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日曜は新国立劇場でこうもりの再演。
エレートはスマートで実にいい(というか、前回もそうだったから当然今回もそうだろうと思っていたので、その意味では感動は薄いというか、感動するようなオペラではなく、そもそもオペレッタだ)。
歌手は日本人テノールで、それがギャグに使われていたりしたのだが、確かにニューイヤーオペラコンサートとかテレビで観ていても、どうも共通の歌い方(発声方法?)があるとしか思えないのが不思議ではある。
今回、なぜか今まで気付かなかった、歌手もフォルケの復讐を手伝っているというのが良くわかった。知らずに巻き込まれたのはアデーレ、1幕の終わりで参加する(手紙を受け取る)のがロザリンデ、最初からグルなのが歌手、宴会中に知らされたのがオルロフスキー(しかしどこまで知らされているのかは良くわからない)。
2幕最後のオルロフスキーの楽しみっぷりが激しい演出だった。それにしてもフォルケの歌で、なぜオルロフスキーは護衛のうちの1人を去らせて1人とペアを組むのかは意図がみえない不可思議な演出。
こうもりの音楽的な円環構造というのはちょっと面白い。序曲の一番派手な部分、つまり出だしのメロディー(モティーフではない)が、最後の最後、弁護士に化けたアイゼンシュタイン(ふと表記が気になって調べたら出て来た「エイゼンシュテイン」 は、なぜ、「アイゼンシュタイン」 ではないのか?がおもしろかった)が、「おれはアイゼンシュタインだ」と名乗りをあげるところに使われるのが面白いとつくづく思った。序曲はそういう意味では仕掛けが多い。序曲を聴いているとそれが劇中ではまさか悲しい悲しいという歌として利用されるとは思えないし。
あと今回気になったのは、とか観ながらいろいろ余計なことを考えられるのはセリフと内容を十全に理解したからだろうな、焼酎とは何か? ということだ。
最初、オロコフスキーはウォッカを飲ませる。これは安くてアルコール度が高い。
次にチャルダッシュでトカイワインを称える。そしてシャンパン皇帝の歌がくる。
低級-高級-高級と来て、3幕では焼酎がでずっぱりになるのだが、ここだけは看守の話芸となるため、完全に「焼酎」と翻訳してある。
安くてアルコール度が高い(焼酎は40度だからえらい、というセリフが出てきたが、オリジナルでも度数の高さを使って笑いを取るのだろうか)どちらかというと貧乏人の酒というジャンルはどこの国にもあるはずだから、元が何かちょっと気になった。
・マノン・レスコーはオランダ人の時は珍しくロビーでチケット販売をしていて、子供と、よほど売れていないのだろう、今回も売っていたら破滅的なのではなかろうかとか話したのだが、売っていなくておや良かったねと思ったら、どうもそうではなかったようだ。こうもりが大入りなのでロビーに場所を確保できないのではなかろうか。というのは、新入生キャンペーン半額みたいな広告がフェイスブックに流れていたからだ。いろいろと新国立劇場にとっては呪われた作品のようだな。
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