著作一覧 |
新国立劇場でヤナーチェクのイェヌーファ。
すばらしかった。初日に行って良かった。
というわけで、終演後すぐに水曜日の回(ラッキーC席が残っていた)を購入。
作品、演出、歌手、指揮、オーケストラ、どれをとっても本当に素晴らしかった。
物語は、なんというかベリズモも良いところで、しかも出てくる人たちがいずれも精神分析の対象になるような連中ばかりなのだ(カヴァレリア・ルスチカーナから血の気をすこしマイナスして、女性側に焦点を当てたというところか)。
極めて特徴的なのは、イェヌーファの義理の母親の存在で、明らかに司祭の代わりも務めれば、医者の替わりも務めるし、インテリなのだが、村に埋もれていることに耐え切れず、義理の娘に人生のやり直しを仮託している(2幕でまさにそういう歌を歌いまくる))。そのために娘を抑圧していて、ある意味、すべての悲劇の元凶はこの人にある。
1幕終わり近くの二重唱、2幕のイェヌーファの歌。
1幕の村の楽師(出現前)の音が奇妙な響き。
ヴァイオリンのソロが実に効果的。
面倒くさいから物語の予習とか一切せずに行ったので、最初、登場人物がたくさんいて混乱しまくったが、結局、主要な人物は、祖母、長男の息子(きれいな声)、長男の妻の連れ子(ラッツァ)、次男の妻、その義理の娘(イェヌーファ)、村長夫婦とその娘、長男の妻の連れ子の職場の友人だか先輩だか(これは特な役)を押さえておけば良いだけの話だった。
演出は舞台の上に仮想の室内空間を配置。最初、牢獄か病院に見えるのだが、すぐに祖母の屋敷となり、2幕と3幕では母の屋敷となる。
精神の解放と窓と扉と壁が連動する。
白と黒と机と椅子。
これは本当に良いものだった。
ジェズイットを見習え |