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追悼。
世界には何種類かの人々が住んでいる。
予知能力を持つ神官を頂点とする王国。
科学技術と合理性を尊ぶタウリッシュと呼ばれる集団。
辺境の部族。
乗り物は竜。人々はどうやら宇宙のかなたから来たらしい。
そして火山が噴火し、大陸がばらばらになる夢を大神官が見る。人類を生き残らせるためには、神託、デマ、原始宗教、権力、軍事力、大衆芸能、科学、なんでも利用して、とにかく人々を散り散りにし(生き残る可能性がある場所がどこなのかはわからない。したがって、人々が固まって暮らしていること、それがリスクとなる)なければならない。
そのためのプロジェクトチームが結成され、科学と魔法、芸能と権力(世俗の権力の頂点に立つ(つまり王)弟との確執のため、なかなかこれが利用できないのだが、最終的には協力が得られるのだが、頭では理解しているのだが、国民に納得させるための理由が欲しい王と、予知能力で終末が来るのが見えているだけに理屈抜きの説明しかできない大神官と、地質調査などから終末を推測した結果理屈のみで説得にくるタウリッシュが、なかなかうまく協力できない(結論は一致しているのだが、立場の違いからなかなかすり合わせができない)おもしろさとか)と蛮力によって、人類は散り散りになる。
途中、大神官は宇宙のかなたから飛来した先祖のことを考える。かれらは基本的に予知能力を持たないゆえに迫害され、宇宙のかなたへ逃げることを考え、そして実行したのだった。(しかし、稀に予知能力を持つ子供が生まれるため、それを安全装置として大神官とする。その安全装置のために人々が科学に蓋をした上で地理的に狭い範囲で生活する国家システムが結果的に作られてしまったことが、終末を前にして問題となる)
無限のエネルギーを暗黒のかなたから生み出す、あるいは何もないところへ生き残るために進む、そういった考えは、未来を見ることができないからこそ可能なのだ。
そうよ、と踊り子が語りかける。先を見ることができないから、あきらめないのよ。やってみなければわからない。
この作家の作品の大きな特徴は、そこが少女マンガなのかも知れないが、この踊り子の存在で、大神官のことを好きだからその預言を信じる、好きだから大神官のことを助ける、という理屈抜きの勇猛果敢な行動力にある。その一方でタウリッシュの描き方にこの作家のもう1つの面を見ることもできる。
最後、大神官と踊り子は竜にまたがり、どこかへ飛び去る。
圧倒的な迫力、複雑な(したがってリアリティを持つ)社会システム、きれいな画、説得力のある物語。おれはこの作家の作品はすごく好きだった。今でも好きで、プチフラワーコミックが相当手元にある(だがワン?ゼロだけは見当たらない)。
ジェズイットを見習え |
> だがワン・ゼロだけは見当たらない<br><br>えええ、夢見る惑星と並ぶ傑作なのに… 今でも http://www.comicpark.net/cm/comc/selectnew.asp?flag=-1&searchtype=all&keyword=%8D%B2%93%A1+%8Ej%90%B6 で入手可能なようですよ。
買った時は暗記するほど読んだわけで、読んだことないから見当たらないんじゃないです。妹に貸したのかな? それにしても本当に面白かったですね。
そうか、それで「見当たらない」なんですね。もう1組買うしかw
文庫になったとき買おうとはしたんだけど(その頃から見あたらなかった)、どうにもそのへんから出て来そうだと思うと買う気にならないんですよね。それはそうとして、絶版本の印刷サービスじゃなくてiPadダウンロードとかになったらiPadと合わせて買ってしまいそうです。