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シネスィッチでゴダール/遺言。
ネット予約しようとしたら、価格が1000円となっていて、はて24日は特別な映画の日だったか? と思うが、どう見ても1000円以外に選択肢がない。
良くわからないが購入してあらためて時間を見ると20分程度の短編だった。なるほどそれで特別料金だったのか。
始ると、そっけなく白地の上に写真が出てくる。この白地はcanonの何からしい。
戦争の奇妙さというタイトルの映画のデモ、またはパイロット版のようなことが書いてある。
全編スライドショーのような形式となっていて、1枚1枚がゆっくりと切り替わるので、字幕よりも本文をつい読んでしまうと、比較的シンプルな文言で書かれているので大体読める。こういうこともあるのだな。
見ていくと、サンローランとゴダールの対話らしきものが入る。企画に対して出資を依頼するゴダール、了承するサンローラン。
30年代に偽旅券という作品でゴンクール賞をとった作家シャルル・プリニエの作品を映画にする。
彼はトロツキストとして共産党を除名された作家だ。
多分、左手で顔を覆ったトロツキーの写真。
その中のカロレッタ。もう1篇(と受け取ったが、カロレッタの説明かも知れない)、ブルガリア人の女性の物語だ。彼女は当然拷問される(ということは、同じくトロツキストだったのだろうか?)。尋問するのは彼女のかっての恋人だ。興味深い。
アルジェリア。パレスチナ。
音楽が美しい。バルトークの最も先鋭的なもの(弦楽四重奏曲の4番あたりとか)のように聴こえるが、実際のところはわからない。唐突な音楽という点ではマリアやカルメンのようだ。
唐突に箴言のようなものが入る。
それは難しい、黒猫を薄暗い部屋で探すのは。ましてそこに彼がいなければ。
すでに銃が撃たれたのだ(多分、エイゼンシュタインの写真)。
プリニエを調べると、ベルギー人という外国人で初めてゴンクール賞を獲った作家となっている。フランス語の外人。スイス人のゴダールもそうだった。
速度はともかく写真に次ぐ写真という点ではカラビニエを想起する。
物語ではなくイマージュのストリームという点で新ドイツ零年を思い浮かべるが、過去のどの作品とも異なる。
フィルムだ。
衝撃的におもしろかった。こういう遺作を残すとは(意識した遺作という点でブラックスターを思い浮かべても良いのではないか?)。
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