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子供と豊洲でインザハイツ。
ミュージカルだということと、新版のメリーポピンズの煙突掃除夫がからんでいるということぐらいしか知らずに観に行った。
これは抜群だった。
ヘミングウェイが余生を過ごしそうな海岸のカフェだかバーだかに髭のおっさんがいて、子供たちを集めて話を始める。
マンハッタンのハーレムより遥かに北、ワシントンハイツが舞台だ。
主人公はコンビニエンスストアという日本語訳だったが、ドラッグストアの店主の若者(といってもほぼ30歳らしいが、ラテン系は若く見える)。冷蔵庫が壊れているので牛乳が腐っている。これではコーヒーを売れない。そこに近所のおばあさんがやってきて、宝くじを買って、そういう場合はコンデンストミルクを使えばいいのよ、と教える。さらに、中学生くらいなのか少年がやってきて店を手伝う。
というような調子でずいずい調子よく物語が進む。
主な登場人物は、ドラッグストアの店主のウスナビ、店員(で甥っ子)のソニー、近所のおばあさん(1943年にアメリカへ移民してきた第一世代の生き残りらしいが、近所の若者たちの母親代わりでもある)、近所の美容院の3人組とそこでネイルアーティストをしているウスナビの憧れのバネッサ(やっているのはネイルアーティストだが、ファッションデザイナーになりたい。そのためにデザイン学校がある地域に引っ越そうとしている。のだが、ラテン系で収入が乏しいため空き室があっても満室と断られる。ゴミ箱から端切れを集めて服を作るのに利用しようとしていることが映される)、タクシー会社の社長とその社員のベニー(このての映画でベニーという名前だと、レントを思い出すので覚えやすい。ベニーはおれには黒人に見えるが、やはりラテン人らしい)、ベニーの恋人で社長の娘で物語の開始時点ではスタンフォード大学へ進学(街で最初の才媛ということで期待の星)しているのでワシントンハイツにはいないニーナ。
屋台のアイスクリーム屋がかき氷(ピラガというらしい)を売っている。大手チェーンのアイスクリーム屋のトラックが販売に来てお客を取られる。
ニューヨークでラテン系というと、ウェストサイドストーリーのプエルトリカンが思い浮かぶが、主人公はドミニカ共和国出身で子供の頃両親と移民してきたらしい。故郷へ帰るのが夢で、ドラッグストア(両親が必死に稼いだ金で買った店)の売上で故郷の海岸の台風で壊れたカフェを安価に購入する。
ということは、冒頭の海岸の店はウスナビの店なのか? と思っていると、ときどきシーンは海岸の店に戻り、一番ウスナビが語る物語の理解が早い子供はウスナビの娘とわかる。
ウスナビという名前の由来が語られる。移民船でアメリカの港に来た父親は、威容を誇る軍艦に感銘を受ける。これこそアメリカだ。そこで息子にその船に書かれている名前らしきものをつけたのだった。船が映る。US NAVY。
故郷へ帰ったあとは、店はソニーに譲ることにしようと考えて、叔父に相談に行く。するとおそるべき事実がわかる。ソニーは法的には不法移民なのだ。
ニーナがワシントンハイツへ戻って来る。学費が払えなったので退学するという。それはおかしいと社長が調べると、娘はいかに不当に扱われていて孤独かを切々と訴える。
学内のパーティがあったので、黒いドレスを着て出席した。すると賓客が皿を胸に突き付けて、さっさと料理を持ってこいという。なるほど給仕は全員ラテン系だ。一方、賓客にも学生にもラテン系は自分一人しかいない。
停電が起きる。デート中のベニーは会社へ戻るといいだす。それがおれの仕事だ。
急病人用の車の手配(配車はディスパッチなのだな)などを携帯のバッテリーがもつ限り頑張る。
停電は続き暑さの中、おばあさんが死ぬ。みんな落ち込む。
ニューヨーク市議会の選挙か何かの候補者の演説を聞いて、甥っ子は自分が(不法移民なので)大学へ進学できないことを知る。
そういった様子を見ていて、ニーナは復学して政治を志すことを決意する。
美容院の3人組がみんなのやる気のなさに怒りだして、ラテンの血が騒ぎまくる歌を歌って踊り、カーニバル状態となる。
一方、ウスナビの帰郷の日が近づく。バネッサとの仲はソニーの機転でうまくいきそうになるのだが、それよりもバネッサの夢の実現のために部屋を借りてやることに成功する。
In The Heights (Original Motion Picture Soundtrack)(リン=マニュエル・ミランダ)
なんといってもウスナビの役者が抜群。ラップも良い。というか、最近良いラップ映画を見るなと思ったら、オッドタクシーか。
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