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家族で豊洲に天気の子を観に行く。
予告編がやたらとアニメばかりで、なるほど、本編に合わせて予告編を組むのかと今まで気づかなかった発見をした。
ほとんどすべての風景に見覚えがあってすごくおもしろい。外苑の競技場が屋根付きの来年仕様になっていたり、存在しそうもない放送棟(かどうかは知らんけど)があったりするから、微妙な時空のずれが映画で実に気持ち良い。
ただ、観ているときは、なぜ山吹町(太田道灌の山吹の山吹なわけだが)に歌舞伎町へ行くのに都バス(ミンクルが違うと子供が言っていたが気づかなかった。そのあたりのスポンサードされるされないでの位相ずらしも丹念に拾うとおもしろかろう)に乗るので不思議になる。
後になって、山吹町(今は亡きマラバールに通い詰めていたので良く知っている)と、東大久保富士のある山吹坂(道灌はこっちだ)が頭の中でつながっているだけで、実際はえらく離れていることに思い当たって(自分の頭の中の地図のいびつさに)驚いた。本物は早稲田の裏というかほとんど神楽坂のほうなんだから、そりゃバスに乗る道理だ。(さらに考えてみると、山吹というキーワードと都立高と区民ホールの2つのメルクマールと道路との位置関係を頭の中で重ねて映像化していて同じ場所扱いをしていたようだ)
同じように田端の坂道が、どうにも大崎から大井へ続く細い坂道に見えてしまうのも不思議なところだった。見慣れた風景に似ているからだろう。
というような風景の切り取りのおもしろさで抜群なのはバニラバニラで、仮に300年後にこの作品を元に考現学をした場合のバニラバニラの位置づけがどういうものになるか見てみたいものだ。
物語的にはちょっと世をすねて斜に構えた中年男が主要な人物になっているところがおもしろかった。宝島のジョンシルバー、ムーンフリートのフォックスのような立ち位置の人物が配されているのは好きだ(なぜか神明と犬神明の関係を唐突に想起したりもする)。意外なほど正統的なビルドゥングロマンでもあるのだな。
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