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王の没落も三体(死神永生)も読み終わったので、いよいよサハリン島にとりかかった。
うわっ、実に奇妙だ。
最初、先祖代々受け継いだマッキントッシュのコートを手入れしている女性の一人称から始まる。
徐々に貨物船に乗っていること、未来についての文化人類学的な研究のために、北方領土をめぐる旅についていることが明らかになる。
海には幽霊船(乗り手不在の難破船らしい)が出没して、貨物船を護衛する水雷艇が爆破する。水雷艇の乗組員になることは憧れの的らしい。その一方で、水雷艇に護衛される唯一の貨物船(他に護衛される船は天皇のお召し船だけ)だけに、その乗組員は屈折した(というのは、水雷艇の乗組員は憧れだからだが)誇りを抱いている。
貨物船には中国人労働者が大量に載せられ、ほぼ帰ることができない鉱山労働のために択捉島で降ろされる。労働者は胸に鉱石が溜まり、廃人となり、最終的には圧搾機で絞り殺されて肺にたまった鉱石0.5gとなる。
隣の船室のイヌと呼ばれていた囚人(妻と子供を殺した)は自殺すると、船長は塩漬けにして韓国人街でなにかと交換するらしい。
主人公の母親はロシア語を話せたらしいので、主人公はどうもロシア系の日本人のようだ。
一体これはどうなるのか皆目見当もつかない。
異様な帝国の観察という意味では家畜人ヤプーのような作品なのか?
その一方で、この奇妙な日本は、犬ヶ島をも彷彿させられる。
先を読み進めるのが楽しみだ。
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