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26日は、新国立劇場でフィガロの結婚。
ホモキの演出はこれで2度目だが、今回のほうがぴんと来た。後で、バックステージツアーに当選して説明を聞いたが、前回はフルに舞台を使えたので庭師が上がって来る梯子は奈落から突き出したが、今回はリゴレットの舞台を地下に格納していた関係で横から1/4回転して突き出したとか。そんな違いはまったくわからなかったが、ツアーに参加していた人にわかっている人がいて、良く観ているものだなと感心した。
前回も序曲が快調だった記憶があるが、今回のシルマーの指揮は印象としてはさらに快調そのもので、聴いているだけでわくわくして来る。後、異様にソナタ形式の構造が浮かび上がって来てちょっと不思議だった。
フィガロのヴィンコという人は背が高いすっきりした歌手。歌もすっきりしていてしゃれた感じ。スザンナの九嶋という人はアシメトリクな衣裳が似合うコケットな感じでスザンナっぽい(結構、観ている歌手のはず)。アルマヴィーヴァ伯爵はヒゲのおっさんでプログラムに書いてあるセクハラおやじという言葉が似合う人。伯爵夫人のフレドリヒという人は最初、音程が不安定かなと思ったが(音程が本当に不安定なのは金管で、今回は意外と良くないなと思った)、きれいな声で印象が実に良い。でも特筆すべきはケルビーノのレナベルキナというウクライナの人で、顔も演技も歌も可愛い。
でもモーツァルトなので半分退屈しながら聴いているわけだが、何か所かはっとする箇所がある。これまで気付かなかった。
ケルビーノとスザンナが入れ替わった後のスザンナと伯爵夫人の二重唱が良い。
次に、結婚行進曲が実におもしろい(序曲もそうだが、シルマーという指揮者は曲の構造を浮かびあげるのがうまい)。
そして、フィガロがスザンナだと見抜いてちょっかいを出してスザンナにぼこぼこにされた後に、愛する人の声はわかるもんだ、声!? というやり取りで始まる歌の美しさにはびっくりした。なんてきれいな曲を作るんだろう。その歌の美しさに驚いているまま、伯爵夫人の許しの歌になるのだから、思わず感動してしまった。モーツァルトの音楽のくせに生意気だなぁ。
結局、ウルフ・シルマーが抜群なのだと思う。実に良い指揮者だ。
あと、ドンクルツィオの糸賀という人が実に良かった。
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