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リーゼ・ダーヴィドセンが元帥夫人というので観に行った。
指揮はシモーネ・ヤングで、いつもながらの颯爽とした良い指揮。女性大活躍の歌劇だけに指揮もあえてシモーネ・ヤングをぶつけてきたのかも知れない。
リーゼ・ダヴィドセンは、バイロイトのターンホイザーが良かったので興味津々だったのだが、元帥夫人の背の高さにいささか驚いた。ターンホイザーでは気づかなかったが、メトがあえてそういう配役にしたのかも知れないが、オクタヴィアンのサマンサハンキードリー(とても良いオクタヴィアン)やオックスのグロイスベック(あまり下品ではないこれはこれでありの男爵)より遥かに背が高い。
かくして、最後に宿屋に登場するときは、黒い服と合わせて聳え立つ孤高の雄峰のようで威厳があるどころの騒ぎではない。
幕間インタビューで元帥夫人への挑戦は疑問視されたというようなことを言っていたが、顔が童顔、背の高さは驚き、声は澄んでいるので、エルザには文句なしでも、確かに元帥夫人に合うかどうかは微妙な線だったのかも知れない。
が、顔の童顔っぷりと周囲を威圧する体格のアンバランスが、現在の目では全然老婆ではないのに物語上は既に枯れ切っているべき扱いの年齢という、ある意味の時代的制約がもたらす女性の人生に対するアンバランスも示しているようで悪くはない。
ただ、メトの薔薇の騎士の演劇面(というよりも舞台設定)の特に3幕はあまり好みではない。時代設定を第一次世界大戦直前におくのは、新国立劇場の演出もそうだが、説得力があるので良いのだが。
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