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日々の破片

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2019-08-11

_ ミュージカルのロミオとジュリエット

子供がロミオとジュリエットのDVD(大野/木下組)買ったから観ようというので一緒に観た。

ジェラール・プレスギュルヴィックという人の作品。

どこまでが日本版の演出でどこまでがミュージカル作者の設定かわからんけど、いろいろおもしろかった。

いきなりハイ&ロウのルードボーイみたいな連中が暴れ始めるので現代演出かな? とか思いながら観ていると、こともあろうにモンタギュー側のマーキューシオ(シェークスピア的には大公の親戚ということで割と余裕で悪事に手を染める軽いやつ)が、狂犬みたいなギラギラ野郎で、むしろ狂犬みたいなギラギラ野郎のはずのキュピレットのティボルトがおっさんくさいドスの利いたヤクザ者で相当とまどう。とはいえ、ベンヴェーリオはホーレショやケント伯と同じくシェークスピア劇特有のちょっと離れたところで主人公に寄り添って出来事を観察し説明する役回りでそこは変わらない。

ロミオが登場すると、ふにゃふにゃ野郎みたいに言われるのだが、世界の王というすごい傑作を歌ってその場のみんなが納得する。

実際、ロミオの想定通り、ロミオとジュリエットの結婚により両家の争いが収まる可能性すらあったわけだが(ロミオは別に打算的にジュリエットと結婚するわけではないのだが)、そういう器量の持ち主ということが見事に示される。うまいミュージカルだ。

ジュリエットが16歳と言うのでここも相当不思議に思う。文句なしの14歳なのに。あとで、ロミオの旅立ちの日に裸で一緒にベッドに寝ているシーンがあったので、なんかのコードをクリアするためにハイティーン設定にしたのかなぁとか思った。

シェークスピアの劇ではモンタギューとキュピレットの政治バランスが人事的にむちゃくちゃ悪くて(モンタギューは、ロミオ、マーキューシオ、ベンヴォ―リオと3頭体制なのに対してキュピレットはティボルト以外は雑魚とジュリエットしかいない)、それはティボルトがマーキューシオを殺して、ロミオがティボルトを殺して、ベンヴォーリオは傍観者役だから死ねない以上はしょうがないバランスなのだが、ここではバランスを取ろうしたのかティボルトとジュリエットの父親がやたら重い役を背負わせられている。

どうもほのめかしなのだが、ジュリエットの本当の父親はティボルトで、しかしティボルトはそれを知らなくて(ジュリエットに恋している)、父親はジュリエットが実の子ではないことには気づいていて(殺そうかと思ったが、育てた子供の可愛さ、どうしてそんなことができようか、それにしても妻は私を愛していないと、まるでドンカルロスのフィリポ2世のような歌を切々と歌う)しかもどうやらティボルトの子供らしいと気づいていて、一方母親はジュリエットに本当のことを教えたくてうずうずしているのだが辛うじて自制しているという複雑さ。

僧ジョンは出てこず、代わりに神父がメールを打つが、ロミオはスマホをマントヴァの不良グループに盗まれてしまって読めないという設定。

パリスは大公との関係はなく、単なるお金持ちの頭悪い人という、なんかリーズの結婚みたいな設定で、墓所にも来ない。

来ないおかげでロミオはさっさと毒を呷って死ぬ。

そしてジュリエットが目を覚ますと、ロミオロミオというとても美しい歌を歌う(なんかよくわからない貼り付けたハンガリー版の1:30あたりの箇所だが、ハンガリー語でロミオと言っているのかどうかさっぱりわからない。それにしてもこの曲のうまさは、ちょっとミシェル・ルグラン風のいかにもフランス風ミュージカルで始まるのが0:55の転調で再度元に戻し1:22の転調後にロミーオロミーオで飛翔するところで、実にうまい。才能がある作曲家というのはすごいものだ)。バレエのロミオとジュリエットもそうだが、目覚めて希望に満ち溢れていればいるほどその後の衝撃がかわいそうになるわけだが、これも見事な音楽なだけに可哀想さが100万倍だ。

シェークスピアと同じく、ロミオの手の中の毒瓶を取るが毒は残っていない。ロミオの口から毒を吸おうとするが、それもできず、短剣で死ぬ。

死骸の上でデタント。

ROMEO ET JULIETTE(OST)

上のハンガリー版の歌は何でMADしたのかと思ったら、アニメでロミオ×ジュリエットというのがあったのか。ハンガリーで日本のアニメとフランスのミュージカルを魔合体させてるってのがちょっとおもしろい。

[シェイクスピア没後400周年記念]アニメ「ロミオ×ジュリエット」memorial DVD-BOX(追崎史敏: 水沢史絵)


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