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僕が好きな音楽家といえば、バッハとバルトークと、それになんといってもケヴィン・ローランドだ。
どのくらい好きかと言えば、こんなに趣味の悪いジャケットのCDを後生大事に抱え込んでるくらいだ。
最高の音楽に最低のカバーアート。許せないね。
マイ・ビューティーではおどおどした薄気味悪い▽だが、元々はデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズといういかしたブラスバンドを率いて、最高の音楽を奏でてた。
若き魂の反逆児を求めて(デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ)
こいつの一曲目のバーニングダウンチャートのカッコよさときたら。最初にラジオをチューンする音から始まる。ディープパープル……だめだめ、ビルネルソン……だめだめ、ピストルズ……だめだめ、スペシャルズ……だめだめ、こんなの焼き払っちまえ、おー! でブラスがパパパッパパーパーパパパパパーと始まる。オーティスレディングかい?
で、次にはいきなりスタイルが変わって、フィドルを弾きながら踊り狂っていた。なんじゃこりゃと思う間もなく世界的なヒットとなる。カーモナイリーンちゃらちゃらーというメロディはどこの街角でも聴けたものだ。
妙にメジャーになったなぁ、と思いながらもある日、石丸電機で3枚目を買う、というか、また雰囲気が全然違うのだが。えらく渋い。
Don't Stand Me Down(Dexy's Midnight Runners)
オリジナルジャケットは茶色くて、当時はやったエンニオモリコーネのユダヤギャングの映画の雰囲気。
ジェームズウッズとロバートデニーロのやつだ。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ [DVD](ロバート・デ・ニーロ)
映画ははやったし、そっくり名前をちょうだいしたシンプルマインズはビッグになった。
Once Upon a Time(Simple Minds)
しかしデキシーズはこれっきりで打ち止めてしまった。よほどセールスも振るわなかったのか、書影を見ての通り、日本版CDも出ないありさま(石丸で買ったLPは日本盤だったが、今は愛の列車に乗って行ってしまった)だし、ジャケットも差し替えになっている。
1作目はブラス、2作目はフィドル、そして3作目では弦楽隊。どれほど腰が落ち着かない野郎なのか。多分、それはどうでも良くて、この男は自分の歌を聴かせたいだけなんだろう。
で、ケヴィンローランドはどうなったかというとクスリに溺れてしまったらしいというか、元々このタイプの人にありがちなことではあるが、中毒になりやすかったんじゃないなか。
で、比較的好きなソロ1作目もあるのだが、大して成功しなかったらしい。2回成功しないと沈むことになる。
で、薬を抜いて再起を図ったのがマイ・ビューティーだが、どんなに内容が良くても、あのジャケットじゃ誰も買わないよ。で、まさにその通りのセールスだったようだ。
だが、実にすばらしい。ついに、バックバンドは単なるムード歌謡曲バンドというか赤坂のナイトクラブバンドというかポールモーリアというか、どうでも良い音楽隊になってしまったし、曲はすべて他人のカバーだ。だが、他の誰にもまねできない歌がある。
このCDの中に、リフレクション・オブ・マイ・ライフというのがあって、オリジナルはマーマレードというどうしようもない名前のイギリスのバンドなのだが、これが実に良い曲だ。
マーマレードは甘いが、でもそれほど幸福な詩でもない。しかし仄明るくないこともない。
The world is a bad place, a bad place
A terrible place to live, oh, but I don't wanna die
なんというか、これって腐ってもニューウェーブっぽい。イギリス固有のバンドのカバーってところが。
ちょっと例をあげても、マッドネスのイットマストビーラブ(ラビ・シフル読み方わからないけど)、ストラングラーズのオールナイトオールデイズ(キンクス)、ギャングオブフォーの朝日のあたる家(アニマルズ)とかだ。もっとも他には知らないけど。
で、ケヴィンローランドは今も音楽をやっている。しかも、マイスペースに公式サイトも持っている。
ここでは、マイ・ビューティに収録されているラグ・ドールなどが聴ける。
のは良いのだが、Youtubeに置いてあるMy Life In Englandのライブのビデオを貼っているのだが、これがクリックすると「利用規約に違反しているため、この動画は削除されました」と表示される。はて。
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