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日々の破片

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2020-06-13

_ 朝鮮儒教の二千年

隣国でありながら、ロシアや中国と違って、ほとんど朝鮮の歴史を知らんことに気付いた数年前にFBで橋本さんからおもしろいと勧められて文庫を購入し、ちまちま読んでいた「朝鮮儒教の二千年」580ページのうち310ページまで読んだ。

とにかく凝縮した歴史書にありがちな、そっくり同じ名前の良く似た考えの持ち主が良く似た事件を引き起こし良く似た結末になるの延々たる繰り返しなのでそろそろ嫌になってきたというか、既に何度か嫌になって数年読まずに発酵させては読み始めとやってきたのだった。

それにつけても儒者にも本家の中国では実学は他に任せて儀礼に専念みたいな漢の叔孫通といった傑物もいるのに、李朝だと実学+儀礼の勳旧派(すごくまとも)と、スコラそのものの士林派(まさにスコラそのもの)に分かれて権力闘争を始めて、仏者が割りを食わされる(秀吉と戦って最も戦功があったのは仏者のようだ)とか、純粋培養のゴミのような連中が湧いて来る不思議は、輸入文化ならではっぽい。というかスコラも輸入した思想に湧き出した蛆虫だった。

中国から思想、政治を輸入した似たような辺境の王国の日本と朝鮮でどうしてここまで異なる歴史を歩むことになったのかはなかなか興味深い。日本だと士林派に近いのは林羅山派なのだろうが、徳川政権は基本的に軍事政権だから政学分離がうまくいったのかも知れないが、そこに至るまで儒教の影響がほとんどないのが不思議ではある(本家の中国ですら、政治に儒教がからむのは北宋まではなかったわけだから、その点でも朝鮮が特異なのかも知れない。人口、国土の狭さ、適度な産業の平坦化によって専ら思想闘争中心となり、そのためには儒教が都合が良いということなのかも知れない)。

というよりも、聖徳太子や蘇我馬子が構想して(おそらくこの時点では和をもって尊しとする持ち回り制度の構想だったと考えられるが)中大兄皇子のクーデタで完成した氏姓制度で天皇自身は姓を授ける立場で自身は姓を持たないという易姓革命封じ込めによる統治と政治の分離体制が、極端な思想対立を防御したのかも知れない(武力対立は山ほどあるけど)。

おもしろいは抜群におもしろいが、歴史書だなぁ。

朝鮮儒教の二千年 (講談社学術文庫)(姜在彦)


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