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技術評論社さんから(というか、羽生さんから、かな?)「はじめよう! システム設計」をいただいた。
いきなりあとがきから読んだわけだが、問題意識が興味深い。
2017年はIT投資に企業の目が向いた年として規定される。AI、IoT、RPAの3つのキーワードと(個々人は貧乏街道まっしぐらだが資本はどんどん膨らんでいる)経済状況が背景にある。
ところが、SIerは人材流出の結果としてプロジェクトの全体構想を立案し着実に遂行する能力をほぼ失い、個々のPMの属人的な能力、つまり経験と知見だけで動くようになった結果、失敗が多い。
一方の発注側は、ITは虚業という言葉に散々踊らされた結果のIT軽視のツケと、これまでのコスト部門の弱体化(というか低予算化戦略)の結果として、これまた人材がいない。
結果として口が巧みなコンサルタントによる実現不可能な夢をトップがもって突っ走りまっしぐらに罠にはまって身動きが取れなくなるような傾向があるように見える。
問題は、企画から実現までのつなぎにある。すでにさまざまな実装技術は世にあり、個々の人間の能力は低くはない。問題は、上流と下流の分断がかってないほどでっかな亀裂となっていることだ。
というわけで、関係者をすべて素人とみなして、for the rest of usのための薄い(内容が、ではなくて物理的に、なんだが別の意味になっちゃうな)システム設計の本を作ろう。
というモチベーションらしい。なんか正しい認識だと思える。
システムとして目次をみるかぎり、プレゼンテーション-ビジネス-データベースという3層構造を基本においているようだ(これ自体はまあそりゃそうだと思う。ただし呼称はUI、バック、DBと非専門語としている。DBではモデル設計、その他ではモジュール分割や各層間の責務によるインターフェイス設計など。
あとがきでは、本書のターゲットはユーザー企業側としているようだが、むしろ(ということはないけど)、ユーザー企業の担当者に対してシステムの開発方針などを説明する立場の人間が読むと効果的なのではないかと思った。
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