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そこでふと気づいたが、共和党の巻き返しとか、マケイン奇跡の逆転とかなければ、アメリカの次の大統領は、女性か黒人か、いずれにしてもマイノリティ(しかしこれ、全体の頭数とは無関係なところが奇妙な言葉だ)の登場となるんだろうな。
哈爾浜(はるぴん)の都市計画を読み終わった。(買ってぱらぱら読んで、しばらく放置した後、ポストマンの次の本として通勤時に読んだのであった)
哈爾浜(はるぴん)の都市計画 (ちくま学芸文庫)(越沢 明)
固い本だが(学芸文庫だし)、にもかかわらず、とんでもなくおもしろい。
たとえば、ロシアが鉄道を作るために町を作る。
北洋軍閥が、ロシア革命のどさくさにまぎれて街を奪取する。
革命政府が鉄道の主導権を握り、白系ロシア人に対する排斥が始まる。
おお、いよいよ満州事変ですな、と思って、章扉を開くと、満州国はできあがっていて、都市計画をめぐって関東軍と哈爾浜市役所が対立している。
歴史の節目は特に語られることなく、そのときどのような都市計画が立案されて、そして実装されたかに的を絞っている。(そもそも資料がないものについては書かれない)にもかかわらず時代の変化によって街の相貌が少しずつ変わる。
いくつもの歴史の皮肉。
1. ロシア人の都市計画を基にさらに現代的なグリーンベルトなどの要素を取り入れて、継承と革新の合わせ技で、より発展させた満州政府に対して、一部の技術者に席を設けて引き続き継承を図った革命中国政府。しかし、文革で寺院や歴史的な建築物が破壊されてしまう
2. 内地では地位が低く主導権をとることができないが、満州では技官がその技術によって主導権を取り、立案し、実装した。
3. というわけで哈爾浜、大連、新京での経験を基に、戦災でからっぽになった東京を作り直そうと雄大な都市計画を作り上げる(ゑいようさんは満州帰りじゃないけど)。GHQのインフラ担当は若い元銀行員で、「都市計画? 緑地? 100m道路? コストとゲインは?」で、今の東京となった
4. 帝政ロシア、奉天派、満州、と常に負け組みによって作られてきたため、都市計画の全容について正しく評価されてこなかった(この本は画期的なものらしい)
5. ロシア時代には放置されていた河川事業を完成させたため、中国人の間でも市役所と都市計画に対して協力的な雰囲気が生まれる。が、戦争に負けてすべてがパー。
6. 白系ロシア人とソ連人と漢人と満人と朝鮮人と日本人が一緒くたに住んでいる都市。
・ロシア時代の細かなしかし有効な建築規制: 門扉は道路に対して開くようにつけてはならない(通行人にぶつかる可能性がある)。
哈爾浜が出てくる作品。
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