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レビューに参加したので、アスキーの黒い本のうちでも最も高度な青い本、サービスデザインパターンをいただいた。
マーティンファウラーのサイン本シリーズを、ぶりきじゃの角征典(児玉サヌール)さんと高木さんが翻訳していて、これまでのマーティンファウラー系の翻訳に頭を悩ませていた人も原書をひも解く必要がゼロという快挙ですなーる。
サービスデザインパターン SOAP/WSDLとRESTful Webサービスの基本的な設計ソリューション(Robert Daigneau)
で、この本はおもしろいです。どのくらいおもしろいかというと、レビューで完全に目を通せたくらいだ。ひさびさに、固い設計系の本を読んで実におもしろかった。
内容は、Webサービスのパターンアンドプラクティスで、とは言ってもマーティンファウラー系なのでターゲットはエンタープライズアーキテクチャで、はてなんでそれが2012年という疑問を2004~5年頃に駆け抜けた人たちは持ってしまうにも関わらず、JavaだけではなくむしろC#を使っていたり、だいたいエンタープライズは何より安定していることが重要だったりするので、枯れた技術でがっちり構築と考えれば、ある意味、今がその時なのかも。
なのかも、なのは、メインがSOAPだからだけど、でも実際にVisual Studioを取り出すと、WCFでRESTスタイルをそれなりに使えるとはいうものの(URIに.svcが入ることに我慢ができれば)、そうはいってもWSDL+自動生成プロクシの安楽さに妥協点を見出さざるを得ないことは非常に良くあるので(思い出してむかついたので後で補足を書く)、せめてパターンを押さえて適切に設計したいものだ。
・REST、RESTと声が聞こえて来たので、いかにセッション指向のインターフェイスをステートレスにやるかを考えて、HATEOASで実現する方法に思い至って設計していたら、RESTというのは、単にAJAX(でも全然非同期を意識していないので、さらにその意味はjQueryでXHRを使う程度の意味だったりして)でSOAPをやるという意味だとわかったとか、いろいろ。
で、面倒だから、本書の特徴をうまく書いているマーティンファウラーのまえがきを引用すると、
Webサービスについてはすでに多くの書籍がさまざまな側面について触れている。そのため、ロバートの草稿が送られてきたときには、おもしろいはずがないと思っていた。私の気が変わったのは、上記の重要な疑問(引用者注: RPCスタイルかメッセージ指向か、RESTをどう考えれば良いか、ロジックの位置をどうするか、などなどの、実際に設計すると絶対に選択が要求されて、しかも一長一短、完全なる実験はできないので、そこは経験、しかし経験がなければどうすれば良いのか、といった諸問題のこと)がうまく1冊にまとめられていたからである。しかも、読む価値のあるスタイルで書かれた技術書になっている。
まったく、その通り。網羅的であり、ケースバイケース主義であり、しかも説得力がある。良書だ。
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