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日々の破片

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2020-07-23

_ マルクスのドイツ・イデオロギーを読む

読了したのは数週間前、購入したのは数ヶ月前だが、マルクスのドイツ・イデオロギーを再読したので記録。

前回は多分高校の頃に青木か岩波で読んだのだが、それから数10年、ほぼすべての哲学的諸概念をちょっとできるようになっているだけに、あれ? こんなにおもしろい本だったっけ? と実に楽しく読めた。もちろん、わざわざ再読したのは、今度の翻訳が良いという話をなにかで見たからだ。したがって、翻訳が良いという点もあるかも知れない。が、主な違いはスターリン主義のスティグマの有無らしく、でもそれは所詮細部だ。細部の比較検討は専門家に任せれば良いのでどうでも良い。とにかく、純粋におもしろかった。そして、自分でもちょっと驚いたが、マルクスの本気に感動した。

とにかく手稿なので、突然、TODOリストになったり、同じことを大事だと言わんばかりに繰り返したり(出版のあかつきには削除だな)、後で書くになっていたりするが、それもまた細部に過ぎない。

要は、まだ経済学という視点から人類の平等の実現を構想する前の若い(といっても27歳だが、哲学者としてはもちろん当時であっても若い)マルクスがエンゲルスの協力のもとに、当時の主流な左派哲学者群に対して、お前らは間違っていると断ずることが眼目の書がドイツ・イデオロギーなのだ。

完成させなかったのは、すでに哲学の領域で云々しても世界を変えることはできないから、より現実的に、缶詰がいかに構成されているかを考えたほうが良いと考えたからだろう。かくして、哲学者マルクスは、経済学者マルクスになり、第1インター内での組織者マルクス、過去の革命から知見を引きずり出す歴史学者マルクスと転身する。

というわけで、フォイエルバッハやブルーノ、おれも好き大正時代の人たちも好きだったシュティルナーを矢面にして、皮肉やあてこすり、嘲笑の的にしながら、どうやって世界を見るのか、そしてそれによっていかに世界を変えなければならないのかを書きまくる。

ほとんど統一原理ここにありといわんばかりの勢いなので、出てくる概念、用語、名詞にことごとく「諸」をつけるありさまだ。かくして世界の諸様相を巡る諸概念、つまりは諸個人における諸活動は……みたいな調子。

が、その気負いが、実に好感が持てる。本気で世界を変えるつもりだったのは間違いなく、水木しげるの悪魔くんに「釈迦、キリスト、マルクス、そして悪魔くん」と並列させられるのも無理はない。

ドイツ・イデオロギーでの論旨は明快である。すべての事象を解釈するには、それが経済活動と密接不可分だということをまず考える必要がある。要は唯物史観を持ち、世界が持つ問題を経済活動の矛盾点に焦点を合わせ解決する方法を考えることが必要であり、そうでなく、単に個人の考えだけで完結させるのであれば、それはまったく世界に対して意味がない、そういうことだ。

かくして、なぜか巻末に収録されている有名なフォイエルバッハのテーゼの最後の一文となる。

哲学者たちは、世界をさまざまに解釈しただけである。しかし、肝要なのは、世界を変えることである。

新訳 ドイツ・イデオロギー (マルクス主義原典ライブラリー)(マルクス)


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