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日々の破片

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2015-09-01

_ 今度は惑星のさみだれを読む

スピリットサークルを読んでやたらと気に入っていたらusaさんが、お前は水上悟志を知らんのかと言ってきた。

で、勧められるままに惑星のさみだれをまとめ買いして読みはじめたがこんなものを平日の夜寝る前に読もうとするのはあまり賢いことではない。気付いたら空が白み始めていた(でも天気が悪いから気付かなかった)。

スピリットサークルが14歳の少年を主人公にした少年マンガなら、惑星のさみだれは18歳の青年を主人公にした青年マンガ(ただしパンチラとドッキリイベントまでと抑制されているけどな)で、作家の構想力や表現力にますます感心しまくる。

というか、純粋にむちゃくちゃおもしろい。

メガネの暗い顔した(性格も)ひょうろくだまの青年と回りを囲む妙に和語な名前な人たち(さみだれだのしののめだの)が、なんとなくCLAMPの作品(良く覚えていないがツバサとか)を思わせなくもないが、ゆるくて気持ちが良いギャグと、仲間に囲まれているのは心地良いという気分と、生き物は死ぬという摂理と、すっきりとした明るい絵柄(ここがCLAMPとの一番の違いで地球を破壊する最終兵器がでっかなトンカチという点からして何かおかしい)と、設定のデタラメさと(が、思いつきにしては伏線をきっちりと回収していくから本当にデタラメというわけではない)が相まって、実に独特だ(世間に対する違和感と折り合いを付けるという成長がテーマだと言ってしまえば同じタイプではあるけど)。

で、12人の選ばれた騎士がお姫様を守って地球を悪の魔術師から守るというやたらとファンタジックで、そう書いてしまうとノスタルジックな設定を、きれいに外しまくることで違和感なく(いや嘘だな、とんでもない違和感をギャグにしてしまうことで)現代の物語にしているうまさにしびれまくる。

堪能した。

[まとめ買い] 惑星のさみだれ(ヤングキングコミックス)(水上悟志)

特筆すべきは12人も騎士がいて、しかもお姫様がほとんどチートで、主人公がえらく精神的にも戦力的にも成長してしまうのに、戦闘のルールや騎士の世代や能力をうまく利用して、繰り返しになったりだれたりしないように、実にうまく作ってあることだ。12人も居て作劇上はぶられる登場人物がいないんだよな。すごい作家がいるものだなぁ。


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