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日々の破片

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2021-07-28

_ 一度きりの大泉の話

モデルナ2回目の翌日だけあって、だるいしぽーぽーしている(こういう状態でプログラムを書くと山ほどバグが入る)ので、寝転がって(おかげでネコに襲われたが)Kindleで買っておいた萩尾望都の因縁話を読んだ。

まあ、想像がつく範囲だったが、一応一方の当事者として書いておきたかった(かつ、マネージャが妙な絡まれ方をしているし)というのはわかる。

・当時(まさにリアルタイム読者だったわけだが)、萩尾望都のギナジウムものを読みまくったあとに、風とが出てきたから、確かに中身全然違うと言われればそれまでだが、そういう舞台設定を後出しで使ったというようには感じたから、竹宮側の気持ちもわからんではない。というか、最後にマネージャが書いているが、おもしろいものは見た瞬間に自家薬籠中の小道具として書ける天才って、そりゃ驚異だろう(思い出したのは、何気なくミックジャガーがボウイに最近気に入っているイラストレーターを教えたら、すぐさまダイアモンドドッグスのジャケットに起用されていて怒り狂ったというやつ)。

・おもしろいのは、常に人気投票最下位のポーの一族が単行本を小学館の最小ロットらしい3万部で刷ったら3日で売り切れたという記述。このころから、週刊マンガは小学生が小遣いもって懸賞目当てでアンケートに応募したデータと、大人が単行本を大人買いする世界に分離したのだな。というか、小学館の編集者としては少女漫画の単行本の記念すべき第1段にポーの一族を選択したということは、その多重構造(アンケートに応募する子供と、実際に単行本買う大人の分離)を目ざとく感じていたのだろう。大したやつだ。

・佐藤史生がデビュー前の売れないアシスタント時代に、金が良いからと石綿の服の縫製のバイトをしていたと何気なく書いているが、癌で亡くなっているだけに、なんともいたたまれない感じ。

・というか、出てくるマンガ家たちがすごい勢いで鬼籍に入りまくっていて、過酷な職業なのか、そういう時代なのか(石綿服のアルバイトもそうだが)、なかなか複雑。

・出てくる作家をほぼ全部わかる(わからない人もいる)のには我ながら驚いた。そんなに少女漫画を読んでいたつもりはないが、このクラスターということなのかな。

・読みやすくはない(インタビューがそのままっぽい箇所、完全に本人が手を入れている箇所と、文体が飛びまくる)が、おもしろかった(エンタメではない)。

一度きりの大泉の話(萩尾望都)

途中、ささやななえ(こ)のマンガが怖いと書いてあって、思い出したが、ささやななえの一連の恐怖漫画は本当に怖かった。特に、デッサンが狂っているのではないかと思いながらも、押し入れからぬめっーと人形が出てくるシーンのおっかなさとか他では経験したことがない。

たたらの辻に… (角川ホラー文庫)(ささや ななえこ)


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