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妹がえらく以前に貸してくれてあったエクゾスカル零を読んだ。時期が良くなくてずっと放置していたものだ。
舞台はえらい未来。覚悟のススメの葉隠覚悟はじめとした7人の戦士たちはその時が来るまで冷凍睡眠させられていた。(どうも、騒乱の時代が去ると時の為政者によって、あまりに力があるというか牙があり過ぎるので眠らされるらしい。そういうのが7回繰り返されたということのようだが、ちょっとそうなると現人鬼はどうなるという不思議もあるけど、まあそういうフレームワーク)
覚悟は最後に覚醒した7人目で、もちろん人がまともにいないので驚くのだが、さらに人を食う化け物を目にして早速戦闘に入る。そこに、別の戦士が登場する。獅子のような強化外骨格をまとった男だ。彼はその化け物を守護している。なぜなら、それがその時代の人類だからだ。人類を守ることこそ零式防衛術ではないか。なるほど正義は1つではなかった。では戦闘だ。かくして7人のそれぞれ異なる零式防衛術、強化外骨格、正義(と、途中でうやむやになる罪)を持った超人たちのスーパーバトルが幕を開ける。
という異様なシチュエーションで、しかしあまり後先考えずにシチュエーションを用意して後はノリと時代の流行りで流して行こうと作者は考えたらしく、物語はあっちやこっちへ飛びまくる。7人の戦士が離合集散しながらまったく未来がない人類のために正義を空回りさせることになる。
元々の作品コンセプトでは7つの強化外骨格戦士に、それぞれ7つの大罪の1つを背負わせると発想したらしいのだが、5つ目までは数えたものの(途中まで本の見返しに登場人物と背負った罪が書いてある)、6と7が曖昧になってしまって尻つぼみだ。
で苦しくなってきたのか大人な戦士を出してきて人類へダメ出し(どうやっても人類は救えない)をして、ちょっと話が暗くなり過ぎたと感じたのか、生き残った人類(というか少年少女が)たくましく生き抜くちょっと良いエピソードっぽいところに7番目の戦士を出してきて、と思いきや、蠅の王というか、古くは白戸三平の影丸伝の子供の村のような(無風道人が作ったやつ)顛末をたどり、まあ、どうにもならずに終末へひた走る。
ふざけたセリフ回しや戦闘描写は相変わらず圧倒的な力量で楽しめる。
が、最後はやはりそれは違うのだろうな。解説で本人が肯定しているから本気で7番目の戦士が覚悟に勝ったと考えているようだが、残念なことにコロニーに薬を置いて来たら、誰か一人が発病した時点で残ったすべての人間に絶望を与えるのだから最悪だ。しょせん子供の浅知恵で、覚悟の直感が正しい。
と、物語としては致命的にだめな終わり方をしているが、そこは強化外骨格と零式防衛術と時代がかったセリフがあればそれだけでおもしろい山口マンガなので楽しめた。
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