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日々の破片

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2021-12-29

_ 猫間地獄のわらべ歌

黒牢城の読了について書いたらma2が、時代物とミステリーの融合でモノスゲーのは『猫間地獄のわらべ歌』とコメントしてくれた。

題名が妙なので興味を持ってアマゾンで調べたらKindleか古本の2択となっている。

で、古本のほうが送料を込みでも安かったのでそちらを買って読み始めたら滅法おもしろくあっという間に読了した。

江戸の下屋敷の蔵の中での切腹事件を、切腹はいかにも管理職の責任が問われるのはまずいので押し込み強盗による密室殺人事件として設定しろと命じられた主人公とその相棒がいろいろ頭を捻る。

ちょうどその頃、国許ではわらべ歌になぞらえた連続殺人事件が勃発するが、はて真相は、というミステリーなのだが、江戸の主人公の「おれ」一人称と歯切れが良い文体、唐突にメタな考察が始まるなど、10代の頃読みまくった筒井康隆の小説みたいだなとか考えたら、この作者はどうもそれを狙っているらしく(富豪刑事の時代物版を作っているそうだ)うまいものだと思った。

おれ自身はお江戸の情勢には疎くはないので豪商殺人事件のトリックはすぐにわかったが、それはそれとしてそもそも謎解きを楽しむ作品ではなく、謎解きを含めた作品そのもの構造を楽しむメタ小説だったのでえらく堪能した。

猫間地獄のわらべ歌 (講談社文庫)(幡大介)

出品者たちは自動化しているらしく、購入したときは本当の古本の値段だったのが、その後書影を取りにいったら元価格の50倍の馬鹿げた価格となっていて、それから5日たった現在は元価格の25倍の馬鹿げた価格となっている。売れたら価格を引き上げるというのはビジネスとしてはありだとは思うが、Kindle版も出ているのにそのアルゴリズムはあまり賢明とは思えない。


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