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ティプトリー月間も終わりで、一気に5冊買ったうち、輝くもの天より堕ち以外はすべて読んだ。
いろいろ思うところがあるが、さすがに60年代末期からの人だけに、いろいろな時代精神の発現があり、それにより既視感というよりも既読感に悩まされる。
たとえば、たったひとつの冴えたやりかたの2つめ、グッドナイトスイーツハーツを読み、それからしばらくたって、故郷から10000年光年のマザーインザスカイウィズダイアモンズ――突然思い出したが、KNIGHT OF THE DIAMONDをDIAMONDSと打ったか、あるいは定冠詞を抜いたか(それは、日本語版の箱が日本の慣習で冠詞か複数形のsを抜いていたからだが)、最後の最後で吹っ飛ばされた悪夢――を読み、まるで双子の兄弟のような、多分映画化すればジャックブラックなんだろうけど、おれとしてはニール?ヤングを推薦したいところだ、が、トチローだのハーロックだのにだぶって見えるとか。どうも、おれはこのあたりの作品が一番好きなようだ。特にダイモンズはものすごく好きなように思える。が、歩いて帰って来るやつのすさまじさは別格だと感じるし、実際問題としてビームのやつは読んでいて困ってしまうところがある。
あるいは、その生涯はまったく異なるにも関わらず、ここぞというビッグなイベントゆえに、どうにも矢川澄子がだぶってくるとか。
故郷から10000光年 (ハヤカワ文庫SF)(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア)
可能性としては、一番最後に読んだので一番リズムに乗るぜ(鬼太郎)だっただけかも知れないが、これが一番しっくりきた。
というか、おれは、スラプスティックコメディが好きで、それはばかみたいに読みまくった筒井康隆によって知った言葉で、それがちょうど70年代の前半の頃で、というのとも関係するかも知れない。だからセールスマンのやつとかわれらなりのやつとかは、楽しい。しかし、ハドソン毛布のやつはコメディとは読めないな。
あるいは、ホーマー(ホセ?ファーマー)をちょうど読んでいたころ、それも70年代の話になるのだが、SFというジャンル小説には鬼門があって、それはつまりセックスで、それにホーマーは挑んだというようなことだ。だが、それはその時点での20年前の情報の紹介だったのだな、と気づく。どうでも良いが、妙にオールディースの緑の小人がとび跳ねる題名忘れた、と書いたら思い出したが地球の長い午後だが、に出てくるサンドウィッチねえちゃんという言葉が妙に印象的で忘れようとしても思い出せない。
つくづくわかったのは、おれは70年代のおれを80年代に殺したんだな。今、70年代前半の作品を読むことでいろいろ思い出したが、これらの作品に通底する時代精神にあまりにバランスを欠いた状態で浸かりこんでいたので、完全に嫌になったらしい。というように、人は中二病の自分を秒速で葬り去るということだろう。というわけで、なかなかに不快でもあり、しかしそういった感覚がおもしろくもあり、非常に微妙なバランスの上で楽しめた。
ジェズイットを見習え |
「たったひとつの」はどこぞのバンドの誰かが「いい」と言ったので女子が好んで買ったという過去がありましたね。わたしはどうも好きじゃないのだけれど。<br>「故郷から」は買ったけれど読んでなかったかも。<br>ホーマーってひょっとしてフィリップ・ホセ・ファーマーですか?
あ、そのとおり。〉ファ<br>まさに、今朝、妻とYahoo検索のトランスファーマー(何故か自動補完される)で盛り上がった偶然の符丁がおもしろい