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シネシャンテで久々のジャームッシュ。
観に行って、初めて題がオンリーラヴァーズレフトアライヴだと知った。という状態で観始める。
天空が映り、徐々に回転を始める。EPのドーナッツ盤が映り、ぐるぐる45RPMで回る。古めのロクアンドロールだったかな。ベッドにもたれかかった女性が映りぐるぐる回る。ソファでくつろぐ長髪の男が映りぐるぐる回る。
何が始まるのかさっぱりわからない。
やはり長髪の男が車から降りて、たくさんギターケースを抱えて家の階段を昇る。部屋に入ると、ソファでくつろいでいた男が出迎える。
ケースから1950年代に作られたエレキギターが出てくる。元の男はミュージシャンらしい。ギターを愛でて名前を付ける。イギリスの作曲家。別のギター。エディコクランが演奏しているのを観たことがある。まさか本物か? 言い方を変えてみる。ユーチューブだ。そうだと思った。札束を渡す。固い木でできた銃弾を1発注文する。アートのためだ。木の名前を英語とラテン語で呼ぶ。楽器屋(イアンという名前とわかる)はメモを取る。ラテン語の名前が聞き取れなかったといい、再度名前を言う。書きとる。ドライブ。廃墟となったビルが続く。多分、デトロイトだな(その通りだった)。犬の遠吠え。
女性のほうに移る。どうみてもモロッコ(あとからタンジールだとわかる)の街角に出る。顔を覆う。麻薬の売人が声をかけるが無視してカフェへ入る。奥から男が出てくる。先生のことを頼む。先生が出てくる。本名はクリストファーマーロウだがその名前は使わずにキットと呼ばれる。しかし話の内容からシェイクスピアとわかる。ということは数百年生きている人間の話のようだ。
デトロイトに戻る。男は顔を手術用のマスクで隠し、病院へ入る。ドクターファウストと名札を付けている。ドクターワトソンの部屋へ入る。ワトソンは顕微鏡を覗き込んでいて、ファウストに気付き驚く。ドクターストレンジラヴと呼び間違えて札束と引き換えに血液の入ったチューブを数本渡す。
吸血鬼の話だとわかる。
先生、女、男、それぞれグラスに注いだ血を呑み、くつろぐ。牙が見える。
先生は夢を見る。女の妹のエヴァだ。女はイブ、男はアダムと名前がわかる。
男はゾンビ(どうも普通の人間のことのようだ)にまとわりつかれて困っていると言う。女はiPhoneを使い、男は古いブラウン管テレビを改造したテレビ電話を使う。
女、パリ経由の夜行便でパリ経由でデトロイトへ行く。
再会する。
デトロイトの4000人収容のコンサートホールの廃墟に作られた駐車場。
男が多重録音して作った曲をきく。シューベルトの五重奏曲のアダージョを書いたことがわかる。
ゾンビの悪口。物理学の話をする。停電になる。外へ修理へ出る。壁にたこ足状の配電盤がある。醜いと言う。地面に埋めた空中の電気を受信して直流電流に変換する自作の装置を示し、修理する。テスラを褒め称える。
突然、音楽が鳴る。何事かと戻ると、妹がソファで寝ている。
と言う調子でだらだらだら進む。
すべてのシーンが映画となり、すべてのセリフが何らかの引用のようであり、トリビアのようでもある。ワトソン博士のところに血を買いにいく。今度はドクターカリガリと呼ばれる。
結局、妹はイアンの血を吸うが、転生の儀式を行いそこなったため、イアンは死ぬ。アダム怒ってエヴァを放り出す。いつの時代だと思っているんだ。イブとデトロイトを走る。17世紀のロンドンだったらテームズ河に捨てればペストの死体とまぎれて話が簡単だった。溶かす。
夜のマドリード経由の飛行機でタンジールへ迎う。
マーロウは死にかけている。不純な血を呑んだのだ。フランスの医者を信じるな。死ぬ。
アダムとイブは血液欠乏症で死にかける。顔のしわが増えてくる。二人は通りに出る。イブはアダムの全財産を受け取るとプレゼントを買いに行く。アダムは待つ。音楽が聞こえてくる。レバノン人の歌手が歌う。良い音楽。イブが戻り、不思議なネックのマンドリンを渡す。
いよいよ死が近づく。
若いカップルが愛を囁く。襲う。おしまい。
まるでロングバケーションやストレンジャーザンパラダイスの頃のジャームッシュのようだ。
スタイリッシュでありながらどうみても間抜けたところがある、現実を受け入れる気がさらさらない浮いた人々がだらだらだらだら愚にもつかない会話をし続けながら、ふらふらしている。映画の映画だ。
ジム・ジャームッシュ / アーリー・コレクションDVD-BOX (初回限定生産)(クリス・パーカー)
最高におもしろかった。
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