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日々の破片

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2015-01-18

_ ぼくらのよあけ

病院の待合時間を利用してぼくらのよあけを読了。

良い作品だった。相当気分が良い(気分が悪い分もあるのだが、それも作品の良さの範疇だ)。

元々、誰かがアフィリエイト経由で購入したのでつられて購入したのだがなかなか読む気になれずに放置していたのを、先日1巻を読んでえらくおもしろかったのだが、なかなかまとまった時間が取れず(つまりぐいぐい先を読んだほうが楽しめる作品となっていて細切れな読み方には向かない)2巻はさらに放置していたのを、病院の待合時間があったので読了した。

(それにしてもWindows RT+Kindle Cloud Reader+LTE(時々3G)テザリングで2巻の読了に2時間以上かかるとは思わなかった。内容が濃いというのもあるが、先読みはしているように見えるがそれにしてもページめくりが重い。というのを除けば、Surface RTというのはFlash(だと思うのだが)も文句なく使える点で実は相当良い端末だと思う)

舞台は2030年代中頃、ちょっと先走った家庭にはオートボットが導入されていてスケジュール管理から家族間コミュニケーションまでいろいろやってくれることになっている。

唐突に思い出したが、数年前、子供に「大学に入ったらアンドロイドを買ってやる」と当然スマホのつもりで言ったら「早過ぎない?」と返されて、「大学生なんだから早過ぎるってこたないだろう」と言ってお互い「?」となったのを思い出した(結局iPhoneになったけどな)。どうも、アンドロイドが後ろからついて来る様子を想像したらしい。ぼくらのよあけが2030年代だから確かにその想像だと早過ぎる。

舞台は団地。小学高学年の男子3人組が主要な登場人物。親(この視線がうまく書けているのでおれが読んでも子供だまし感が無いとも言える)や地域社会、1人の子供の姉とその同級生たちなどもからみながら、1万年かけて地球まで来て不時着した宇宙船を帰還させるための日常的冒険を描いた作品。1万年と親の世代からの20数年、家にオートボットがやってきた1年くらい、さらに未来へ40年といった時間感覚を、たかだか10年ちょっとしか生きていない子供たちが実感しながら、コミュニケーションとは何か(LINEいじめの2030年版とかを含めて)を経験していく様子を2冊分の作品に凝縮している。

と、要約すると、まさに物語は王道。

ちょっとテーマ負けしていたり(最後に数ページで語ってしまうのは唐突過ぎるが、しかし悪くなく、むしろ感動的だ)、どうも物語の回収にしくじっているようなところもないわけではないが(もちろん、そこは読者に考える余地を与えたのだという言い方もできる)、実に良い作品だった。

ぼくらのよあけ(1) (アフタヌーンコミックス)(今井哲也)

ぼくらのよあけ(2) (アフタヌーンコミックス)(今井哲也)

(実体本のほうは2巻が品切れでひどいことになっている。電子化されているのは素晴らしい)

さて、思うに、このての作品が成立するには「中流家庭」というのが不可欠だ。それなりにリベラルな考えを持つ親、それなりに先進的な技術の導入が好きな家庭(超富裕層だと別の物語になるのは、集合住宅や地域社会という舞台設定がきかなくなる可能性があるからだ)、2030年代予測として一番危ういのが、実はその部分だったり(しないようにできるかなぁ?)。


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