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日々の破片

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2019-02-27

_ メトライブビューイングのアドリアーナ・ルクヴルール

東劇でアドリアーナ・ルクヴルール。夢にまで見ていた、一生観られないだろうと思っていたアドリアーナ・ルクヴルールをネトレプコで観ることができるとは夢のようだ。

恋敵の貴族に毒殺されるという大筋と、哀れな花と私は卑しい僕ですの2曲くらいしかしらないのだが(とは言え、レナータスコットの全曲盤はそこそこの回数を聞きまくってはいるが、レナータスコットは絶叫するのであまり好きではない。が、これは悪くない)、チレーアは、プッチーニ、ジョルダーノ、レオンカバッロ、マスカーニと並んで大好きなベリズモというか新イタリア楽派というかの作家なのだ。(カタラーニは少し落ちる。ザンドナーイは知ったのが数年前なのでまたちょっと別)

全編出ずっぱりなのが、舞台監督の優しいミショネ(アドリアーナを見出して女優として育てた上に恋しているのだが、道化師のカニオと違って現実に一緒になって悲劇を起こすほど間抜けてはいないのだが、その分、味がありまくる)で、1幕は看板女優がパトロンの公爵に内緒で書いた手紙と、舞台で使う手紙が交錯するうえに、女優が書いたのは実は公爵夫人の代筆で、公爵夫人の愛人がザクセン伯で、ザクセン伯はラッパ手と偽ってアドリアーナと恋愛関係にありと、錯綜したまま2幕へ続く。

2幕は公爵の別荘で、公爵夫人をケルビーノのように奥の部屋に隠した伯爵は、公爵に連れてこられたアドリアーナに彼女をうまく逃がすように頼んで消えて、政治的陰謀の匂いを嗅いだミショネに首を突っ込むなと諭されるにもかかわらず伯爵(とはまだ気づいていない)の頼みにまけて公爵夫人を逃がそうとするところで、お互いの立場に気付いて罵り合いになって幕。公爵夫人はショールを落とすは、腕輪を落とすはの間抜けっぷりを発揮するのだが、なんなんだ。

3幕は公爵がしつらえた舞台で長いパリスの審判。そのあと公爵夫人が散々アドリアーナにイヤミを言いまくるので、怒ったアドリアーナがフェドールの一人芝居にかこつけて公爵夫人を罵り倒す(それにしても現実のフェドールにブイヨン公爵夫人が因縁を持っているとは)。

4幕、すごく短い。臥せっているアドリアーナをミショネが慰めに来る。彼女と結婚するつもりでとっておいた叔父さんの遺産をつぎ込んで公爵から彼女のアクセサリーを買い戻してプレゼントし、劇団の仲間が励ます。しかし、伯爵の名前をかたる赤い箱が届き、開くと死の香りが彼女を直撃する。ミショネの計らいで到着した伯爵からのプロポーズに喜ぶが、時すでに遅し、死にたくないと言いながら死んでしまう(まるで椿姫だ)。

こういうオペラだったのか。

ノセダの指揮はつんのめるように1幕、2幕の序曲を振る。4幕の序曲ではうってかわって歌いまくる(音の作り方が抜群なのはチレーアの才能なのだろう)。悪くない。

演出は全裸を出さないマクヴィカーだが、3幕の構成、特にパリスの審判はどうにもマクヴィカー好みな舞台でおもしろいことこの上ない。

ネトレプコの卑しい僕ですは、最初なんかプラスティックコーティングみたいな感じで、???という感じだったが曲が進むにつれて高音がとてつもなく美しく、演技も抜群(3幕の見せ場は実に立派)で、やっぱり当代きっての名歌手だ。

ベチャワは普通にベチャワ。演技はうまいが歌はベチャワ。

ミショネのマエストリって、おそらく愛の妙薬のドゥカマーロを歌っていた人だと思うが、なんか実に好感が持てる歌いっぷり(幕間インタビューでポレンザーニに頑として英語で話さずイタリア語で押し通そうしたのはどういうユーモアなんだかよくわからん)で好き。公爵夫人のラチヴェリシュヴィリという絶対覚えられない名前の人はすごかった。これまた文句なく名歌手だ。

あーおもしろかった。やっぱりベリズモが一番好きだ。

(NHKのイタリアオペラでモンセラカバレがやったとは知らなかった。1~2年早かったんだな、残念なことだ)

チレーア:アドリアーナ・ルクヴルール(チレア/レヴァイン(ジェームス)/フィルハーモニア管弦楽団/ドミンゴ(プラシド スコット(レナータ)/ワトソン(リリアン)/アンブロジアン・オペラ・コーラス/スコット(レナータ)/ドミンゴ(プラシド))

(レナータスコットだが悪くない)


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