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日々の破片

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2010-06-29

_ Kバレエカンパニーの眠れる森の美女

日曜は文化村でKバレエカンパニー。

が、1幕目がぱっとしない。舞台の色調は淡いばかりで平面的だし、リラの精の前座は文字通り前座というか子分というか同じような服を着ていて何が何やらだし、カルボスですらぱっとしない。

休憩時間に配役表(当日情報)を眺めると2幕が30分とか書いてある。子供に、マラーホフ版みたく超短縮でやってくれりゃいいのに、これたぶん寝てしまうから、もし熊川がぴょんぴょん跳ねたら起こしてくれ、とか頼んで熟睡しようかと思っていたらこはいかに。

深みのある森の中に(画に書いたような紋切り型とも言えるけど)ブリューゲルのような狩猟風景が始まり、なんというか大久保利通の若い頃のような雰囲気で熊川哲也が登場。子分たちに大威張りのいやな王子として振舞う。当たらない矢を投げて八百長で拍手喝采(という見た目通りなのか、そこは当たったことにしておいてね、という演出なのかはわからないけど)。

えらくおもしろい。目がすっかり覚めてしまった。で、リラの精に絵姿見せられて、さらに幻影を見せられてすっかりその気になって光る剣で妙な船に乗ってカラボス退治の旅に出て、あっという間に敵に捕まってあわやというときになぜかカラボスがのこのこ前に出てきたおかげで刺し殺して良かったね、さあ接吻だ、目覚めなさいまで一気につながって、これは抜群におもしろい。舞台も演出も踊りもすべて良し。というか、2幕を目立たせるために、あえて1幕をぐだぐだにしたのかな? (あるいは、単に熊川哲也が出ているかどうか、という話なのかも)

いや、年とは思えないほど動きにも切れがあるし、観ていて実に楽しい。表現力ある踊りだよなぁ。

そして3幕。右から左へふらみ左に階段、右に玉座と位置は普通だが背景画の柱の遠近感の出し方が異様でおもしろい。

金と銀でなぜか金が2人いるが銀が絶妙。おもしろかった。赤頭巾は、エピソードを始める前に植木鉢を4方向から従者がのんびりと運んできて森を作り、最後にのんびりと撤去する演出が妙に印象的。青い鳥は衣装の青さだけが印象的だけど、それでもこのバレエ団は男性の動きがいいよなぁといつも思う。

猫が妙で、これまで観たのは(パリのDVD、マラーホフ版、キエフあたりのDVD)どれも、牝猫の行儀の悪さを最後に牡猫がぽかぽかやっつけて終わるのだが、最初から最後まで一貫して雌猫が牡猫をぽこぽこ叩く。なぜそんなところで違うのかなぁとか、そこは不思議ではあった。

くるみ割り人形で使ってしまっているからか、サンドリヨンは無し。音楽的には最も好きなのだが、しょうがないな。

パドドゥとか、まあ普通におもしろかったし、結局最後まで観れば良い眠りの森の美女だった。

カーテンコールでのカラボスが、ちょっとマラーホフの影響下にあるのかなという動き(影響を受けても当然だと思うし、おもしろいから良いのだけど)で、1幕ではつまらなかったし、3幕には出てこなかったけど、最後の動きはおもしろかった。

というわけで、一幕目に退屈したのは、もしかしたら体調とか気分の問題だっただけで勘違いだったかも知れない。そのくらい、2幕以降は楽しめた。


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