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東劇でMetライブビューイングのマクベス。
初期ヴェルディだからズンタカッタッタズンタカッタッタで前奏が始まる(中期でも同じだ)のだが、ネトレプコがとんでもないとんでもない。
演出の切れの良さ(場面転換のスピードがすごい)もあるだろうが、とにかく1幕目の要所要所にネトレプコが出てきて歌うだけでどんなヴェルディよりもすごい作品に思えてしまうほどのすごさで、録音技師ががんばった結果なのかも知れないけど、大合唱の中でもネトレプコの声がはっきりと聴こえてくる。
それよりも、乾杯の歌を最初喜びの中で、次にバンコーの亡霊に怯えるマクベスに対する憤懣の中で、完璧に歌い分けている(動きまでがらりと変わる)恐ろしさ。だから実はこのメロディ的にもとりたてておもしろくも無い長い曲が圧倒的にすごい歌として聴ける。それにしても2回目の乾杯の歌が本気でおっかなくて、びっくりした。
休憩後の幕は、愛国賛歌(初期ヴェルディっぽい)からマクダフの妻と子供を殺されて悲しい悲しいのきれいだけどおもしろくもないアリアのあたりでだれたあと、いよいよおかしくなったマクベス夫人が椅子の上をふらふらしたり何か振り子みたいなものをいじっくたりするのだが、ここも圧巻。
キンリーサイドのやつをDVDで買って観て、なんかぱっとしない曲だなぁと思ったが、認識を新たにした。というか、歌手の良さということだけかも知れない。
Macbeth [DVD] [Import](Keenlyside)
舞台はレジスタンス風のスコットランド軍。第一次世界大戦あたり。最後、マルカム率いる軍勢は緑の旗を振り回しているけどスコットランドの旗はマクベスの頃はそうだったのか、そうとは思えないので、マフノーの農民反乱軍(緑軍ではあるけれど旗は黒旗なような気が)かイスラム革命(カダフィ大佐のやつとか)かとかあれこれ考えてみたが、まあ違うだろうなぁ。
いつも混乱するのだが、マクダフはバンクォーやマクベスと同じ、ダンカン王の家臣で、最後マクベスに対して王座奪還を仕掛けるマルコムはダンカンの息子。魔女の予言するバンクォーの子孫が王座につくのは、この物語の中ではなくさらに未来(で、そこが混乱の元になるうえに、頭がマの字の連中が跋扈するのでわかりにくい)。
いつも、最初のところで、もしもマクベスが野心を抱かなければ、ネスカフェの広告に出てきた紳士はマクベスの子孫だったのかなぁとか思う(コーダの領主を拝領するわけだからだ)。
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