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むぐ。サヌールさんに先を越されてしまいましたがw、というのはどうでも良いですが、
ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち(ポール グレアム)
オーム社からのハッカーと画家に続く、アメリカのソフトウェアエンジニアがビジネスの世界についていろいろ知見を語りまくるシリーズ第2弾(だと思うけど自信はない)の『Joel on Software』が出ます。
Joel on Software(Joel Spolsky)
第1弾(と勝手に決めてるけど僕の中では一連のシリーズなのでそれで良いのだ)のポールグレアム(グラハム改)がMITハッカーでLISPでEコマースで買収されてお金持ちなのに対して、第2弾のジョエルスポルスキはMSのExcelのVBAのプログラムマネージャ(プロジェクトマネージャじゃないよ。この職掌はもしからしたらMSの強みの1つの理由であり、彼等のプロダクトがてんでんばらばらな原因の1つかも知れない、とても興味深いので本文を参照のこと)を経験した、破滅へ向かうISPのエンジニアを経験した、今はBTSとか売っているソフトハウスのオーナーだ。
というわけで第1段がハック!とかっこ良いけれど、第2弾のほうはドキュメント書こうぜ、テストをしようぜ、宇宙飛行士の言うことには耳を傾ける必要はないぜ、まだまだ.NETなんか触れるかい、プログラマに必要なのは集中できる環境だ、ととても現実的で地に足がついている感じ(ポールグレアムが浮いているというわけじゃないが、もちょっと普通の人間の僕らの身の丈に合った提言をしている感じ。「普通のやつらの中を行け(ただしスマートに、笑顔を忘れずに)」ということだ。
ちなみに知っている人はみんな知っているが、まだの人は青木さんの翻訳済み文書も公開されているのでまずその語り口のうまさと視点の良さを味わってみましょう(出版にあたって相当手を入れられているし、気楽に読めて面白く、しかもいろいろ知見を得られるから買う価値はありますよ。というかこれも売れると第3弾とか第4段とか出てくるはずだし)。
#訳者の青木さんはとても謎な方で、翻訳の語り口からプロの翻訳者なのかと最初思ったら、テクニカルタームをきちんと(DLLがどうしたというようなやつとか――全くの別件を思い出したのでクリップ:DSLの話をしてたらDLLというのは衝撃的だったな――)押さえられていたり。で、奥付を見てちょっと納得した。
#ちなみになぜ発売前に僕が手にしているかというと、査読させていただいたからです。
(ちなみについ軽く調べてみたが「査読」って言葉は昭和以後の翻訳語のように見える。site:www.aozora.gr.jpで「査読」を検索すると出てこないってことは寺田寅彦あたりは使ってない言葉みたいだし、文学的な利用方法も皆無ってことだ。1988年の大辞林にも出ていないというのは驚きだ。ってことはすごく若い言葉、あるいは国語的には存在しない言葉なのかも。で、現時点でGoogleから100件程度ランダムにチェックした限りでは笹田さんが書いている意味での利用方法しか無いように見える点から想像すると、笹田さんが正しいのかも知れないな。単純にreviewの訳語だからreviewに置き換えられる個所には利用できるのかと思ってたけど、何か日本語にしなければならない理由があって―JIS用語とか―その意味で合成したと考えるのが自然なようだ)
Joel on SoftwareのURLを探すためにいろいろ見ていたらファッションの本もあったり。プレッピーハンドブック(ははは、さすがにAmazonには無いな)みたいなパロディ本なんだと思いたいがなんかなぁ。
オーム社って回路図が出ている本を出版している会社っていうイメージがあったんだけど時代は変わるもんだ。
っていうか、Amazonってやっぱりすごいな。「あわせて買いたい」が絶妙だからあわせて貼っておこう。
ジェズイットを見習え |
proofreadingとreviewは違うものだと思いますが、「審査する」というニュアンスのない本みたいな場合は、「校正」の方が近いのかもしれません。
校正というのはちょっと違うように思います。校正(proofだから文字通り)だと誤字脱字の修正や字数の調整といった、文意に影響しない読み合わせになると思いますが、この場合はWindows用語や慣用的な言い回しをどう訳すかあるいは訳さないかといった文意に影響する内容を含んでいたからです。<br>#Science Reviewからレビューが査読のほうだと思っていたけど、もしかして査読はproofreadingなんですか?
上のやつだと文意が関係しない例しか書いてないorz。「顔の中の堆い」を「鼻」と訳す作業は校正じゃないよね、という意味です(例が悪いけど文意が取り難いジョークが出てきたりするわけです)。
笹田さんのところですでに盛り上がっていたのですね。不覚。reviewが査読で、proofreadingはreviewに出す前に同僚にしてもらったりするやつです。artonさんがしたのはproofreadingのほうですよね。別に英語に引きずられることはないと思いますが、二文字熟語で適切なやつが思い浮かばないです。笹田さんのほうにある「批評」は、出た後のものに対してするもののようにも思えますし。
校閲、なんて言葉も。英辞郎でも、校閲部が「proofreading section 」のようですし。
>review前がproofreading<br>なるほどー。出版だと?(話題のやつ)が最初にあってから校正、出版、批評となると思います。<br>校閲って言葉もありますね、確かに。手元の(居る場所によって持っている辞書が異なる)新明解第2版だと「書類や原稿などの誤りや不備な点を調べて、加筆訂正すること」なので意味的にはしっくり来ます(が、「閲」の字が強いので僕にはなんとなく抵抗があります。「検閲」という言葉のイメージが強いんだろうか――新明解2では「狭義では……日本国憲法では、これを禁止」してたり)
上の最後、誤解されやすそうな書き方だな。禁止されているのは「検閲」のほう。
蛇足ですが、「reviwerが査読で」というのは、「査読はレビューで」というべきだったかもしれません。当然ながら、reviewには他の意味もありますからね。