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シネスィッチでゴダールのさらば、愛の言葉よを観る。
ゴダールには不要なので事前の知識一切なし(いや、ゴダールだという知識はあるわけだが)で行ったら入口で100円払わされて3Dメガネを買わされて驚いた。3Dなのか。
まあ、ゴダールはフィルムからヴィデオへの移行も早かったし、驚くことでもなかった。
初日とあって、会場も8割は埋まっている。
で、始まると、字幕が浮くのは普通として、黒地に白で2D、浮かべて赤字で3Dと出してきて会場に笑いが走る。実に微笑ましい。楽しみまくって作ってる。
アデューの読み替えが繰り返されて、1自然が始まる(という章立てなのかと思いながらみる)
本屋の壁側から売り子、机、買い手と3Dで映る。ソルジェニーツィンの収容所列島を読む男、副題は? 秘書なのだろうか女性が何かすると、ググル必要はない(tu n'as pas besoin ? googleとか言っていたようだから正しい訳っぽい)なぜなら表紙に書いてあるとか言う。iPhoneを映す。すべてが斜めで、異様な気持ち悪さ。静止したカメラでの撮影のようなのだが、3Dで斜めなのですさまじい異化効果がある。おもしろい。これまでウィークエンドではグルグル回しながら撮影したりすることで、つまりカメラの動きで生み出していた不自然さを、奥行きと斜めなことで表現している。こういうこともできるのか。あとから、シェリー夫妻とわかる若者。遊覧船。2重に映した平面をそのまま提示。
2隠喩。ほぼ全裸生活をしている中年の浅黒いひげの男と少し若い女性。おれが映画を観始めたころはこういうシーンはスクリーンの下半分が見えなかったのだが、今はおっさんのちんちんがもやもやする以外はクリアなので少しだけ時計の針が先へ進んだことを実感する。
トイレの取り合い。おっさんは平等を力説する。シャワールームに血が飛び散る。
ヘリコプターが着陸に失敗して爆発する。
1自然。章立てというわけではないのか良くわからないが、2つのパートの切り替えらしい。元のシーンを置いたまま女性が右に移動した先のカメラに映り、つまり3Dに3Dに重ねたシーンでは干渉しあってなにもわからない。
新しいおもちゃを手にしていろいろ試しているのが良くわかる。以前、こういうのをモッコスで観たことがある。シュルレアリスムに近いドイツの人(ハンス・リヒターという名前だった記憶があるが、高名な指揮者の名前と同じだから間違っているかも)の真昼の幽霊とかいうような題だ。カメラを静止する。人物を動かす。カメラを停止する。人物を移動させる。カメラを回す。瞬間移動や突然の消失。を思い出した。せっかくの新しいおもちゃなのだから、エンターテインメントだけに利用させる必要はない道理だ。
相変わらず音楽は切れる。マリアのが印象的だったがさらに先鋭化しているように感じる。ベートヴェンの7番は普通に切れる。
驚いたのは清められた夜(隠喩パートで子供を作るかどうかの議論のところだ)dの異化で、左と右のレベルをずらすことでぶつ切れにすることなくすさまじく印象的となる。
犬がガソリンスタンドに居て、それが車に乗り込んでくる。男は追い出そうとする。女性は飼おうとする。(この2人は自然のiPhoneと本の2人だろうか)
犬は置き去りにされる。犬は川を流される。子猫物語の猫の運命をたどるのだろうか。
犬はさまよう。
シェリー夫人はフランケンシュタインを執筆する。シェリーからペンを受け取り、
すさまじい筆圧で字を紙へ刻み付ける。凄まじい音響の暴力で死にたい。
トイレをおっさんが占領しカカの平等を力説する。バスタブは血に染まる。
マイクは風の音を拾いハウリングする。
遊覧船は進む。
犬は年を取り横たわり死を待つ。
誰も読むことができない速度でクレジットが流れる。
機材。SONYは読めた。最後にLINUX。スタッフに3D編集ソフトを開発させたのだろうか?
すさまじく面白かった。こんな面白いゴダールはモーツァルト以来だ。物語が時間軸をたどらないゴダール映画の中では最高なのではないか? (ドイツ零年より遥か先、愛がつくが世紀の数世紀先、物語があって集中を持続させやすい映画としてもこれだけ面白いのははなればなれ、そうか例によってナレーションのうまさが効いているというのもありそうだが、はなればなれと同じくらいには面白かった)
人にはおもちゃが必要なのだなぁ。
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東京はええなー
たまには遊びに来てくださいよ