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緊急事態宣言が明けたのでオフィスへ行って、さて昼飯を食べるかと、久々にさかり寿司へ行く。
なんか店先の信楽焼の女将さん風のタヌキが気になって結構ランチを食べに行ったのだが、緊急事態宣言でリモートワークしまくっていたので数カ月ぶりくらいの雰囲気だ。
で、だいたい昼はマグロ漬け丼のバリエーションが出ていてとても美味しい。
というわけで軒先のスペシャルを見ると、マグロ漬け熟成くえ丼というのがラインアップされている。
くえって食べたことないな、と思って、それを頼んでみた。
大体、良いものを仕入れたような時は店の親父が丼を出しながら、今日のは~とか説明してくれるのだが、今回のはいつもと様子が違って(大体は産地とかなのだが)価格の話だった。「夜だと一切れ600円はいただくところなのに、3切れも入っているから超お得です。ちなみに熟成5日目」とか、そんな感じ。
くえってそういう魚なのかと(知らないだけに)思っていると、追い打ちをかけて「これは醤油でも良いけど、塩昆布が合うから」と言って、小皿に塩昆布を一つまみ出してきた。こういうのは初めてだ。見た目はきれいな白身だ。
というわけで、なんかよくわからんが塩昆布を乗せて食べてみた。
ほー、こういうものですか。とにかく歯ごたえの塊なのだが、筋があるとかそういうわけではないので最後まで噛み切れる。しかし噛み切ってもまだ噛める。一方、味は全然感じなくて、塩昆布の味ばかりで、どうやら乗せ過ぎたらしい。
という調子で3枚食べてみたわけだが、味ではなく食感の食べ物だなという印象は最後まで変わらない。随分違うような気もするが、あいなめ(おれが知っている刺身の中では一番近い)が吟醸なら、くえは大吟醸という感じだ。
味が淡いので昆布と塩なのかな。確かに醤油という感じではない。昆布の旨味があるから美味しいのかもと思った。
なんとも奇妙な感覚で、とにかく香りはほとんどなく、しかし食感は抜群、もっとも味はおそろしく淡泊(というよりも無いに等しい)ということは、おそらく、日本酒の良いものと抜群に合うのではないだろうか。
あとになって、あらためて調べてみたら(クエ)偽物が出るほど超高級魚とかになっている。一方、旨味は無いと書いてあって、なるほど、だから熟成させているのかと思った(が、熟成させても旨味が滲み出てくるわけでもなさそうな)。
一方、今日のマグロの漬けは希少部位(多分脳天)で、これはもう味の塊のようなもので実に美味しい。
というわけで、さかり寿司は実に楽しい。
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