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拍手が止むかやまないかのうちにいきなり序曲が始まる。おそろしく思い切りが良い指揮に驚いた。イヴアベルで、この人の指揮はいつも好きだ。
ドンホセはマッシモ・ジョルダーノという人で実に良い声で気持ち良い。ミカエラは砂川涼子という人できれいな通る声で、ドンホセに伍していて良い感じ。カルメンも迫力十分。エレーナ・マクシモワという人。
エスカミーリョは最初、なんか通らないなぁと思うのだが、時々実に美声になったり、またくぐもったり、舞台装置との位置の問題なのかなんだか不思議な感じだった。
2幕は素晴らしい。3幕も悪くない。占いのところがなんだか妙に新鮮な感じ。
最後、山を降りるエスカミーリョの声がやたらとよく通って、ますますなんだか不思議になる。ボール・ブレッツという歌手。
3幕から4幕は休憩なし。
4幕の闘牛士たちの行進はおもしろいし、その後のホセの泣き言と未練たらしさの音楽はやはり好きだ。ジョルダーノは実に良い。
最後イヴアベルは三浦と手をつないだのは、合唱あってのカルメンだからか、合唱指揮者と指揮者の関係は本当に人それぞれだな。
1幕はちょっと退屈したが、カルメンはやはりよくできたオペラだなと思った。
終演後に、飯守監督による来季演目の説明。とにかくオペラとしてはだめなフィデリオを、しかしこれこそがドイツオペラの原点として楽しませるのだという決意表明みたいな感じ。何しろ聞き所?と聞かれて、囚人の合唱は良い曲で、新国立の合唱団は世界レベルだからどうしたとか、あまりオペラの聞かせどころ説明とは異なることになってしまうところが苦しそうだ。
そのあたりで演出にカタリナワーグーナーを持ってきて、退屈さを減らそうという魂胆がありそうだ。が、最近は美しい演出をするように変わってきたというようなことを何度も繰り返したのは、マイスタージンガーの素晴らしい演出に対する反感みたいなものがあることを恐れているのか、本気で言っているのかどちらなんだろう。
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