知れない。
ポモロードってのはトマトのことで(子供が表紙を見て、トマトの本か? と訊いたくらいだ)、それをポモロードと呼ぶことによる異化効果はあまり日本ではなさそうだが(トマト銀行という銀行名から受けるインパクトに比べると赤やなんか間抜けっぽさや薄皮っぷりとかの印象が抜け落ちるからだけど)、でも謎めきっぷりからは良いのかも。
192ページと、比較的薄っぺらい本だが、内容そのものも書かれているテクニックそのものも比較的単純だ。
最初にTODOリスト(ただし、ここで作るのは中長期目標なので「アクティビティ在庫」という用語を使っている)を作り、毎日どのタスクをやっつけるか予定を書き(本書ではこの短期目標がTODOリスト)、1単位25分で集中して1セッションを行い、終わったか終わっていないかチェックして、次のセッションを確定してまたセッションを行い(途中3分から5分の休憩を取る)、それを数セッション繰り返したら少し長めの休憩を取り、またセッションの繰り返し。一日の終わりには振り返りを行い、セッションの切り方(時間は25分で固定することをまず前提として、タスクの切り方ということになる)のぶれを減らしていく。ついには、あたかもボクサーが3分+1分という間隔を感覚として確立させるように25分+5分というようなフロー没入へのリズムを養成するという方法論だ。
で、1冊にわたってその方法の論拠とか、経験談とかそういったことを語っていく。特に重要なのは割り込みへの対処方法の章かも知れない。
この手の本で重要なことは、読んでいて、なるほどわかった確かにそれは効果があるだろう、が、面倒くせぇからやらないとならないようにすることだが、紙と鉛筆(イタリア人も鉛筆を使うが、書いているのは北欧の人だ)とキッチンタイマー(またはその他のタイマーで携帯電話でも良いと書いているから、試しに携帯電話でやってみたが、確かに25分というのはそれなりの経験則から来るのだろうけど根拠ある時間に思えた)だけで試せるというのが長所かも知れない。
だまされたと思ってやってみても、失うものがほとんどゼロなので(懐疑主義者のおれは、このてのうまい話に乗ることそのものが何かを失うことだったりはするのだが、実はそれによって失うことは何もないとこないだリンゴの樹を見て気付いたので、わりと気楽にやってしまうのだった)なんか、時間管理とかタスク片づけテクニックとか、模索している人はのってみる価値は大いにあるだろう。
翻訳はうまいと思う。
でも、いささか馬鹿正直かも。
たとえば『ネコ、箱、タコ、横』といった言葉の集合を瞬間的に記憶するよりも、『小さい、狭い、極小、控えめ』という言葉の集合を一瞬で記憶するほうが簡単です。
という訳文があり、読めば音韻が関連している(しかし概念は雑多)言葉の羅列と、意味が関連している(いずれもサイズなのだが、しかしその伝では「控えめ」は微妙かも知れない。むしろ「小ぶり」程度のほうが適切なんじゃないかなぁと原文を読まずに想像してみる)ほうが記憶しやすいということを書いているのだな、と理解するわけだが(この節――P.51『連想マシーン』――は著者が書き足りていないような気がする。長期記憶は意味の連なりだが、短期記憶は音韻が主体なので、短期記憶では音が異なるものの組み合わせのほうが記憶しやすいとか……と書いているうちに、実は誤訳か原著の誤りなんじゃないかという気がしてきた。実際に試してみると『ネコ、箱、タコ、横』のほうが覚えやすいぜ。でも長期になると、後者の意味的に関連しているやつのほうが覚えていられる気がする。いや、そうではなく長期的にも前者のほうが記憶していられるかも。歌詞とかじゅげむみたいなものだからだ。というわけで、アンディの脳みそハック本もそうだが、このての本には妙なうさんくささというか、自分の領域ではないサイエンスを自分勝手に引用する人特有のご都合主義から生じるでたらめというか俗流解釈の持ついい加減さが爆発しているような気がしてくる『第二章』であった)
というか、何を書きたいか思い出したが、『ネコ、箱、タコ、横』には訳注があって、本当はcat, hat, fat, rat(ほら見ろ、おれは覚えていて、本を読まずに正しく書けたぞ)だけど日本語で同じような雰囲気(確かに韻を踏んでいるが具体的な生物の名称、物の名称、抽象概念の名称と中身はばらばらだ)を出したとしているくらいに、原著の内容を日本語化すべくしているからだ。で、そんな注はいらないよなぁ(いきなり『ネコ、箱、タコ、横』で十分じゃん)というのが馬鹿正直だなぁと思った点だが、もちろん、それはポジティブな言い方をすれば誠実な翻訳ということだ。
で、この本で一番重要な点ではないか、とおれが感じたのは、実は中長期TODOリスト(つまり、アクティビティ在庫リスト)の書き方にある。
項目を書くときは、やるべきことを書くのではなく、作業が完了したらどのような状態になるかを書いてください。
たとえば、リビングルームを掃除して整頓する、ではなく、リビングルームがきれいになる。
おれはここを読んだ瞬間、安能務(この人は毀誉褒貶ありな人だが、おれは、おそらく台湾学派とでも言うべき中国学の人なのだろうなぁと想像しているんだ。であれば、読み一つとっても北京学派とは異なって当然だし利用する資料も違うだろうしな、というかおれにはどうにもこの人の主張はしっくり来るのだ)の項羽と劉邦とでもいうべき中華帝国志を想起した。
この中で異才の軍師、張良は、項羽ではなく劉邦につくことを即決するのだが、その根拠として、項羽は始皇帝を見て「とって代わるべし」と豪語したのに対して、劉邦は「男子たるものかくあるべし」と奮起したというように語らせている。
これって、項羽は「リビングルームを掃除するべし」と豪語したのに対して劉邦は「リビングルームはきれいであるべき」と奮起したと言い換えられるよなぁということだ。
つまり、TODOではなくTOBEである。
おそらく、何かをするにあたって一番重要なのはモティベーションで、モティベーションを高めるのは何をするかではなく、どうあるべきかのイメージを確固として持つこと(だからこそ、スポーツ選手はイメージトレーニングをする)なのではなかろうか。
何しろ刃牙なんか、イメージトレーニングで烈海王を何度も倒したおかげで一発で首ぽっきんをするくらいだ。(お、ポモロードが終わった)
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ポモドーロ? ポモロード? しばし悩みました。
自分でも笑っちゃいましたが、完全に逆転して覚えてますねぇ。ロードです。
手まで逆に覚えてる。ドーロです。
去年の9月頃から試しています。気の散りやすい私が採用したところ、ある種の仕事に関しては効率が 100% up したので、以来ずっと採用しています。
さすが、去年の9月とは目をつけるのが(というよりも、採用するのが)早いですね。<br>それにしても100% upというのはすごい。そこは是非「ある種」を教えて欲しいですねぇ。