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東劇でメトライブビューイングのルル。
これはすごかった。
ウィリアム・ケントリッジのプロジェクション使いまくり(墨痕あざやかに裸を示せば顔も示す)によるイメージの奔流の中で、すさまじく芸達者なマルリース・ペーターセン(ルル)やらシェーン博士(ヨハンロイター。斬り裂きジャックの二役)に、スーザングラハムのどれだけ尽くしてもまったく報われない令嬢と、髪型がどうみてもベルク(と思ったら、幕間インタビューで、実際にベルク自身の分身ということになっている役なので、あえてそういう髪型にしたのだろう)なアルヴァが悶えまくる。
ピアニストとまるで映画泥棒のカメラ男みたいな動きの二人のパントマイマーが常に動かす。ピアニストは3幕ではルルより先に街角に立つ(途中いなくなったと思ったら、カーテンコールでピアノの中から出てきて驚いた)。幕が開くかわりに、カメラ男が壁を横にずらして幕が始まる。
ケーニクスという妙ににこにこした丸顔の指揮者がくっきりとした指揮で(レヴァインの代役らしいが)これも良い。
フラウユンク社の株式というのが3幕の1場で上がったり下がったりして場にいる全員が破産するが、若い女性という意味なのかな?(あまりに物語そのものだ)。
ヴォツェックに比べて長すぎるし未完の補作ということであまりちゃんと聞いていなかったが、むしろ音楽ははるかにヴォツェックよりも良い。システムがあったほうがかっちりと書ける作曲家なのだな(と、ちょっと意外感がある)。
脚本がまた素晴らしい。ルルというのはヨーロッパなのだ。もうひとつのさようなら世界夫人だ。
近代フィルムセンターでルイーズブルックスのルルを観たことはあるが、舞台のルルはこれが全編としては初めてで、とにかく素晴らしかった。
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