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東劇でメトの新演出(リチャードエア)のフィガロの結婚のライブビューイングを観る。
正直モーツァルトは好きではないのでやめようかと思ったが、なんとなく行ってしまった(というのは、フィガロのアブロダザコフというアブラカダブラみたいなバリトンが、前回のイーゴリ公で実に良い歌手だなぁと思ったからだった。
結果的には素晴らしいものだった。生まれて初めて最初から最後まで通してフィガロの結婚を楽しめたし、なるほどモーツァルトは(転調の)天才であるなぁと実感した(歌手の表現も良いのだ)。
おそらくまず第一にジェームズレヴァインが良いのだ。緩急自在。あまりモーツァルトらしくない分厚いオーケストラの響き、それが実に見事で、楽団を掌握しきるということはこういうことなのだろうなぁと感じる。しかもそれが妙な緊張感を持つものではなく、実に楽し気だ。
レナードのケルビーノがまた素晴らしい。にゃんちゅうみたいな顔のアルマヴィーヴァ伯爵も悪くない。
いろいろ考えると、結局はレヴァインとエアの二人が作った演出の妙というものなのかも知れない。回転舞台をうまく利用することで場面転換の速度を極限までに高めている。それが良いテンポを産む。全般的に速度は早めなのだが、ケルビーノの歌など部分部分でゆったりとしたテンポを取る。3幕と4幕の間がほとんどお休みなしに続く。
舞台は1930年代、貴族社会の死滅期におく。衣裳と舞台装置が良い味を出していた。
フィガロのバトラーらしい服と、伯爵という言葉が耳に残って、なんかヘルシングを読み直したくなり(しかし実物本は人にあげてしまったので)、Kindleで買い直して読み直してみたり。
HELLSING(9) (ヤングキングコミックス)(平野耕太)
(実物の本だとカバー裏か、紙のほうの表紙だかに何かあったような記憶があるのだが、Kindle版では欠けている(無いのであれば問題ないけど))
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