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ねじまき少女がおもしろかったので、2ヵ月前くらいに本屋で見かけたバチガルピのシップブレイカーを、先週くらいに読み始めて読了した。
YAのなんとか賞を取ったというわけでヤングアダルトものだったのだな。なんか描写が素気ないうえに、やたらと家族や仲間の絆がどうしたみたいなお話なのでとまどった。
舞台は海面上昇で沈没したアメリカ南部のあたりの世界で、スラムよりもひどそうな瓦礫と化した船舶から資源を拾い出してくる作業についている少年(この作業がシップブレイカー)の愛と冒険の成長物語。
範馬勇次郎よりへたすれば怖い無敵超人の親父との戦い(成長物語だから、当然、味噌汁飲んで大団円ということはなくて容赦なく殺す。ただ逃亡先のスラムで見かけるところとか、怪我でふらふらのところにざわざわ仲間と一緒に向かってくるところとか、実に良いタイミングで魔物のように行く手に立ちはだかる語り口のうまさは見事だ)と、実に奇妙な犬人間(ハックルベリーフィンと一緒に逃げる逃亡黒人の面影と、カタリベに出てくる以前鬼だったおっさんとかがちょっと重なる)、なるほどこれはYAものと言わんばかりの美少女(しかもエンタープライズの跡取り)が主要な登場人物だが、海洋冒険ものっぽさがあったり、なんか実に正統的な小説だった。
というわけで、おもしろかったが、読んでおしまいだなぁ、さすがにYもAもとうに過ぎてしまったし。
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