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ゼッフィレッリの演出。
アイーダのラトニアムーアという歌手(代役らしい)が、素晴らしい。1人で歌っているときはそれほどどうってことはないと思ったのだが、1幕の3重唱(ラダメスと王女と一緒のやつ)で、とにかく声が浮かび上がって来る。こういうのは不思議なのだが、倍音を豊かに含んでいるということなのじゃないかな。で、あっという間に好きになる。
席が3階の右(ただし高さ的には2階相当)で、オーケストラの音が直接入って来るので、ラダメスも王女も金管や場合によっては弦に負けることがあるのだが、そういうのがまったくない。したがって、とても美しい。
(それに対して、バスが弱い。ここまで弱かったかなぁ? と思うくらいに弱い)
2幕の凱旋行進はやはり圧倒的で、いくら払ったのかは知らないが、ゼッフィレッリを起用した甲斐は正しくあったと思う。ラダメスがなかなか馬から降りられなくてはらはらさせる。黒い人たちのバレエも楽しめた。
2幕の最初、子供ばばらばら入ってきてわいわい騒いで(新国立劇場のアイーダは2度目なのだがここは覚えてなかった)それまでと思ったら、見事に揃った踊りが入って、子供侮りがたしと感心する。
ただ、作品として3幕のうっとおしさはやはりうっとおしい。そんなに大した作品ではないよなぁ。
ただ、物語の破綻のなさやケリのきれいな付け方(いきなり爺さんがおいでおいでしたり、母親が勝利宣言したりするのとは違う)から、代表作とされるのはわかる。
4幕最初の王女のモノローグは、リゴレットの2幕最初のマントヴァ公のモノローグに通じた設計なのだなと気づく。そしてどちらも同じく外圧に流される(いや、王女は流されずに抵抗するのでちょっと違うか)。
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