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11日は、トスカ。
カバラドッシがやたら腹回りが太いが、声は張りがあって美しい。サイモンオニールというニュージーランドの人。トスカはノルマファンティーニ。遠目にはきれいだし声も美しいけどちょっと弱いかな。ただし、演技はきちんとしていて、特に感心したのは、スカルピアが通行手形を書いている間に机の上のナイフを見つけ、後ろに隠したりしながら、書き終えて手形を手にして近づいたスカルピアを刺殺した後(スカルピアが手に通行手形を持っているのは観客には強調していたのだが、それを見る間もなく)ソファとか妙なところを探し、書き物机の書類をひっくり返し投げ捨て、最後にスカルピアの死体のところに戻り、手の中の書類に気付くが、近寄ると生き返るのではないかと恐れてなかなか近寄れず、しかし意を決して近寄りかすめ取り、立ち去ろうとしてストールを取りにまたスカルピアのところへ戻り、また恐る恐る近づき引っ張る(その前にスカルピアの机の紙か何かで手を拭うところもある、というか演出の指示が細かいな)るまでの一連の動きの迫真性で、これは素晴らしい。
音も悪くなかったと思うのだが、しかしカーテンコールでは指揮者にブーイングが何人かから出ていた。素晴らしい指揮っぷりということはなかったと思うが、かと言って、ブーされるほどひどかったかなぁ?
演出と舞台は定番らしい。コスプレだが悪くないし、装置は見事。最初トスカは青く、次は赤く、(最後は忘れた)。スカルピオは韓国の人。名人らしいし、確かに堂に入っていて、1幕最後の行けトスカとか良い感じ。
テデウムが鳴り響く聖堂正面の画の十字架がXなのは不可解。本物がそうなんだろうか? でもカソリックなんだから十字架なんじゃないかなぁ。アンドレ派なのかな。
全体としてトスカをとても楽しめた。
ただ、何しろ物語がひどい。おれはこの作品の中の立場で行けばナポレオン党(というか民主主義者だから、というか、アメリカ人のせいで共和主義が非常に悪い意味になったのは困ったものだ)なので、堂守とか不快でしょうがない。1幕のトスカのばかげた嫉妬深さの表現も気分が悪い(が、そういう性格だからこその2幕なのかなぁ)。非常に気分が悪い物語だ。それにしても、頭に針のついたバンドをぎりぎり締め上げる拷問というのはなんなんだろうか? キリストの茨冠の何かなのかな。アンジェロッテが自殺するというのは、彼が反カソリック(革命家)ということを強調させるためのシナリオなんだろうか。
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