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さて、いろいろな面倒事があるので、きれいさっぱり勤め先を休んで東京国際展示場に向かう。ひさびさのスーツである。足元はリーガル(でもゴム底の比較的歩きやすいやつ)。
というのはとあるコンソーシアムの関係でマイクロソフトのブースで説明員の役回り当番だからだ。
で、13:30からブースに立って、まあ直接商売のことになるわけではないので、興味を持ったような人に適当に説明したりしながら、早く終わらないかなぁ、おれは長いこと立ってると立ちくらみしたりしていやなんだよなぁと14:30頃のことだった。
ぐらりと目の前が揺れた感じがしたので、あーあ、立ちくらみ来たから裏でさぼるかと思って、だが良く見ると揺れているのはおれの脳みそではなく、全体のようだ。
で、横にいる人にこれ地震だよねぇ? とか訊いたりしていたら、本格的に来ましたよ。
おれは、天井の照明が落ちてくるんじゃないかなぁ、その場合、矢倉の近くのほうがむしろ安全かなぁとか考えていたのだが、段々そんなおっとりがたなで構えていられない様相を呈してきた。が、壁際のほうはむしろいい加減なベニアの展示ブースとかがあって、そちらもまずそうだし、さてどこが一番安全だろうかとか考えながらしばらく過ごす。
ここで、エプソンの矢倉がまったくたわみも揺れもしないのに驚く(これでおれの中でエプソン株が急上昇した)。
でも、まあ、揺れが止まって、と思ったら、もっとすごいの来た。そこで外へ一回避難すると、お台場のほうから黒煙が立ち昇っているのが見える。一体何が起きているんだ?
その後会場でアナウンスが始まり、りんかい線とゆりかもめが止まったと言う。で、展示もここで終了。エプソンの知り合いが暗い顔をしてやって来て、今日、これでトラックとか出なかったら撤収できないし(本来長野へ引き上げるはずの)おれはどうなるんだろう……とか言っている。でもこいつは弱音をぴーぴー吐きながら着実にかっちりきっちり片を付ける大した技術者だってことは知っているから、例によって弱音を吐きながらもどうにかするんだろうなぁとか思いながら適当に大変だねぇとか合わせるわけだが、実はおれも大変だ。どうやって帰ればいいんだろう?
何しろ、りんかい線もゆりかもめも止まっているんだから、島へ取り残されたも同然だ。
地震で止まったのだから、そりゃ線路の安全も高架の安全も関係ない水上バスだよなぁと考えて波止場へ向かうと早くも長蛇の列。しかも、運航停止と出ている。バカじゃないか(と、その時点では大津波が襲っていることを全く知らない)と文句を垂れながらバスのほうへ向かうが、ここは信じがたい長蛇の列だ。
では、諸君徒歩だ。
で、頭の中で道を考えるのだが、地震のすごいのが来たのだから、レインボーブリッジは封鎖されているかも知れないかも、という疑念が湧く。もしそうなら、まっすぐ有明から銀座を目指すのが無難だ。銀座に出れば銀座線もあれば山手線もあるから普通に帰れるだろう。
かくして、有明へ向かう。
アリーナを左に見ながらテニスの駅を越えて、ひたすら銀座へ向かうのだが、一本道の上、まわりを同じく黙々と歩く人がいるから道を間違える心配もない。
かくして、築地へ着いた。
途中、もち屋の前を通ったらクリーム大福がうまそうだったので立ち寄ってお土産に購入。店のおばさんが会員カード作るか? と訊くからいらないと答える。すると、なんかすごい地震だったようだけど外はどうなっている? と訊かれる。おれも良くわからんが、りんかい線とか止まっているから有明から歩いてきたんだと答えると、どこへ行くんだ? と畳み掛けてくる。それで銀座へ行って電車へ乗るつもりと答えたら、地下鉄は止まっているみたいだよ、ってのは赤坂から歩いてきたって人がさっき来たとか教えてくれる。うーむ、ならば山手線だよなぁとか思いながら外へ出る。
確かに、勝どき橋あたりで大江戸線の入り口に人が溜まっていたのは止まっているからか、と納得する。ってことは東銀座もなしだよな。
で、さらに歩いて服部セイコーの交差点へ来ると、交番から大きな声でアナウンス。JRは止まっているよ!
えー、JRも止まっているのか。
さすがに疲れたので、おれは電車に乗りたかったのだが。
で、シャンテのあたりを通ると、早々と店じまいしているところがちらほら。
(で、この後、桜田門経由国会議事堂前-永田町-赤坂見附-青山と進むのだが、赤坂見附を越えたところで17:30くらいになっていたのか、帰宅者の大群に飲み込まれてしまうのであった。
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