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日々の破片

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2016-01-11

_ ボウイが死んだ

ある時期まで、ボウイの音楽はそのときから聴きはじめればOKなアーティストの代表だった。それは間違いない。

僕が最初に聴いたのは(いや買ったのは)ロジャーで、ちょうど中途半端な時期だったかも知れないけれど、素晴らしき航海のイントロは今聴いてもぐっとくるものがある(いつもアルバムの最初の曲のイントロが素晴らしいのだ)。

(でも、多分、、もっと前に夜の番組でヤングアメリカンを歌うのは見ていた記憶があるのだが、そのころは正直興味なかった)

ロジャー(デヴィッド・ボウイ)

アフリカンナイトフライトは、おそらくイーノなのではないだろうか(この路線がイジンブラ経由でリメインライトになるのではないかと思ったものだ)。ムーヴオンはいつもの(と後に知ることになる)テーマ、しかし一番好きなのは怒りをこめて振り返れだった。このころからMTVが出て来たのか、あまりうまいとは思えない天使の画をかくにつれて顔が崩れて行くイメージにはそれほど感心しなかった。

で、すぐにスケアリーモンスターズが出て、当然のようにアッシュズトゥアッシュズは最も好きな曲の1つとなった。メイジャートムに合うためにスペースオディティを買い、hearがhereに重なり頭の中ではウルトラQのこちらはカモメのラストと重なったりする。

キングダムカムの出来が素晴らしく、そこからさかのぼってトムヴァーレインのテレヴィジョンを聴いて見れば、こちらもこちらで好きだったりした。

ヒーローズは鍬田ジャケットの通りにモノクロームな感じでこれっぽっちも好きではなかったが、ロウはとても気に入った。特にいつも同じ車がクラッシュするのは、そのままJGバラードのクラッシュとつながった。それからずいぶんしてクローネンバーグのクラッシュを見てから思い出して頻繁に聞き直すことになった。

このころにはおそらくベスト盤を買っていたような気がする(ジャケットの裏側が気持ち悪いのでハンキードリーを買わなかったのは覚えているが、ウォームジェッツの似たような気持ち悪さは勘弁してやったのだから、おそらくダイアモンドの犬の前後はそれほど気に入らなかったのだろう。今は少し好みが変わった)。火星に生物はいるのか? はえらく気に入ったし、チェチェチェンジス、アラジンセイン、シーエミリープレイあたりはオールタイムフェイバリットだ。ジギーはアルバムを買ったし、時がタバコを吸うのは良く知っている。

レッツダンスがおそろしいほどヒットした。

ユーロスペースでユービックのワークショップがあったとき、たしか最終日の打ち上げだと思うがIRCAMから来ていた技術者に女の子がIf you say run, I'll run with youと歌いかけていたのがえらく印象的で今でも思い出す。

it's too lateが一番好きだとクリスチアーネFが書いている本を読み、赤いジャケットを着たボウイがライブ映像で出演している映画を観た。

クリスチーネ・F [DVD](ナーチャ・ブルンクホルスト)

レオスカラックスがモダンラブでえらい長回しをして、友人の永野くんがおれはリコシェが一番好きだと言っていていろいろな趣味があるなぁと思ったりもした。

汚れた血<HDニューマスター版> [Blu-ray](ドニ・ラヴァン)

シリアスムーンライトツアーがあり、武道館に行った。でも思い出すのは、ワンフレーズだけ「Ziggy plays the gitar」と歌ったことだけだ。エイドリアンブリューはかっこ良かった(オリジナルのギタリストはギャラでもめてツアーには出なかったのだ)。

ラヴィングエイリアンの暗い色調は好きだが、ブルージーンもトゥナイトもあまり好きではなく、どうやら時代が追い越したのだなと感じるようになった。Time may change me。

またレオスカラックスでポンヌフの恋人を観るとタイムウィルクロールと歌う声が聴こえるがもううんざりだ。

ポンヌフの恋人<HDニューマスター版> [Blu-ray](ドニ・ラヴァン)

友人が来て、ヤングアメリカンが一番好きだと言い出す。言われてベストには入っていてもろくに聞いていなかったヤングアメリカンを聴くと声に艶があって、確かに素晴らしい。

このころ、中島らもが朝日新聞の夕刊にかねてつの2面広告を担当していて、離婚の直前のある日、1人でWild is the windを聴いていたらその曲を聴くといつもやるように妻がやってきて何も言わずに横に座って一緒に聴いていた。というやたらと感傷的な一文があり、何かよくない暗示にかかってはまずかろうとすっかり聴かなくなった。

飛行機に乗ってアトランタへ出かける。機内のイヤホンで音楽チャンネルを何気なく聴いていると飛び降りろという声が聴こえてきて思い出す。

Black Tie White Noise(Bowie, David)

良い。

が、続くアウトサイドでやっぱりゴミのようだと感じてそのまま忘れ去る。

時がたち、ふと渋谷のHMVで3Dジャケットを見てアワーズを買ってしまい、出だしの深みのある音に、ああ、そうだアルバムの1曲目のイントロはいつだって素晴らしいのだと聞き惚れる。そうだ父や母が何を言ったかも忘れたのだった。それでまた追っかけるようになった。

5.15には天使が去って行ったし、犬爆弾を月に落としてやったりしたけど、ウォータールー駅を眺める外はチリチリ寒い。

しばらくしてジョンライドンの本を読んでいたらボウイが息子がファンだからサインしろと楽屋に来たので追っ払ったとか書いていて、何してるんだろう? とか思っていると、久々のベルトリッチで若い頃の素晴らしい歌声を聴きまた思い出す。

また、アワーズの頃のような深みのある音で始まっておれの嫌いなベルリンのに×が付いていたりする。

今頃は、フレディーが叩き起こされて新入りと一緒に歌えと言われていることだろう。なかなかのプレッシャーだ。


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