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日々の破片

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2008-09-14

_ 上野水香のジゼル

ルグリとかマレーホフとかは無視して、子供と観にいく。

ジゼルなんて曲はえらくつまらないし、物語もかすだし、というかホワイトバレエなんで(白鳥の湖を別とすれば、有名どころの観ている範囲では)眠くなるだけの代物だけど、ああ、やっぱりえらくおもしろかった。

家から飛び出すやいなやびっくりするようなはしゃぎっぷりで、思わず愉快になるし。

それが一転して、実は伯爵と知ったところで(それより前、この演出では二人で手に手を取って家の前を離れるシーンを挿入しているから、えらく意味深でもあるけど)狂乱するのだが、その狂乱っぷりときたら、おっかないのなんのって、生身の人間の舞台であんなおっかないものは、初めて経験した。

ある点においては、それは見た目のギャップで、レッサーパンダの大暴れというか、目の大きさを強調した強いマスカラのメイクに、丸顔、おかっぱ系黒髪のせいもあるだろうけど、ただでさえ踊りが大柄で派手な人が狂乱して踊るのだから、片時も目が離せない。ただでさえでっかめな目をかっと見開いてあっちへとんでこっちへとんで、剣を持ってくるくる回す(そりゃ、そういう振り付けと決まっているけど)、本気で怖かった。

表現力ってのは、本当に天性のものだな。

で、二幕。だから退屈なんだってば、てば、てばと観ているうちに、登場すると、登場するだけで、なんか違和感があるのだが(髪が短いからかなぁ)それが実によい。というか、本来違和感を覚えない状態なら、それは退屈でうんざりなわけだから、違和感があるのはよいことなのだ。

ただ、1人で飛ぶときはどうも低めに飛んでいた気がしたけどなぜだろう。音を殺そうとして抑制しすぎたのだろうか、ということがわかるほど、技術的なことは知らない。

で、またこないだのドンキホーテでもコンビを組んでた人だと思うけど、実にイキがあっているというか、うまく引き立ててくれるというか、飛んだり浮いたりが、実にきれいでおもしろく、これならジゼルもよいものだ。というか、むしろ、ドンキホーテよりも、またこれやってくれないかな、また観たいというという感想。

いやぁ、観にいってよかった。あれはすばらしかった。


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